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CMソングにも、色々あって。
古いものから新しいものも。
古い歌謡曲を聴くと時代の違いを感じるように、CMソングにも時代の違いは感じる。
ここで取り上げたいのは、京成電鉄のCMソング。
それも、古~いバージョン。
今現在、京成電鉄にCMソングがあるのかどうかは分からない。
私が覚えているのは、古いバージョン。
そのCMソング、私が聴いたのは多分ラジオから流れていたバージョンではないだろうか。
しかも、私自身がラジオ(もしくはテレビ)をつけて聴いていたわけではない。
当時私の家の裏隣には、小さな町工場があって、その作業場から聴こえていたのだ。
工場から流れていたのだから、それは作業場でラジオを流しっぱなしにしていたのだろうと思う。
テレビだと画面を見てしまうから、作業員の手が止まってしまうし、経営者がそういうことはしないだろうとも思うし。
で
その「京成電鉄の古いCMソング」とは、以下のような歌詞だった。
♪ グングン京成 ズンズン京成
走る 進む 明日へ向かう
町だ 海だ 緑だ 風だ
つなぐ のびる 明日へ向かう
京成 京成 京成
2番もあったのかもしれないが、この1番しか覚えていない。(注、後で調べたところ、2番もあったようだ。ちなみに、曲の正式タイトルは「グングン京成」で、作詞は田口誠さん、作曲は玉野良雄さんらしい。)
このCMソングが、隣の町工場からよく流れてたので、いつしか覚えてしまっていた・・というわけである。
当時「けいせい」というものが何であるかよく分かってはいなかったが、歌詞の感じからいって多分「鉄道会社」のことなんだろうとは思っていたが、後になってそれは正しいことが分かった。
のどかで、おおらかで、覚えやすい曲だった。
さしてインパクトがあるとは思ってなかったが、今聴き返してみると、すごくキャッチーではあると思う。
で、さすがに古い曲調であるのも、今となっては感じる。
しかも、かなりの「古くささ」。
だが・・・進化して、派手になったり複雑になったりしてる今の楽曲群の中で生活してると、この「超古くささ」が、案外新鮮。
今、こういうムードの曲って、案外ないしね。
出だしの「グングン」や「ズンズン」は、つかみでけっこう覚えてしまうし、途中の「町だ 海だ 緑だ 風だ」の部分は、かなり印象に残ったものだった。
この曲のキモは、出だしと「町だ 海だ 緑だ 風だ」の2か所じゃないかな。
幼心に、この「町だ 海だ 緑だ 風だ」の部分には、イメージがふくらんだものだった。
普段旅行などあまり行けなかったから、この歌から、自分なりの旅行イメージが広がったものだった。
京成電鉄は、東京と千葉を結ぶ鉄道。
だが、そんなこと知りもしなかった幼少時の私は、このCMソングを聴いて、なぜか静岡方面への旅を連想していた。
幼い頃に、家族旅行で静岡方面に行った体験が、けっこう印象に残っていたからかもしれない。
もしくは、テレビCMで流れていた、ハトヤのCMが頭に残っていたからかもしれない。
ハトヤの古いCMで、山の上に建つハトヤから画面が下にパンして、そこに電車が走っている映像があったように思うのだが、それを京成電鉄と結びつけてしまったのかもしれない。
静岡と千葉では、東京から行く場合、正反対の方向。
なので、静岡方面への旅を、京成電鉄のCMソングから連想してしまった私は、とんだ勘違いをしていたことになる(笑)。
だが、町工場から流れてくる、ラジオCMの「京成電鉄」の歌は、音声だけだから、自分なりのイメージを湧かせてくれたのだった。
当時あの町工場で働いていた人たちは、職場のラジオから流れていた「京成電鉄」のCMソングを、どのように聴いてたのかな・・なんて思ったことがあった。
静岡や千葉は、東京からの旅先としては「近場」である。
だが、あの時・・町工場で働いていた人たちは、働きながら職場で流れていた「京成電鉄」のCMソングを聴いて、「仕事から解放されて、電車に乗ってどこか旅行にでも行ってみたい」なんて思ったりしてたのではないだろうか。
「町だ 海だ 緑だ 風だ」という歌詞には、そんな現実から離れて、どこかの旅先に誘う「印象深さ」があったと思う。
それも、電車に乗っての旅。
今でもこの曲を聴くと、隣の町工場の中の機械音の中に、この京成電鉄の古いCMソングがまぎれて、工場や、隣の家までも聴こえていた光景を思い出す。
私が電車での旅が好きなのは、この記憶も関係しているような気がしてならない。
ちなみに、今現在、その町工場は・・・もうない。
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