「最初から結論ありき」の議論は、空しく無意味なもの。
結論が出ているんだったら、喧々囂々の議論なんてやる意味が無いのだけど、そういう結論ありきの議論は、そこかしこにあったりします。
犬飼基昭JFA会長が、Jリーグ側に、リーグの開幕時期を秋に変更することを議題とした話し合いを、早急に行ってもらいたい旨の発言を昨日しました。
年内に結論を出して欲しいという要望を出しています。
議論・話し合い、大いに結構。
ただ、犬飼会長の発言をよくよく吟味してみると、“Jリーグの秋春制は決定事項、それを承認するためのみの会議をしなさい”という風にしか解釈できません。
犬飼会長の要望を受ける形で秋春制を議論した末、Jリーグ側が春秋制堅持を決定した場合、犬飼会長はどういう態度を取るんでしょう?
“馬鹿者!君らは、秋春制と春秋制、どっちがいいかを話し合う必要は無いんだよ
秋春制を2010年から実行することを承認すればいいだけなんだ”
ちょうど1年前、川崎フロンターレの社長に対して、〝ターンオーバー制〟を敷いたことで激怒したように、Jリーグチェアマンや各Jクラブにも、当り散らすような気がします。
犬飼会長の主張にも、「理」はあります。
秋春制にすれば、夏の酷暑の中、選手は走り回る必要はなくなるからパフォーマンスが上がるし、選手寿命も伸びることでしょう。
今夏、等々力陸上競技場では、中野洋司が脱水症状を起こし病院に運ばれました。
中村憲剛選手もまた、7月末の試合で、脱水症状一歩手前のところまでいっています。
運動量をそれほど必要としないGK川口能活が、暑さのために、倒れる寸前にまで追い込まれました。
地球温暖化傾向が止まらない限り、来年以降も、同じような例が起こることでしょうから、犬飼会長の言うように、夏の試合を止めないと、そのうち死者が出ることは否定できません。
1・2月に国際試合があることで、代表選手はオフが取りにくいという事実も、サポーターは無視してはいけません。
だけど、だけど、一方で雪国対策を疎かにしながら、拙速に秋春制に移行し、結果として北国のクラブが潰れてしまったら、どうするのか??
ドイツは、ウインターブレイクを設けているものの、冬場の試合の運営経費は、春・秋に比べて割高になっているそうです。
つまり、冬に試合を催せば、経費が嵩むということ。
経営情報が開示され、アルビの赤字ぶりが明らかになりました。
コンサドーレもベガルタもモンテディオも、数字だけで判断すれば、経営は楽じゃありません。
2010年から移行されたら……
1~2月、新潟や山形や札幌は、全てアウエー遠征すれば、懸案は解決する―――
こういう解決策にもなってない解決策を唱えて、最初から結論ありきの秋春制移行を唱える犬飼会長の姿勢には、やっぱり「NO」です。
サッカービジネスは人の売り買いが一番の利益になるんでそこが特殊です。
超お金持ちがいてこそですが。
今の札幌に3億5千万円はビッグビジネスです。
たぶん残留は絶望的になりましたけど。
新潟もこんな感じで選手の移籍に伴い移籍金が入ってくるようになると懐も暖まるのですが、これには沸き上がり続ける泉のような下部組織と外れの無い外国人スカウト網、そして契約書のプロが必須ですね。
雪国のチームは自前でホムスタ神戸ウィングスタジアムみたいな施設を作れるくらいの資金力を犬飼氏から要求されているんですから、もっともっと商売が上手くならないと。
前のエントリーにかかる事ですが…
「世界基準」を高らかに主張しながら、もっと大きな「世界基準からの逸脱」を主張するおかしさに気がつかない(気づかないふりをしてる?)あたり、症状の重さは深刻ですね。
。
よほど特殊な事情が無い限りホーム・アウェイをほぼ交互に、は秋春制度以上に広く通じる「世界基準」だと思うのですが…。
北国のクラブ云々じゃなく、そもそもJ全クラブのことを、低く見ているんじゃないですかね。
浦和さえ繁栄すれば、他のクラブも潤う的なことを考えているのかも。
或いは、秋春制にすれば歴史に名を残せるとでも思っているか。
サッカーの根幹を成すホーム&アウエーを軽視し、地域密着をも無視するが如き主張には、言葉もありません。
以前は、スタジアムの「暖房化」を図ればいいとか、人工芝を使用すればOKとか主張していたのに、ここにきてそれらの改善案を言うことなく、1・2月は全てアウエーにすればいいと言ったのには、逆に失望しました。
本気で秋春制にしたいならば、道は困難でも、そういうハードの整備だとか、嘆願だとかが必要なのに、そういうのがまるでなし。
第一、サポーターに直接語りかけることすらしない。
相当に犬飼は切羽詰っているのでしょう。
札幌ダヴィの件は、考えさせられます。
事実、ダヴィの移籍金を得られれば、コンサドーレの経営を随分と資するものですから。
一方で、貴重な戦力を奪われるというジレンマ。
アルビユースは、徐々にタレントが豊富になってきています。
これまで、よそのチームからユース上がりのルーキーを獲得したことはありますが、新潟のユースからよそのチームに入団したケースは皆無です。
そうしたら「育成費」が新潟に入ります、大金ではありませんが。
けど、そういうのを続けるしかないですよね。