NASAのウェッブが銀河衝突の新たな一面を明らかに

NASAのウェッブが銀河衝突の新たな一面を明らかに
この Arp 107 の合成画像は、星の形成と、数億年前にこれら 2 つの銀河がどのように衝突したかについての豊富な情報を明らかにします (下の完全な画像)。
クレジット: NASA、ESA、CSA、STScI

カメラに向かって笑ってください！楕円銀河と渦巻き銀河の相互作用により、Arp 107 として総称されるこの銀河は、2 つの明るい「目」と広い半円形の「笑顔」により、渦巻き銀河に明るい外観を与えているようです。この領域は、2005 年に NASA のスピッツァー宇宙望遠鏡によって赤外線で観測されましたが、NASA のジェイムズ ウェッブ宇宙望遠鏡では、はるかに高い解像度で表示されています。この画像は、ウェッブのMIRI (中赤外線装置)とNIRCam (近赤外線カメラ)の観測を組み合わせた合成画像です。

画像 A: Arp 107 (NIRCam および MIRI 画像)
相互作用する一対の銀河。2 つの銀河のうち大きい方の銀河は中心よりわずかに右にあり、かすんだ明るい白色の中心と、赤とオレンジのさまざまな色合いのガス状の繊維のリングで構成されています。リングの左下と右下に向かって、中心に向かって内側に螺旋状に伸びるガスの繊維があります。リングの左上には、2 つの大きなオレンジ色の塵とガスのポケットに囲まれた目立つ隙間があります。その左側にある小さい方の銀河は、かすんだ白色のガスと塵で構成されており、中心から離れるほど拡散します。この銀河の左下には、より小さく拡散したガス雲があり、端に向かって外側に漂っています。赤、オレンジ、白の銀河が全体に広がっており、構成がよりかすんでいるものもあれば、より明確な螺旋パターンを持つものもあります。


ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のNIRCam（近赤外線カメラ）とMIRI（中赤外線装置）のデータを使用して作成されたArp 107のこの合成画像は、星の形成と、数億年前にこれら2つの銀河がどのように衝突したかについての豊富な情報を明らかにします。
NASA、ESA、CSA、STScI
NIRCam は両銀河内の星を強調し、それらのつながりを明らかにします。つまり、通過中に両銀河から引き寄せられた星とガスの透明な白い橋です。オレンジがかった赤で表された MIRI データは、星形成領域と、多環芳香族炭化水素と呼ばれるすすのような有機分子でできた塵を示しています。MIRI は、超大質量ブラックホールがある大きな渦巻きの明るい核のスナップショットも提供します。

画像 B: Arp 107 (MIRI 画像)

ウェッブの MIRI (中赤外線装置) によって示された Arp 107 のこの画像では、右側の大きな渦巻き銀河の中心にある超大質量ブラックホールが明らかになっています。このブラックホールは、多くの塵を帯状に引き寄せるだけでなく、放出される光が望遠鏡自体の構造と相互作用して生じるウェッブの特徴的な回折スパイクも示しています。
NASA、ESA、CSA、STScI
渦巻き銀河はセイファート銀河に分類され、クエーサーを宿す銀河とともに、活動銀河の2大グループのうちの1つである。セイファート銀河はクエーサーほど明るくなく、距離も遠いため、赤外線などの低エネルギー光で同様の現象を研究するのに便利な方法となっている。

この銀河のペアは、ウェッブが観測した最初の相互作用銀河の 1 つであるカートホイール銀河に似ています。Arp 107 はカートホイール銀河と外観が非常に似ていることが判明した可能性がありますが、より小さな楕円銀河は直接衝突するのではなく中心から外れた衝突を起こした可能性が高いため、渦巻き銀河は渦巻き腕のみが乱されただけで済みました。

衝突はそれほどひどいものではありません。それ以前にも星形成は起こっていましたが、銀河同士の衝突によってガスが圧縮され、より多くの星が形成されるための条件が改善されます。その一方で、ウェッブが明らかにしたように、衝突によって大量のガスが分散し、新しい星の形成に必要な物質が奪われる可能性もあります。

ウェッブは、数億年かかる合体過程にあるこれらの銀河を捉えた。衝突の混乱の後に2つの銀河が再生するにつれ、アープ107は笑顔を失うかもしれないが、将来の天文学者にとって研究対象として同様に興味深いものとなることは間違いないだろう。

Arp 107 は、地球から 4 億 6500 万光年離れた、こじんまりとした星座にあります。

ビデオ: Arp 107 のツアー


クレジット: NASA、ESA、CSA、STScI、Danielle Kirshenblat (STScI)
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、世界最高の宇宙科学観測所です。ウェッブ望遠鏡は、太陽系の謎を解き明かし、他の星々の周りの遠くの世界を観察し、宇宙の神秘的な構造と起源、そして宇宙における私たちの位置を探っています。ウェッブ望遠鏡は、NASA がパートナーである ESA (欧州宇宙機関) と CSA (カナダ宇宙機関) と共同で実施している国際プログラムです。