

TLCことT-ボズ、レフト・アイ、チリの3人は1992年にデビューし、3枚の大ヒットアルバムをリリース。シングル『Waterfalll』、『No Scrubs』などが大ヒットし、グラミー賞も受賞。たちまち世界一のガールズグループとして90年代を席巻し、一時代を築いたのだ。しかし、2002年にレフト・アイが不慮の事故で他界。それ以来TLCとしての活動は停滞してしまう。

今回、クラウドファンディングのKickstarter上で、ファンに対してアルバム制作資金の出資を募ったところ、出資募集期間内に総計40万ドル以上を集めることに成功、無事に新たなアルバム『TLC』の発売日を迎えることとなった。
ニューアルバム『TLC』は下記12曲を収録。どの曲もあまり長過ぎず、清々しさを漂わせている。
1. “No Introduction”
2. “Way Back” (Feat. Snoop Dogg)
3. “It’s Sunny”
4. “Haters”
5. “Perfect Girls”
6. “Interlude”
7. “Start a Fire”
8. “American Hold”
9. “Scandalous”
10. “Aye MuthaFucka”
11. “Joy Ride”
12. “Way Back” (Feat. Snoop Dogg) [Extended Version]
1曲目の「No Introduction」は、昔のヒット曲名などもリリックに入れながら、"私たちに自己紹介は必要ない!"と言う貫禄と、新たなる挑戦を高らかに宣言しているようだ。

MVが先行公開された2曲目の「Way Back」ではSnoop Dogを迎え、マイケル・ジャクソン、マーヴィン・ゲイ、プリンスらの名前を出して過去を振り返る。
何と言っても、3曲目の「It's Sunny」が最高である。アルバムの中で一番好きなイチオシ曲だ。Earth, Wind & Fireのあの名曲、「September」を大胆にサンプリングした底抜けに明るくャWティブな曲となっている。
ラップで始まる4曲目「Haters」は、サビがメロディアスで明るい曲。"色々なことを言うやつには言わせておけばいい!"と、個性を賛美するメッセージが歌われる。

9曲目「Scandalous」はちょっと切ないメロディーで気に入っているし、10曲目の「Aye MuthaFucka」は過去のダメ男をパッシングする内容なので、「No Scrubs」にも通ずる曲だが、メロディーには明るさを漂わせる。
また、ミディアムテンモフ11曲目「Joy Ride」もジャネットジャクソン的なサウンドで、ライトな明るさがとても心地良い好きな曲だ。ファンに対して、これまで応援してくれたことに対する最後の感謝(Thank you)を告げるような内容で、とてもャWティブなメッセージが伝わってくる。

アルバム全体的に、若い頃のギラギラ感満載なヒップホップサウンドでは無く、アダルトファンクな雰囲気が漂う上質なR&Bアルバムに仕上がっているので、僕のようなかつてのTLCファンであった年代が、昔のTLC的な要素も楽しみながらも、成熟した彼女たちの、年相応の落ち着いたサウンドが楽しめる内容になっている。
TLCの懐かしさと共に、久々に良いR&Bアルバムに出会ったと言う思いだ。