その日はいつもより少し遅い朝を迎えた。
梅雨の中休みか、決していい天気ではなかったが、暑くなる前に少し走ろうと思って山に向かった。
以前も来たことがあったが、南畑ダムの先の川を見下ろす駐車場にバイクを停めた。
屋根が着いた丸太のイスに腰かけて一息ついていた。
やがて一台の車が止まり、初老の紳士が降りてきた。
目が合ったので軽く挨拶を交わすと、『お兄さん(私の事)コーヒー飲むね?』と声をかけられたので、せっかくなので甘えることにした。
キャンプグッズとコーヒーカップにペットボトルの水をテーブルに置いて、手馴れた感じでお湯を沸かし始めた。
珍しいバイクに乗っていると、たまに見ず知らずの人(特に年配の方)から声をかけられることがある。
今回もそんな感じだと思っていた。
紳士の話は麓の不入道観音で湧き水を汲んできたことから始まった。
『山の空気を吸いながら飲んだり食べたりしたら、美味しかでしょうが?』
お湯を沸かしながら話が弾む。
その紳士は会社を経営していたが、その代を息子さんに譲り一線を退いた後、日本全国を行脚するのが趣味だと言っていた。
何ヶ月もかけてあちこちまわり、自炊して車中泊をしてるらしい。
いつ災害が起きてもいいようにと、食料や水など車に積んで備えているとか。
よく災害が起きた時に、救援物資が届かないなどと文句を言う奴に限って、そういう備えができてないことが多いと…
また離島に足を運ぶことが好きで、ほとんどの有人島には行ったことがあると…
あと行ってないのが、南大東島と小笠原諸島にある青ヶ島と言う島だとか。
青ヶ島とか初耳だよ(笑)
死ぬまでに制覇するか、一つくらい行けなかった島を残して死ぬのがいいか迷っているとか…
なんともスケールのデカい話である(笑)
また、石垣島にも5年ほど住んでいたとか…
島にコテージを何棟か建てて、ホームレスをスカウトしてから建物の管理を任せたりなど、社会貢献とも言える活動までされていたそうです。
とにかく数千万単位のお金を動かしていたらしく、物ではなく人に投資すると。
時には裏切られることもあったらしいが、必ず自分に帰ってくると。
すごくためになる話もあるのだが、話が尽きない(笑)
コーヒー1杯でなんと6時間超💦
家内の2回目の電話でようやく席を立ち、挨拶をしてバイクに乗ったのが、14時半のことだった(笑)
昼メシを食いそびれたのは言うまでもない😱
その反動からか、息子を誘って居酒屋にきた。
なにぶんスケールの小さい親父であるが、息子よヨロシク頼む(笑)