「いや 言ってる意味がわからない」
すごく急いでいるらしいカイさんはオミさんにそう言ってから、
「じゃあ 入社祝いということで、はい ケーキ 」
とコンビニで買ってきた 美味しそうなケーキをテーブルにレジ袋ごと置いた。
そして、俺には笑いかけてくれて、
「ごめんね。歓迎会で埋め合わせするから 」
オミさんには、
「ごめんね。デスクトップの方が突然動かなくなっちゃったから…」
「ああ、全然。あ、そうだ。ちょっと俺のデータがまだ…一緒に行くよ… 」
すぐ戻ってくるからお茶でも飲んで待ってて、と俺に言い置いて、オミさんはカイさんと作業部屋に行ってしまった…
…動画と同じ感じで、何だか微笑ましい…
今俺は、実物を見てる…
二人は高校以来の仲で、何でも言い合えると動画で見たことがある。
言葉通りオミさんはすぐに戻ってきたが、カイさんはずっと作業をしていて、終わったのは俺がもらった部屋で布団を敷いて、一人でぐったりしていた頃だったようだ。
緊張から少しだけ解放された俺は、布団に入つても熟睡出来なかった。
ようやくうとうとし始めた時、暗闇の中でドアがそーっと開いて誰か入ってくる気配がした。
でも俺はもうそれが誰であっても何をされようとどうでもよく、眠りに落ちていった。