2006年10月22日14時47分頃(だと思う)、五十公野公園陸上競技場に、試合終了を告げるホイッスルが鳴る。
黄色のユニフォームを身に纏った一人の女性選手が、へたり込み、立ち上がれない、泣いているようだ。
彼女の背番号は「10」、キャプテンマークを着けている。
大原学園JaSRAの主将、津波古(ツハコ)友美子選手である。
仲間に抱きかかえられて、ようやく立ち上がり、センターサークルへと向かい、挨拶する。
それでも、涙は止まらない――
昨日、五十公野で行われたmocなでしこリーグディビジョン2第19節、アルビレックス新潟レディース大原学園は、1対1のドローに終わりました。
両チームの得た勝ち点は「1」ずつ。
この勝ち点「1」が、両チームにとって、どういう意味を持つのか、それを如実に物語ったのが、冒頭に紹介した津波古選手の涙でした。
第18節を終えて、首位はアルビL、2位は大原学園。
勝ち点差は「2」。
残りは、昨日の分も含めると、たった3試合であり、昨日のゲームは、どっちも負けられません。
否、正確には、アルビLは〝負けられない〟試合でしたが、大原学園は〝勝たなければならない〟試合でした。
大原学園の残り2試合の対戦相手は、組し易いチームであり、アルビL戦で勝ち点「3」を得るならば、99%、1位での自動昇格が決まる、と言って過言ではありません。
しかし、引き分け以下では、その自動昇格の芽は潰えて、入れ替え戦経由での1部昇格に、賭けざるを得なくなります。
反対に、アルビLは、負けさえしなければ、自力優勝=1部自動昇格の道が確保できます。
でも敗北ならば、入れ替え戦の準備に早速、取り掛からなければならなくなる事を意味するのです。
結果、アルビLの負けないサッカー、守りきるサッカーに軍配が上がりました。
両者の勝ち点差は「2」のままで、これで大原学園の自力によるディビジョン2の1位確保の芽は、消えたわけです。
細かい試合内容は、改めて書きますが、この試合に限っては<内容よりも結果>にプライオリティがあり、“負けないで良かった”というのが、現地で応援した大部分のアルビサポの偽らざる本音でしょう。
もちろん、勝利することに越した事はないし、吾輩もアルビLに勝たせてやりたかったけど、昇格レースが一筋縄で行かない事は、男子アルビのJ1昇格の歴史が証明しています。
昇格争いの最大のライバルが、そう易々と勝たせてくれるはずもありません。
第一のミッション『大原学園に勝利』は叶いませんでしたが、第二のミッション『引き分ける』は完遂し、自力で1部昇格できる条件を獲得できたのだから、良しとしなければならないでしょう。
さあ、これで、1部昇格ロードがまた、大きく〝舗装〟されました。
だ・け・ど
これで、2部優勝が決まったわけじゃあない
そこで、改めて、なでしこリーグ2部優勝の条件を考察します。
あっ、引き分けだったので、最終順位が確定するのは、現実的に考えて、最終節になりました。
大原学園が次節、負けて、アルビLが勝てば、29日も決まりますが、そうはならないでしょう。
さて昨日の結果で、
1位 アルビL 勝ち点47 得失点差67
2位 大原学園 勝ち点45 得失点差48
となりました。
大原学園は、残り2試合とも勝つに違いありません。
すると、大原学園の最終勝ち点は「51」。
従ってアルビLは、最終的に「52」以上にしなくてはいけません。
また、得失点差で大きく上回っているので、「51」でもOKです。
残り2試合の星取りパターンは、
・2勝=勝ち点6を積み重ねて、勝ち点「53」に
・1勝1分け=勝ち点4を積み重ねて、勝ち点「51」
・1勝1敗=勝ち点3を積み重ねて、勝ち点「50」
・2分け=勝ち点2を積み重ねて、勝ち点「49」
・1敗1分け=勝ち点1を積み重ねて、勝ち点「48」
・2敗=勝ち点は「47」のまま
という6つ。
ってことは、大原学園を上回るには、残りを連勝するか、1勝1分けで乗り切る必要があります。
いや~、それにしても、ルネサンス熊本と清水第八に大差で勝利できたのが、ここに来て、効いてますな
得失点差を大いに稼げて、おかげで引き分け1つが許される状況になったんですもんね。
得失点差に、大きな開きが無かったら、引き分けすら許されなかったかも。
さて、アルビLの第20節の相手は、福岡J・アンクラス。
第21節=最終節の相手は、バニーズ京都。
この2チームに連勝するか、1勝1分けしなくてはいかんのです。
バニーズは現在、勝ち点16の第6位であり、今季はアルビLの2戦2勝と相性も良いです。
上尾野辺が、特に、バニーズを得意としていて、計4ゴールを決めてます。
ただ、唯一の気掛かりは、バニーズの監督が、昨季までアルビLを率いていた牛浜さんである点です。
選手の成長や加入はあるにせよ、アルビLの短所も長所も、ある程度は把握しているはず。
〝勝つサッカー〟はできないでしょうが、〝負けないサッカー〟を仕掛けてきたら、苦戦も予想されます。
それに、簡単に1部昇格させてなるものかと、モチベーションもそれなりにあるはずですからね。
とはいえ、十二分に勝てる相手です。
慢心や油断、それに過度の緊張などメンタルな問題が発生しない限りは、勝ち点3は奪えるでしょう。
それよりか問題なのは、アンクラスです。
現在は3位で、限りなくゼロに近いけど、2位になれる可能性を残しています。
アルビLとの今季通算成績は1勝1敗の五分。
そしてアンクラスには、得点ランキング1位の川村、それに次ぐ2位の光成というポイントゲッターを2人も抱えています。
あの大原学園とも1回、ドローに持ち込んでますから、大原学園に劣らぬ強敵です。
でも、この「福岡J・アンクラス」という名の山を越えなくては、2部で優勝できんのです。
敗北は許されません。
以上の点から、10月29日もアルビLにとっては、のっぴきならぬ大一番と相成ります。
昨日のゲーム終了後、鳴尾監督と、選手代表の片桐は、2連勝して11月5の最終節を終えると約束してくれました。
今は、その約束が果たせるよう、ひたすら信じて祈り、応援しましょう
相手は2位への望みがありますから気合も入っていることでしょう。
一方アルビは、大一番の大原学園に引き分けた事で、少し気が抜けるかもしれない・・・油断は禁物ですが。。。
でも、そんな事では優勝できませんから、プレッシャーの掛かる試合になったとしても、確実に勝利で終えないとね。
アンクラスが相手というのは、正直、嫌ですよね。
しかも試合会場は、アルビにとっては因縁のある博多の森ですし。
>でも、そんな事では優勝できませんから、プレッシャーの掛かる試合になったとしても、確実に勝利で終えないとね
そうです、この半年間の激闘と努力を無駄にしないためにも、確実に勝ち点を獲得して欲しいですよね