義父が生きていた頃、何度かスッポンを食べさせてもらった。
用水路で捕まえられたスッポンは、木ぎれで頭を打たれて怒って木ぎれに噛み付く。
木ぎれを強く引っ張っても、首を長く伸ばして、なかなか離さない。
ここぞとばかりに鉈を振り下ろし、首を一刀両断、一気に血を抜いて、スッポンの解体が始まる。
甲羅に沿って包丁を入れ、食べやすい大きさに身を切り取っていく。
外でやる仕事だが、辺り一面生臭い血の匂いが充満し、ちょっと気持ち悪くなる。
しかし、解体したスッポンは、鍋やバーベキューで焼酎の肴となり、地鶏に似た歯触りと味は美味しかった思い出がある。
義父が他界して8年が過ぎた。
スッポンの解体ができる人が身近にいない。
とても自分ではスッポンの解体をしようとは思わない。
もう長いことスッポンを食べていない。
今日、職場近くの排水路で偶然見かけたスッポンから、いたずらっぽい笑顔の義父を思い出した。