あの日あの時あの場所で ~妻が免許を取った訳~

2013年10月30日 | 雑文
夫とタンデムを始めてから十数年。
自分で運転することはまったく考えていなかった妻ですが。
昨年急に思い立って教習所に通い始め、
今年の3月にどうにか小型二輪の免許を取ることが出来ました。




きっかけは実に些細なこと…と言うより、
平たく言ってしまえば“盗み聞き”です。おいおい。




あれはいつものように、タンデムで出かけたときのこと。




灼熱地獄の夏、京都の市街地。
すり抜け(…)するのも無理があるくらい、混雑した狭い道。
タンデムでぐったりした我が家の斜め前に、
おば様…と言うより、お孫さんが居てもおかしくない様な年齢のご婦人が2人、
原付で並んで信号待ちをしていました。




最初は仲良し奥様が、スーパーに連れ立って買出し?などと
特に気にも留めていなかったのですが。
聞くとも無く聞いていたお2人の会話の内容に、
妻は激しく惹かれてしまったのです。
以下、意訳。



おば様A「あっつ、暑いなあ。次のコンビニで休憩しよか」

おば様B「そうやね、△△(おそらく目的地。寺社?)までに休んどきたいわ」

おば様A「飲み物飲んで、トイレも行っとこか」

おば様B「あともうちょっとやね」

おば様A「後で地図見るわ。見ても分からへんけど(笑)」

おば様B「(笑)。あ、××さん(おそらく共通の知人?)ておるやん?」

おば様A「うん」

おば様B「あの人もうちらみたいに、スクーター乗って遊びに行ったりするらしいで」

おば様A「そうなん?今度誘ってみよか?」




見ればお2人とも、市外ナンバー。
ご本人達はきっと、“ツーリング”などという言葉はご存じないのかもしれません。
だけど…




めっちゃ気軽にツーリング楽しんでる!
そうか、そう言うのも有りなんや!!

(すみません関西人なもので…)




…批判覚悟で書いてしまうとですね。
バイクって何というのか。



『分かって無い奴が乗るんじゃねえ!』



みたいな空気ありますよね。



出先でトラブったらどうするんだ、
生半可な気持ちで乗ったら事故るぞ、
乗るならカッコ良く乗れ!
整備くらい自分で出来て当たり前!…みたいな。



…いや、確かに車に比べればメカニカルなトラブルも多いですし、
危険率も高いとは思います。
生半可な気持ちで乗ったら事故る…どこでは済まないですし、
カッコ良く乗る≒運転が巧い(速い、とは違いますが)とも言えますし。
ある程度の整備が出来ないと、車体寿命に響きますし。




分かって無いよりは絶対、分かってる方が良いと言うのは分かります。




だからこそ妻も、自分が運転すると言う事に対して、
この瞬間まで想像力がまったく働かなかったわけですが。




でもねえ…




そんな難しいことをかっ飛ばして。
世代的にはもう、スクーターどころかラッタッタとか言ってそうなご婦人方が。
キャッキャウフフで“ツーリング”を楽しんでいる様が、
バイクに対する妻の固定概念をひっくり返すくらいの衝撃だったのです。




『とりあえず免許取ろう。向いてなければ乗らなきゃいいや』




急に気軽な気持ちになってしまった妻は、
この後半年掛かって免許を習得する羽目になったのでした。




気持ちは気軽でしたが、免許習得はちっとも気軽じゃ無かったよ…
でもバイクに乗れるようになって、本当に良かった。
タンデムの方が楽だからあんまり運転しないけどね!





『で、その犠牲が俺なん?』

…まあ、そう言うことになるね。







あの日あの時あの場所でお話をしていた、
名前も知らない原付乗りのご婦人方。
妻が免許を取ったのは、貴女方のお陰です。
本当に、本当に有難う。







~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






追記






さらに後押しされたのは、まっくすさまの


せっかくだから妻さんも免許取って二台で出かけるってのはどうですか^^?


という書き込みと。



義弟1号の



『XL直ったら妻さんも免許取ったら良いじゃないスか』



という発言が大きかった…と書き加えておきます。






まっくすさまと義弟1号にも感謝!





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2 コメント

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なんか不思議 (まっくす)
2013-10-31 20:14:01
日本中にはりめぐらされてる電線を通じて、そのどこかにいる顔も知らない誰かになんらかの影響を与えたり与えられたりする。

・・・・インターネットってスゴイですね(^^ゞ


特に我らの世代は、黒電話時代からネットが当たり前になった時代までをリアルタイムで見てきてますから(笑)




”バイク=速さ” もしくは”バイク=カッコ良さ”みたいな風潮がどこかにあって、何時でも目を三角にして歯を食いしばってバイクウェアをビシッと決めてバイクに乗ってる人もたまに見かけます。

そういう付き合い方も否定はしませんが、疲れちゃうと思うんです。


自転車よりは遠くに楽に行ける。
自動車よりは金銭的な維持も楽で小回りがきく。


バイクとはそういうちょっと便利な乗り物くらいの感覚で細く長く乗り続けられたらいいな、と思ってます。


でも自転車で日本一周しちゃう人もいるくらいですから、少しずつ行動範囲を広げていってそのうちぜひ御夫婦で山梨まで!(笑)









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まっくすさまへ ()
2013-11-04 22:43:30
それはまた窓が95だった頃。
バン子ことバンディット400がバリバリの現役だったあの頃。
トップの写真1枚を呼び出すのに数十分かかるような電子の海が、18年後にはバイクの運転を始める後押しになるなんて。
インターネットとバイクが妻にとってここまで日常になるなんて。
本当にすごいです^^
免許習得のきっかけが盗み聞き、後押しがインターネットと言うのは非現実っぽいですが。笑。


>自転車よりは遠くに楽に行ける。
自動車よりは金銭的な維持も楽で小回りがきく。

本当にこれですよねえ。
実は教習があまりにも進まず挫折しそうになったとき、教習所の先生にも似たようなことを言われました。
原二はちょっと大きくて楽できる自転車だと思えば良いから!だからそこまで構えなくても大丈夫!みたいに。
そう言ってもらってから少し気楽になって、教習がだいぶマシになった覚えがあります。


ただ…

>何時でも目を三角にして歯を食いしばってバイクウェアをビシッと決めてバイクに乗ってる人もたまに見かけます。

妻は時速30kmで走っていても、未だに緊張しすぎてこの状態orz
もうちょっと気楽に、身軽にバイクと付き合っていけたらな、と思っています。
まずは幹線道路に慣れないと…(遠い目)
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