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「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」ネタバレ全開批評

2017年12月17日 | 映画感想文
今作はライアン・ジョンソンが監督/脚本で、本当に独立した一つの映画のような内容でした。

良いところもあれば悪いところも…はスターウォーズあるあるなのですが、今作は今までのスターウォーズ観を否定しているかのような印象です。

事前に以下のメイキングでも語られているほど今作は衝撃作です。

ただ、今までスターウォーズを観てきたファンからすれば「?」が出るポイントも多々なわけで、まずはそれを指摘したいと思います。


・ 最初の宇宙戦で爆撃機が爆弾を落とすシーン、なぜ重力が存在する?
・ 爆撃機のスピードが宇宙なのに遅すぎる。
・ レジスタンスの作戦がグダグダ。
・ フォースの覚醒で、レジスタンス>ファーストオーダーだった戦局が真逆になっている。
・ ポー・ダメロンのキャラが本当にダメロンになっている。


・ レイがルークに教えを乞いに来ているので結果なにも修行できていない。
・ ルークがレイに心を開くまでが長い。
・ フォースは自然界に存在するものなのでジェダイは特別ではなく誰でもなれる。
・ 霊体になったヨーダがフォースを使える。
・ ルークも生存中に霊体を作り出せ、人に接触できたりもできる。
・ C-3PO、R2-D2、チューバッカが空気になっている。

・ 追跡装置を破壊するためのシーンがまるまる全部無駄に終わる。
・ 追跡装置を破壊できたとしても本来の目的の場所(クレート)まですでに敵が来ている。
・ 今回フィンは何も成し遂げていない。
・ レイアが宇宙空間に放り出されるシーンが結局生き残るので無駄。
・ レジスタンスの行動がグダグダ。
・ スノークが正体がわからないままあっさり退場
・ レイの両親が特別な人間ではない。

・ クレートでの籠城作戦がグダグダ。
・ キャプテンファズマがネタキャラ化してしまった。


まぁ、挙げればキリがないのですが、とにかく今回レジスタンスが終始頭が悪いので、グダグダで結果人数を大幅に削減してしまいます。クレート籠城作戦を事前に全員に言っておけば、急がなければいけない時にクーデターなんかも防げたはずです。観客をだますための展開なのでしょうが、ストーリーに支障が出る展開はダメでしょ。

ルークが重い腰を上げるまでもとにかく長い。長い上にレイに教える内容が薄い。薄いのにレイはすぐフォースを扱えるようになる。天才肌なのに両親は全然特別ではない。両親の素質はエピソード1で語られているのにここでフォースは自然界に存在するものだから全然特別でもなんでもないって言われると「ちょっと待って」ってなってしまう。スカイウォーカーの絡む物語じゃなかったらそういう新設定もいいのですが、エピソード8になってそういうことを言われると、萎えますよね。

ルーカスにスターウォーズの脚本に口を出されるのはイヤだとしても、元々の設定の確認は原作者であるルーカスに確認を取ったほうがいいと思いましたね。

霊体の定義もそうですよ。ヨーダがフォースで雷を落とすシーンがあるのですが、それ使えるならエピソード6で助太刀しろよってなりますし、ラストのルーク登場シーンも、実は霊体でしたっていうオチにしたいのはわかるのですが、その前にルークとレイアがっつり抱き合っているのはどういう原理なのか知りたいです。

しかも、結局島から出なかったのかいっていうツッコミになってしまいます。海中に沈んでいるXウイングを映すシーンがあるのですが、それ入れるってことは後で使うってことでしょ。使わないならそのシーンに意味はない。レイにもダークサイドに堕ちる危機感を感じているのだから、ミレニアムファルコンで一緒に行けばいいものをそのまま行かせてしまうし、カイロレンを生み出してしまった原因もルークなのだとしたらなおさら一緒に言ってケジメをつけるべきでしょう。最後にまた会おうって消えてる場合じゃない。

別の脚本家なら、最後のクレートシーンで生身のルークとカイロレンがライトセーバーで決闘するシーンにしていたはずです。あんな霊体の遠隔操作術を習得したルークならなおさら生身で行ってレジスタンスに再度希望を与えるべき。彼は希望だったのですから。基地内では生身で登場し、カイロレンと対峙するのは霊体で、実はレジスタンス全員を避難完了するまでの時間稼ぎだったっていうのならめっちゃかっこいい展開なのにと思いました。それでルークはエピソード9で、緑のライトセーバーの授与と、ちゃんとレイに修行をしてほしかった。

そして、今回何と言っても無駄なシーンは、追跡装置を壊すための一連の流れ。キーマスターみたいなやつをスカウトするところから始まり、スカウトできない時にいきなり都合よくもう一人のキーマスターが現れる。花の模様がヒントだったので、実はこっちにも花の模様があって当たりはこっちだったという展開かと思いきや、ただの偶然の出会い。都合良すぎます。しかも怪しさプンプンなので、結局ファーストオーダーに捕まり裏切ります。なにこれ?

しかも、装置破壊寸前で捕まるので、結局フィンと新キャラのローズは何も成し遂げないまま。クレートへたどり着くのですが、そこでもスピーダーに乗って突撃して寸前で共倒れ。なにこれ?

結果から言えば今作のストーリーではフィンは必要なく、2時間半ある内容を2時間以内に短縮できたと思います。しかもですよ、追跡装置を破壊できたとしても、すでに敵の艦隊は惑星クレートを確認できるところまで来ているので、追跡装置を切っても無駄なんです。クレートに逃げ切るだけの燃料しか輸送船に積んでませんし、クレートに宇宙船もないので、そこからハイパースペースに逃げ切ることはこの時点で無理だったのに、なぜそんな作戦にGOを出したのか謎です。もしかしたら、フィンの恋愛要素を入れてってプロデューサーから言われてたのかもしれません。にしても、何かしらレジスタントにとってプラスになる結果をもたらす描き方をしてほしかったです。

個人的にセンセーションだったのは、スノークがあっさり殺されたところですね。カイロレンとレイとの共闘シーンもふまえ、こういうサプライズは個人的に大正解でした。ただ、三部作通しての黒幕かと思わせといてあっさり退場というのは唯一衝撃の展開でよかったのですが、結局スノークが何者か語られないままカイロレンに真っ二つにされたので、その説明はエピソード9にあるのかが気になります。

同時に、レイの両親はどこにでもいるただの一般人っていうサプライズは微妙でしたね。やっぱりスターウォーズサーガって何かしら運命の子が主人公になっているので、だったら修行もせずにそこそこ戦えるあの身体能力とセンスの説明はどうなるんでしょう。

おそらく監督は今作を通して、フォースは自然界どこにでも存在し、誰にでも扱えるもの。だからジェダイも特別なものではなく誰でもなれる。だから一般人のレイでもジェダイになれるっていうのがテーマとして描きたかったのでしょう。だからラストシーンはルークの2つの太陽を見ながら消えるシーンで終わったらキレイだったのに、名も無き子どものワンカットで終わるんです。あの子もジェダイになりうる希望の象徴として訴えかえるような終わり方でした。逆をいえば、エピソード1から続く光と闇、ジェダイとシスの対立、戦いはこの先延々繰り返すのだって言っているようなものです。


最後に、完結となるエピソード9の監督がまたJJエイブラムスで、こんな無茶苦茶な展開から完結せざるを得ない彼へのプレッシャーは1作目より大きいかもしれませんね。現状、カイロレンとハックス将軍を倒せばファーストオーダーは崩壊しますが、それだけならファンはがっかりするでしょう。しかも、旧3部作のメインキャスト(ルーク・ソロ・レイア)がいない初めてのストーリーになります。レイア役の方は昨年ご病気でお亡くなりになられたので、エピソード9はだいぶ年数を過ぎた後の物語にしないと繋げられないですよね。だから、母艦が撃たれて宇宙に投げ出されるシーンで亡くなったことにしておけばよかったかなぁと思います。霊体となったレイアが島にいるルークに会いに行って説得する展開とかでもいいじゃないですか。


ともあれ、何かと衝撃の「最後のジェダイ」でした。
スターウォーズシリーズは毎回賛否分かれる作品ですのですが、ファンムービーと揶揄された「フォースの覚醒」よりは断然いい。批判を恐れず新しい試みをバンバンしているので総評的には良かったと思います。原作者のルーカスも既存の焼き増しや懐古主義は大嫌いですから、前作は酷評し、今作は好評しているみたいです。



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