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映画感想文 Vol.42 「大停電の夜に」

2006年05月13日 | 映画感想文
大停電の夜に (2005)
★★★★★★★★☆☆



率直な感想を言うと、すごく好きです。
二時間ちょっとあるけど、全く長く感じない。むしろもっと見ていたいと思う。そして、全てに置いて優しいんです。(その理由はこれから語ります)

ストーリーはというと、
クリスマスイヴの夜、東京が停電になってしまう。そんな真っ暗な都会の一夜の物語です。夜が明けるまでの数時間の。

登場人物たちは、閉店を決めたバーのマスター、その向かいで賑わうキャンドルショップの店員。そして愛人に別れを告げる中年男、エレベーターに閉じこめられた男と女、真実を明かされる老人、昔の恋人と再会した男と女、自殺しようとする女と天体マニアの少年などなど。最初、無関係のように思える彼らに、思わぬつながりが見えてくる。

このリンクが、まさに群像劇の醍醐味で、普段は出会わない人たちが、〝大停電〟という事故をきっかけにして出会っていく。そういう人の繋がりがすごく面白しろくて、作品世界に見入ってしまう。単純に、あぁこことここが繋がるんやぁ、ここもこう繋がるわけかぁと感心する自分と、人間の繋がりって何だろうとはたと考えてしまう自分がいた。

また、ロウソクの灯りがすごくキレイなんです。ロウソクが並べられたバーは、幻想的な光景のようで、美しく、その優しい灯りが落ち着く。あぁ、ロウソクっていいなぁって思える。

また微妙なさじ加減が素敵なんですよ。ふっと笑えるシーンもあれば、ぐっと泣けるシーンもある。泣切ないけど笑えるシーンなどもあって、その微調整は日本映画ならではだと思います。これはハリウッドでは真似できない、自慢できる部分だと思います。

ゆったりとしてて、バックに流れるジャズミュージックがまた作品の世界観と合っている。ちょっと幸せになれる映画だと思いますね。

ただ一組だけリンクしてないのが、病気の女性と少年。彼らの物語もいいんですけど、他の組と比べると、薄いと思えてしまう。まぁ、全てがリンクするのは不自然と考えてあえて離れたもの一つ置いたのかもしれませんが、ちょっとそこだけ気になりましたね。そのシーンは別になくとも物語に影響しませんからね。

でも、あれだけ大勢の登場人物がいたけど、全て頭に残ってるし、どういう性格も見えてくるので、すごいと思いました。

これはもう何回か観たいと思える作品です。特に夜に見たいですね。ちょうど、深夜三時くらいから。終わる頃には夜が明け始めてるくらいがちょうどいい。

これはぜひ。

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