朝から嫌になるような現場ではあるが、
仕事を選ぶことなどもってのほかである。
季節も選べない。
室内空調と言えど天井裏は熱がこもりまるでサウナである。
点検口を開けて計測から始まるのだが、
こともあろうに結線が間違えて設置されているため
テスターですべての確認から始まる。
仕事の準備とトラブルシューティングに約1時間ちょっとである。
作業納品を終えた頃にはシャツはビショビショである。
予想はしていたが半端じゃない。
次の現場へ移動している間に車のエアコンで乾かすも、
独特の臭いに着替えを持ち合わせていてよかったと思う。
悲しいことに飲めば飲むほど汗で流れる。
早く夏が終わらないかな。
汗をかけることが健康かもしれない。
そう言い聞かせるしかない。
ゆっくり出来る時間があるのなら、
また滝の写真でも撮りに行って涼みたいのだが
なかなかそういう時間も持てない。
最近、駐車場に面したアパートの1歳半の女の子が
毎朝見送りで手を振ってくれる。
最初はただボッと立ってみていただけだが、
ようやく笑いながら手を振って送り出してくれるようになった。
嬉しいものである。
眩い光に包まれ笑う
幼いわが子を見てると
穢れのないその目に映った景色は
明るい希望にあふれてた。
振り向けばそこには見慣れた街が
朝日にさらされていた。
そんな俺を育てたみなしごの街
涙の港があった街。
遥かなる故郷 柳 ジョージさんの1曲である。
じんわりと暖まる歌である。
話は少し変わるが、ジョージさんが無くなって何年たつだろうか。
最後のライブ、吉祥寺へ行ってから何年たつだろうか。
アコースティックバージョンの曲を歌っていた。
いつものギラついた重厚なサウンドではなかったが、
ジョージさんの声には泣けてしまった。
髭を剃ったのを知らなかったので初っ端は面食らったのだが、
そこにはジョージさんがいた。
少ない人数でのセッションだったがとても感動した。
ライブを終えた後の事だった。
ステージから記憶に焼き付けるかのようにジョージさんが
ゆっくりと集まったファンをひとりひとり見ていた。
それが自分にとっての最後だった。
でも心に残る曲は今でも聴いている。
ギターでも弾くことが出来ればいいのだが、
あいにく何年やっても上達しない。
でもそれでいい。
それがいい。
それでいい。