絵本のタイトルは『飛び出せインキュベース!』。
プロセスとしては、まず大体の構成を考え、
絵コンテのような要領でざっとラフにスケッチするところから始まる。
そして正式に清書用のケント紙に鉛筆で下書きをして行く。
その後ペンを入れ、鉛筆の下書きを消して行く。
最後に色鉛筆で色塗りをして仕上げて行くのだが、
この絵コンテから完成まで、丸々2ヶ月くらい鰍ゥった。
しかし、最初の構想から絵コンテに着手するまでには
約5年もの年月が経ってしまっている。
全30ページとなったが、10月末を期限に設定し、
最後は気合いで何とか描き上げた。
項目に区切って、あらすじと幾つかの制作話を書いてみたい。
【あらすじ】
とても仲良し兄妹のミライ君(12歳)とユメちゃん(11歳)。
いつも斬新なアイディアを持っていた二人は、常に学校の人気者であった。
二人の噂は横浜新聞社の目に止まり、小学生アイディア大賞を受賞。
その受賞式にたまたま参加していた総合商社“ミレニア物産株式会社”の
若手商社マンのススムさん(23歳)。彼は二人の才能に惚れ込み、
二人に会いに行こうと決める。そして二人の家を訪れると、
何とそこには驚くべき4つの革新的なアイディアが!
ススムさんは興奮して会社に戻ると、
社内でプレゼンする為の資料作成に取りかかる。
そしてついに幹部へのプレゼン会議。
幹部に対してこの2人に投資し、新会社の立ち上げを提案するが、
幹部からは否定的な意見ばかりで、反応はとても厳しく、
賛同が得られない。
でもススムさんは諦められず、日本中のメーカーを駆けずり回り、
2人のアイディアを製品にしてくれる会社を一生懸命に探す。
しかし、各社忙しく、なかなか小学生のアイディアをベースに
した新製品の生産に賛同してくれる会社は現れない。
落胆し、諦めかけていたその時、
イノビアグループの会長がススムさんの前に現れ、
製品化を検討してくれることに。
実はイノビアグループの会長も、
小学生アイディア大賞の受賞式を見ていたのだ。
この結果をミレニア物産に戻って社長に報告し、
ついには社長の投資許可を獲得。
ススムさんのリードでメーカーとの提携を実現し、
ミライ君とユメちゃんは、ススムさんと3人で
新しい技術開発会社、『インキュベース』を立ち上げる。
そして2年後に発売された4つの製品はどれも空前の大ヒット!
インキュベースショップもオープン。
世の中に斬新なアイディアを送り込んだ3人は
世界にも認められる日本のIT企業となったのだ。
しかし、ミライ君もユメちゃんもこの状況にうかれることなく、
今日も次の発明に没頭するのであった。 おしまい。
【タイトルに込めた思い】
インキュベースとは、2005年に会社の中で立ち上げ、
自ら立ち上げメンバーとして関わった投資会社に僕が名付けた社名。
とても思い入れのある言葉であり、新しいものを創造する、
つまりインキュベーションする為の基地(ベース)という意味の造語である。
この絵本作品は小学生に焦点を当てながらも、
ベンチャー企業立ち上げの物語である。
そしてこの作品は、匠の技、ものづくりへの拘りと情熱を、
如何に良いアイディアと結びつけて世界へと発信すべきか、
というメッセージも込め、世界でも厳しい状況に直面している
日本のメーカーに対するエールでもある。
よって、“インキュベース”はこれを象徴する言葉として、
どうしても使いたかった言葉であった。
そして、普段仕事で自分がいつも経験していることだが、
大会社において、新しいチャレンジに対して
強い信念を持って新しい事業に向かって進んで行くことの
大切さを、ススムさんというキャラクターを借りて
メッセージとして描いてみたかったという思いもある。
また、ストーリー的に子供には難しいこのテーマを
如何に分かりやすくするかが大変だったが、
娘を専属アドバイザーに起用し、子供視点でも
わかりやすいように心鰍ッたつもりである。
【キャラ・メカデザインと設定】
普段から“アイディア帳”をつけており、
ひらめいたアイディアやちょっとしたキャラクターデザインや
イメージを書き留めておくのに使っているが、
この絵本作品もかなり前からこのアイディア帳に描き溜めていた
多くのアイディアによって作られている。
まず兄妹という設定も当初色々なパターンがあった。
小学生の女の子一人を主人公にするか、兄妹では無く、
小学生の友人2人が組んで立ち上げるというのも考えていたが、
結局女の子も登場させたいという思いもあって、
兄妹という設定で落ち着いた。
主人公のミライ君とユメちゃんのキャラデザインは
比較的すぐに決まったが、ススムさんを始め、
その他登場する細かいキャラクターは
たくさんのキャラを描き、その中から決めて行った。
絵本の新技術に登場するメカデザインも何度も描き直し、
ようやく納得の行くデザインに落ち着いた。
絵本の中に登場するミライ君とユメちゃんの家は、
自宅のデザイン『Blue Deco』をそのまま採用。
【4つの革新的なアイディア】
この絵本は4つの技術アイディアが柱となっている。
各アイディアの詳細は、ここでは公表することを避けておくが、
どれも僕が長年考えていたもので、とても強い思い入れを持っている
アイディアばかりだ。何らかの形で公表したいと思っていたが、
絵本を使ってとりあえず表現出来たのは本当に良かった。
絵本の中では、各技術の概要と、その用途などを説明している。
どれも僕が純粋に“あったら便利だなあ”と思うアイディアだが、
4つの内ようやく2つくらいは技術的にも実現にやや
近いところに来ているのでは無いかと思うので、
実際に実現する日が来ることを楽しみにしたい。
この絵本『飛び出せインキュベース!』は、
これから絵本の形に製本したいと考えているので、
またその模様はこのブログでも紹介したいと思う。
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