アルビレックス新潟ユース所属で、アルビレックス新潟に2種登録されているゴールキーパーの渡辺泰広君が、FIFA U-17ワールドカップ2009ナイジェリア大会のグループリーグ第3節にスタメン出場を果たした。
国際サッカー連盟主催の大会に出場するのは、渡辺君でアルビ史上4人目。
U-20ワールドカップで河原と亜土夢、U-20女子ワールドカップのこのみ、そして今回の渡辺君だ。
第1節のブラジル戦、第2節のスイス戦とでゴールマウスを守ったのはヴィッセル神戸ユースの嘉味田君。
しかし、ブラジル戦では後半アディショナルタイムに痛恨のオウンゴールをしてしまい、敗戦。
スイス戦では、[2-0]という状況から、4失点してしまい、悪夢の逆転負け。
嘉味田君ひとりの責任じゃないけど、彼のメンタルケアや、絶対に勝たねばならないメキシコ戦という位置づけが、先発ゴールキーパーの変更に繋がったのだろうか。
アルビレックスを応援する者としては、渡辺君のスタメンは喜ばしいのだけど、17歳以下日本代表のグループリーグ突破に黄色信号が灯っている状況での抜擢は、やや心臓に悪い。
勝利のみが義務付けられた試合に、〝うちの子〟が守護神の任を与えられるというのは、ドキドキしてしまう。
嘉味田君が、ああいう気の毒な失点をしただけに、尚のこと渡辺君のことが心配になってしまった。
変な話、テレビモニターに渡辺君があんまり映りませんように、とお祈りしながらテレビ観戦していた。
なぜなら、彼が頻繁に画面に登場するということは、日本が攻められて、ピンチになっていることの証だから。
矢野貴章・河原和寿・田中亜土夢・木暮郁哉が、テレビ中継の伴ったフル代表・年代別代表の試合に出ているときは、こうじゃなかった。
てんで逆。
“テレビ局のディレクターさん、うちの貴章を画面にたくさん映してね”とか“亜土夢よ、もっとボールに絡め”とかを希望したものなのに。
自分の応援するクラブから代表ゴールキーパーが生まれると、“なるべく画面に映らないで”という気持ちが強くなるとは、今日初めて気づいた。
まあ、その一方で若林源三ばりのスーパーセーブをする渡辺君も観てみたいという願望が、頭の片隅に芽生えるのだから、我ながら性質が悪いものだ。
そして実際、そのスーパーセーブが観られたわけだが。
前半の序盤、試合の主導権を握ったのはメキシコ。
山口素弘さんが
“メキシコペースです。
日本は堅くなって、本来の力を出してないですね。
それに、身体が重そうです。”
という解説をしていたけど、そのとおり、開始直後からメキシコが日本陣内に攻め入る場面が目立つ。
枠を外れるか、キーパー正面だから事無きを得ていたけど、失点のピンチが幾度かあった。
そんな中、前半最大の危機は22分に訪れる。
カンポスが、日本側から見て右サイドよりループシュートを放った。
渡辺君が、前に出ているのを見計らってのシュート選択だろう。
しかし、渡辺君は必死に背走して、右手を伸ばしてボールをかき出す!
いやはや、1失点モノの大ピンチを、よくぞ防いだものだ。
後半5分にも、渡辺君の見せ場が。
日本側から見て左サイドよりクロスが飛ぶ。
ペナルティエリア手前のところに、ボールが飛んでいく。
その落下地点にはメキシコ選手が詰めて来ていて、このままじゃ失点しまうかも―という刹那、渡辺君が勇気を持って飛び出し、これをクリアする。
ペナルティエリア外なので、手は使っちゃいけない。
でも、そこを思い切り判断良く飛び出した渡辺君。
もし、その選択をしてなかったら、失点していたかも。
が、この渡辺君のクリアも空しく、メキシコ選手にクリアボールが渡ってしまう。
日本のゴール前は、当然ガラ空きだから、無人のゴールに向かってシュートを打ってきた。
しかし、これは織り込み済みで、一目散に戻った渡辺君が難なくキャッチング。
実況のフジテレビ青島アナが、この一連の渡辺君のプレーを讃えていたが、それも当然の〝適切な〟ディフェンスだったと思う。
U-17日本代表は〝後が無い〟状況だっただけに、緊張で渡辺君がミスをしてしまい、失点してしまうのではないかという危惧を抱いていたのだけど、「無難以上の」守備を見せていた。
アルビユースでも鬼セーブを見せる渡辺君だ!流石だの守備力だ!
だがしかし、渡辺君以上の〝スーパーな守備〟をやってのけた青年がいる。
U-17メキシコ代表のGKであるロドリゲスだ。
[U-17メキシコ×U-17日本]のMOMは、ロドリゲスだ。
彼が神様的なブロックを連発して日本の得点を許さなかったからこそ、メキシコは勝てたのだから。
日本代表は、前半の序盤こそメキシコに押されていたが、前半22分の渡辺君のファインセーブを境に、徐々に巻き返しを図れるように。
東京ヴェルディユースの高木君、前橋育英高校の小島君らが、シュートを放てるようにまで盛り返しだした。
そして、その中心にいたのはガンバ大阪の宇佐美。
前半26分、ミドルシュートを放つも、ゴールの枠をやや外れる。
同30分、ボランチの青森山田高校の柴崎君が後方から飛び出してメキシコDFをひきつけ、その隙に宇佐美がシュート…も枠を外れてしまう。
だが、宇佐美がフィニッシャーとして大いに機能しているので、メキシコが後手に廻りだした。
そして前半終了。
後半、一気に試合の支配権をU-17日本が握った。
様相は、さながら日本のハーフコートマッチ。
猛然と1点を奪いに掛かる。
後半1分、柴崎君がメキシコDFを交わして、シュート!
完全にゴールが決まったと思いきや、メキシコGKロドリゲスが立ちはだかり、ブロック。
残念、得点できず。
そして、ここからロドリゲスの<若林源三に匹敵する>シュートストップショーが始まる。
後半6分、スルーパスを受けた宇佐美が強烈なシュートをお見舞いする。
しかし、これをロドリゲスが指先に触れて軌道を変えてしまう。
ボールはゴールバーに当たり、ゴール陥落せず。
後半9分、宇佐美が最終ラインの背後に抜け出してシュート!
決まったと思った瞬間、ロドリゲスが身体を張ってブロック。
後半19分、中高大中京高校の宮市君からパスを受けた宇佐美がシュートを打つのだが、またもロドリゲスが止める。
ロドリゲスに後半のビッグチャンスを4度も防がれてしまった。
そんなロドリゲスには、運も見方してくれたようだ。
後半12分、宮市君に、ロドリゲスとDFの中途半端なボール繋ぎを狙われてしまった。
ボールを絡め取った宮市君は、ゴール前にラストパスを送る。
これを日本代表の誰かが飛び込んで押し込めば、得点ゲットだ…ったのだが、これに反応した宇佐美の足にぶつからない。
さてさて、サッカーに〝ありがちなのが〟決定的好機をモノに出来ないと、即ち決めるべきときに決めないと、相手にしっぺ返しを喰らうというものだ。
アルビサポは、10月24日のヴィッセル神戸戦を始め、そういうのに何度も遭遇して悔しい思いをしている。
いや、新潟サポ限定の話じゃなく、古今東西あらゆるサッカーファンが、そういう光景を幾度も目にしていることだ。
で、必然的に、脳裏をよぎってしまう―こうも決めきれないと、メキシコにワンチャンスで得点を許してしまうのではないか、と。
実況担当の青島アナも同じ予感がして、“こういうときこそ、DFはリスクマネジメントをしっかりする必要がありますよね”と、解説の山口素さんに同意を求めていたくらいだ。
そしてこれは吾輩や青島アナだけじゃなく、きっと、あの中継を見ていた全ての日本人がそう予感したはずだ。
でもって、その危惧が現実のものとなってしまう。
それは後半20分に訪れた。
前半に惜しいループシュートを放ったカンポスが、ループ気味のシュートを打つ。
今度ばかりは、渡辺君は触れることが叶わず、ゴールネットを揺らされてしまった。
痛恨の失点だ。
だがこれは、カンポスを褒めるべきだろう。
そして、カンポスの先制ゴールを呼び込んだのは、間違いなくロドリゲスの神的な守備だ。
失点の危機を回避できていたから、生まれたゴールだ。
しかし、まだ1点差。
今大会の参加国の中で、日本は得点数は2番目に多いのだ。
残り25分間で逆転するのは可能だ。
ところが、打てども、打てども、ゴールが決まらない。
後半28分、スルーパスに宇佐美が反応、すかさずロドリゲスが止めに掛かる―
しかし宇佐美、アウトサイドキックでシュートを放つ―
ボールはゴールに向かってコロコロと転がる―
しかし、僅かに、僅かに、コースがずれてしまう……
今度は後半31分。
宮市君が左サイドを切り裂き、高速クロスをゴール前に送る。
これに2列目から宇佐美が飛び出して、合わせる!!
今度こそ決まったかと思った刹那、シュートコースの先には、メキシコ選手が突っ立っているではないか。
アンラッキーこの上ない。
そうして、またも繰り返しチャンスを逸しているうちに、2失点目を喫してしまう。
後半34分、フリーキックから…。
カンポスの蹴ったボールは、交替して入ったばかりの選手の頭によって押し込まれてしまう。
これが試合を決するGOALになってしまった。
実況席の青島アナと山口素弘さんの声のトーンが、一挙に下ってしまったのが伝わった。
選手とスタッフはともかく、テレビ中継を見ていた日本人1万人が1万人、負けを感じたはずだ。
吾輩もそう。
その後、青島アナは
<彼らは17歳、まだまだサッカー人生はこれから。>
<この大会で得たものを、今後のサッカー人生に活かしてもらいたい>
という趣旨の話を、執拗にするようになった。
事ここに至っては、そういう実況しか出来ないのだろう。
それが、聞いていて、非常に切なかった。
そして後半ロスタイムも終了し、タイムアップを告げる笛が鳴る。
そのとき、テレビ画面に映っていたのは、悔しさと悲しさからピッチに突っ伏して泣いている渡辺泰広君の姿だ。
前述のように、今日は、渡辺君があまりテレビに映らないでほしいと願っていたのだけど、まさか最後の最後に、ああいう彼の映像を目にすることになるとは…
痛々し過ぎる。
でも、U-17代表の中で最も気の毒であり、悔しさ一入なのは、宇佐美貴史だろう。
彼が両チームを通じて、一番多くシュートを放った。
だが、それは全て空砲。
枠内シュートゼロではない、枠に向かって放ってもGKに遮られ…。
ナイジェリア時間では10月30日だけど、2009年10月30日は、宇佐美にとって17年間の人生で最大の不運日だったのではないか。
=======================
宇佐美もそうだけど、渡辺君にはこの敗戦を糧に、更に成長してもらいたい。
オシムさんも言っていたけど、負けから学ぶこともある。
U-20ワールドカップ、FIFAワールドカップ、という大会も行く行くは控えている。
それにJリーガー契約を勝ち取るという、身近で直近の目標もある。
まだまだ、これからだぞ、渡辺君!!
国際サッカー連盟主催の大会に出場するのは、渡辺君でアルビ史上4人目。
U-20ワールドカップで河原と亜土夢、U-20女子ワールドカップのこのみ、そして今回の渡辺君だ。
第1節のブラジル戦、第2節のスイス戦とでゴールマウスを守ったのはヴィッセル神戸ユースの嘉味田君。
しかし、ブラジル戦では後半アディショナルタイムに痛恨のオウンゴールをしてしまい、敗戦。
スイス戦では、[2-0]という状況から、4失点してしまい、悪夢の逆転負け。
嘉味田君ひとりの責任じゃないけど、彼のメンタルケアや、絶対に勝たねばならないメキシコ戦という位置づけが、先発ゴールキーパーの変更に繋がったのだろうか。
アルビレックスを応援する者としては、渡辺君のスタメンは喜ばしいのだけど、17歳以下日本代表のグループリーグ突破に黄色信号が灯っている状況での抜擢は、やや心臓に悪い。
勝利のみが義務付けられた試合に、〝うちの子〟が守護神の任を与えられるというのは、ドキドキしてしまう。
嘉味田君が、ああいう気の毒な失点をしただけに、尚のこと渡辺君のことが心配になってしまった。
変な話、テレビモニターに渡辺君があんまり映りませんように、とお祈りしながらテレビ観戦していた。
なぜなら、彼が頻繁に画面に登場するということは、日本が攻められて、ピンチになっていることの証だから。
矢野貴章・河原和寿・田中亜土夢・木暮郁哉が、テレビ中継の伴ったフル代表・年代別代表の試合に出ているときは、こうじゃなかった。
てんで逆。
“テレビ局のディレクターさん、うちの貴章を画面にたくさん映してね”とか“亜土夢よ、もっとボールに絡め”とかを希望したものなのに。
自分の応援するクラブから代表ゴールキーパーが生まれると、“なるべく画面に映らないで”という気持ちが強くなるとは、今日初めて気づいた。
まあ、その一方で若林源三ばりのスーパーセーブをする渡辺君も観てみたいという願望が、頭の片隅に芽生えるのだから、我ながら性質が悪いものだ。
そして実際、そのスーパーセーブが観られたわけだが。
前半の序盤、試合の主導権を握ったのはメキシコ。
山口素弘さんが
“メキシコペースです。
日本は堅くなって、本来の力を出してないですね。
それに、身体が重そうです。”
という解説をしていたけど、そのとおり、開始直後からメキシコが日本陣内に攻め入る場面が目立つ。
枠を外れるか、キーパー正面だから事無きを得ていたけど、失点のピンチが幾度かあった。
そんな中、前半最大の危機は22分に訪れる。
カンポスが、日本側から見て右サイドよりループシュートを放った。
渡辺君が、前に出ているのを見計らってのシュート選択だろう。
しかし、渡辺君は必死に背走して、右手を伸ばしてボールをかき出す!
いやはや、1失点モノの大ピンチを、よくぞ防いだものだ。
後半5分にも、渡辺君の見せ場が。
日本側から見て左サイドよりクロスが飛ぶ。
ペナルティエリア手前のところに、ボールが飛んでいく。
その落下地点にはメキシコ選手が詰めて来ていて、このままじゃ失点しまうかも―という刹那、渡辺君が勇気を持って飛び出し、これをクリアする。
ペナルティエリア外なので、手は使っちゃいけない。
でも、そこを思い切り判断良く飛び出した渡辺君。
もし、その選択をしてなかったら、失点していたかも。
が、この渡辺君のクリアも空しく、メキシコ選手にクリアボールが渡ってしまう。
日本のゴール前は、当然ガラ空きだから、無人のゴールに向かってシュートを打ってきた。
しかし、これは織り込み済みで、一目散に戻った渡辺君が難なくキャッチング。
実況のフジテレビ青島アナが、この一連の渡辺君のプレーを讃えていたが、それも当然の〝適切な〟ディフェンスだったと思う。
U-17日本代表は〝後が無い〟状況だっただけに、緊張で渡辺君がミスをしてしまい、失点してしまうのではないかという危惧を抱いていたのだけど、「無難以上の」守備を見せていた。
アルビユースでも鬼セーブを見せる渡辺君だ!流石だの守備力だ!
だがしかし、渡辺君以上の〝スーパーな守備〟をやってのけた青年がいる。
U-17メキシコ代表のGKであるロドリゲスだ。
[U-17メキシコ×U-17日本]のMOMは、ロドリゲスだ。
彼が神様的なブロックを連発して日本の得点を許さなかったからこそ、メキシコは勝てたのだから。
日本代表は、前半の序盤こそメキシコに押されていたが、前半22分の渡辺君のファインセーブを境に、徐々に巻き返しを図れるように。
東京ヴェルディユースの高木君、前橋育英高校の小島君らが、シュートを放てるようにまで盛り返しだした。
そして、その中心にいたのはガンバ大阪の宇佐美。
前半26分、ミドルシュートを放つも、ゴールの枠をやや外れる。
同30分、ボランチの青森山田高校の柴崎君が後方から飛び出してメキシコDFをひきつけ、その隙に宇佐美がシュート…も枠を外れてしまう。
だが、宇佐美がフィニッシャーとして大いに機能しているので、メキシコが後手に廻りだした。
そして前半終了。
後半、一気に試合の支配権をU-17日本が握った。
様相は、さながら日本のハーフコートマッチ。
猛然と1点を奪いに掛かる。
後半1分、柴崎君がメキシコDFを交わして、シュート!
完全にゴールが決まったと思いきや、メキシコGKロドリゲスが立ちはだかり、ブロック。
残念、得点できず。
そして、ここからロドリゲスの<若林源三に匹敵する>シュートストップショーが始まる。
後半6分、スルーパスを受けた宇佐美が強烈なシュートをお見舞いする。
しかし、これをロドリゲスが指先に触れて軌道を変えてしまう。
ボールはゴールバーに当たり、ゴール陥落せず。
後半9分、宇佐美が最終ラインの背後に抜け出してシュート!
決まったと思った瞬間、ロドリゲスが身体を張ってブロック。
後半19分、中高大中京高校の宮市君からパスを受けた宇佐美がシュートを打つのだが、またもロドリゲスが止める。
ロドリゲスに後半のビッグチャンスを4度も防がれてしまった。
そんなロドリゲスには、運も見方してくれたようだ。
後半12分、宮市君に、ロドリゲスとDFの中途半端なボール繋ぎを狙われてしまった。
ボールを絡め取った宮市君は、ゴール前にラストパスを送る。
これを日本代表の誰かが飛び込んで押し込めば、得点ゲットだ…ったのだが、これに反応した宇佐美の足にぶつからない。
さてさて、サッカーに〝ありがちなのが〟決定的好機をモノに出来ないと、即ち決めるべきときに決めないと、相手にしっぺ返しを喰らうというものだ。
アルビサポは、10月24日のヴィッセル神戸戦を始め、そういうのに何度も遭遇して悔しい思いをしている。
いや、新潟サポ限定の話じゃなく、古今東西あらゆるサッカーファンが、そういう光景を幾度も目にしていることだ。
で、必然的に、脳裏をよぎってしまう―こうも決めきれないと、メキシコにワンチャンスで得点を許してしまうのではないか、と。
実況担当の青島アナも同じ予感がして、“こういうときこそ、DFはリスクマネジメントをしっかりする必要がありますよね”と、解説の山口素さんに同意を求めていたくらいだ。
そしてこれは吾輩や青島アナだけじゃなく、きっと、あの中継を見ていた全ての日本人がそう予感したはずだ。
でもって、その危惧が現実のものとなってしまう。
それは後半20分に訪れた。
前半に惜しいループシュートを放ったカンポスが、ループ気味のシュートを打つ。
今度ばかりは、渡辺君は触れることが叶わず、ゴールネットを揺らされてしまった。
痛恨の失点だ。
だがこれは、カンポスを褒めるべきだろう。
そして、カンポスの先制ゴールを呼び込んだのは、間違いなくロドリゲスの神的な守備だ。
失点の危機を回避できていたから、生まれたゴールだ。
しかし、まだ1点差。
今大会の参加国の中で、日本は得点数は2番目に多いのだ。
残り25分間で逆転するのは可能だ。
ところが、打てども、打てども、ゴールが決まらない。
後半28分、スルーパスに宇佐美が反応、すかさずロドリゲスが止めに掛かる―
しかし宇佐美、アウトサイドキックでシュートを放つ―
ボールはゴールに向かってコロコロと転がる―
しかし、僅かに、僅かに、コースがずれてしまう……
今度は後半31分。
宮市君が左サイドを切り裂き、高速クロスをゴール前に送る。
これに2列目から宇佐美が飛び出して、合わせる!!
今度こそ決まったかと思った刹那、シュートコースの先には、メキシコ選手が突っ立っているではないか。
アンラッキーこの上ない。
そうして、またも繰り返しチャンスを逸しているうちに、2失点目を喫してしまう。
後半34分、フリーキックから…。
カンポスの蹴ったボールは、交替して入ったばかりの選手の頭によって押し込まれてしまう。
これが試合を決するGOALになってしまった。
実況席の青島アナと山口素弘さんの声のトーンが、一挙に下ってしまったのが伝わった。
選手とスタッフはともかく、テレビ中継を見ていた日本人1万人が1万人、負けを感じたはずだ。
吾輩もそう。
その後、青島アナは
<彼らは17歳、まだまだサッカー人生はこれから。>
<この大会で得たものを、今後のサッカー人生に活かしてもらいたい>
という趣旨の話を、執拗にするようになった。
事ここに至っては、そういう実況しか出来ないのだろう。
それが、聞いていて、非常に切なかった。
そして後半ロスタイムも終了し、タイムアップを告げる笛が鳴る。
そのとき、テレビ画面に映っていたのは、悔しさと悲しさからピッチに突っ伏して泣いている渡辺泰広君の姿だ。
前述のように、今日は、渡辺君があまりテレビに映らないでほしいと願っていたのだけど、まさか最後の最後に、ああいう彼の映像を目にすることになるとは…
痛々し過ぎる。
でも、U-17代表の中で最も気の毒であり、悔しさ一入なのは、宇佐美貴史だろう。
彼が両チームを通じて、一番多くシュートを放った。
だが、それは全て空砲。
枠内シュートゼロではない、枠に向かって放ってもGKに遮られ…。
ナイジェリア時間では10月30日だけど、2009年10月30日は、宇佐美にとって17年間の人生で最大の不運日だったのではないか。
=======================
宇佐美もそうだけど、渡辺君にはこの敗戦を糧に、更に成長してもらいたい。
オシムさんも言っていたけど、負けから学ぶこともある。
U-20ワールドカップ、FIFAワールドカップ、という大会も行く行くは控えている。
それにJリーガー契約を勝ち取るという、身近で直近の目標もある。
まだまだ、これからだぞ、渡辺君!!
池内が嘉味田を2戦目からはずすべきだった。
それぐらいブラジル戦のパンチングミスはありえなかったですし、スイス戦が渡辺君だったら・・・と強く思います。
戦犯は池内と嘉味田。本当にそう思うしくいの残るU-17W杯でした。
でも渡辺君の未来が非常に楽しみです。
実況で青島アナも言及してましたが、メキシコGKロドリゲスも第1節で大チョンボをしでかしたとか。
にも拘わらず、日本戦でビッグセーブを連発しました。
嘉味田君にも、ロドリゲスみたいな反骨心を発露して欲しかったです。
で、池内監督の采配は、守備に関しては裏目に出ましたね。
攻撃ほど、守備には……
監督がもっとメンタルコントロールできていたら―と思わずにいられませんでした。