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片桐ひろみの決意

2007年04月26日 10時50分30秒 | アルビレックス新潟
何年か前、ヨーロッパのサッカー界に単身乗り込んだ、日本人女性サッカー選手の記事を読んだことがある。
サッカー専門誌だったか、スポーツ総合誌だったか、それは忘れたけど、その記事が載っていた。
また、時期は前後するけど、新聞でも、同様の記事が掲載されていた。

記事の趣旨は、こんなものだった。

三浦カズがイタリア1部リーグに移籍したの皮切りに、中田英寿氏、名波浩西澤明訓小野伸二etc.が、次々とサッカーの本場ヨーロッパへと渡っているが、それは男性に限ったことではなく、女性サッカー選手も渡欧していたのだ―――
彼女は、ドイツ・ブンデスリーガの名門チームに所属し、日々、厳しい戦いに身を置いている――

というものであった。
そんなに大きな記事ではなかったと記憶しているけど、珍しい内容の報道だったので、記憶の片隅にインプットされていた。

“えー、澤以外にも、海外でプレーしている選手がいるんだ”
“女子選手だから、ジャパンマネー絡みの入団じゃないはず。
それで本場でやっているんだから、大したものだ”
という感慨を抱いたのも覚えている。


で、その女性アスリートは誰だったのかというと、片桐ひろみのことだったのである。
アルビレックス新潟レディースの精神的支柱であり、昨季のなでしこリーグ2部のMVPに輝いた、あの片桐だ。

2年前、片桐がドイツ帰りだと知って、“ああ、いつか読んだ、ドイツに渡った女性サッカー選手って彼女のことだったんだ”と、軽く驚いたのを記憶している。



きのう25日付の「エルゴラッソ」は、14面と15面に、mocなでしこリーグの特集記事を掲載している。
今週末の開幕を控えて、特集が組まれたのだ。
その15面、片桐のロングインタビューが載っている。
      
ドイツに渡った経緯、ドイツと日本サッカーの違い、帰国して感じた感じたこと、アルビLでの自分の立ち位置、2007シーズンに懸ける気構えなどが語られている。


そして偶然にも、昨日、朝日新聞の新潟版でも、彼女にスポットを当てた記事が載っていた。
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000130704250001
この記事では、新潟に入団して以降の心象風景をメインに、記事がまとめられている。

両方の記事を読むと、今季、真っ白な灰になるまで燃え尽きるようという並々ならぬ決意が、伝わってきた。

男の世界で、OVER30のプレイヤーは珍しくないが、女の世界では非常に稀である。
25~26で現役引退というのが、女性プレイヤーでは一般的なのではないだろうか。
33歳の、そして7月には34歳となる片桐は、引退していて不思議じゃないのだ。
(事実、彼女は3年前に引退しているのに、〝なし崩し〟的に、現役復帰している)

記事を読む限り、彼女は、今季を最後に花道を飾るつもりのようである。

そのためか、片桐は、チームメイトに自分の持っているものを、どんどん伝えていくつもりだという。
ただ今までも伝えていたのだが、それは〝私のプレーを見て、何か感じて〟というものだったらしい。
男子アルビで言えば、昨季までの岡山先輩のようなスタンスか)
しかし、今季は方針を転換したのだそうだ。

<言葉で支援する><練習で気づいたことは、言葉で伝える>
というスタンスを取るのだという。

このことだけでも、片桐の決意の奥深さが、分かるというものだ。
逆に言えば、「黙して語る」という片桐から、若手が感じ取れない部分もあるという事か。
欧米だと、言葉にしないと伝わらないから、この片桐の〝方針転換〟は当然のことであろうが、日本には[盗み見て覚える]という文化がある。
それを考えると、一抹の淋しいもある。


片桐の特集記事を読んで、片桐のプレーから、サポである自分も何かを感じ、サポートしていかなくては、そう感じずにはいられない。
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