僕の師匠、ブルース・リーはシアトルに眠っている。彼はシアトル大学の哲学科に通い、学生時代をここシアトルで過ごした。また、彼の武道”截拳道”の道場を初めて開いた場所でもある。更には道場の生徒で、後に生涯の伴侶となったリンダと巡り合ったのもシアトル。お墓があることからもわかる通り、シアトルはブルース・リーにとってゆかりの地、そして世界のブルース・リーファンにとって”聖地”なのである。
僕はこれまでにも人生の節目にブルース・リーのお墓参りをしてきたが、ここ8年くらいはシアトルを訪れる機会が残念ながら無かった。なので、今回また訪れることが出来たのは感無量である。
今回初めて訪れたのが、レイクワシントンのほとり。ここはブルース・リーが良く瞑想していた場所としても有名なのだが、実際の場所は今も昔も変わらず、美しい湖の佇まいを保っており、ブルース・リーに思いを馳せながらレイクワシントンをしばし見つめた。
ブルース・リーが眠るLakeview Cemeteryは シアトル市内から車で10分程度。まさに名前の通り、レイクワシントンが見える美しい丘の上にある。今回桜がキレイに咲いていた。そしてこの日は最高の天気だったので、青い空に桜が映えていた。
ブルース・リーのお墓は数年前からお墓の周りが柵で囲まれ、整備されている。世界中から多くのファンが訪れる為、お墓を保護する為に整備したらしい。この日も途切れることなくファンが訪れていた。ブルース・リーのお墓の隣には、息子ブランドンのお墓がある。二人並んで美しい景色を眺めることが出来るというのは師匠にとっても最高のロケーションだろう。
僕は少しゆっくりと時間を取り、昨年転職したことなども師匠に報告。人生の節目にここを訪れると、何だかいつも気持ちが晴れてすっきりする。僕にとっての最強パワースポットなのである。
そしてお墓参りの後は、これまたお約束のシアトルチャイナタウンへ。ここもブルース・リーが学生時代に過ごしたゆかりの地が多くある。この2枚の写真は、ブルース・リーが開いた道場があった2つの建物。どちらも今はレストランになっている。
そして、ブルース・リーが良く通っていた中華料理店、Tai Lungへ。今でも当時ブルース・リーがいつも座っていたというレストランの奥の一角がそのまま保存されており、ファンにとっては人気の観光スポットになっている有名店である。店内には、リンダ夫人や娘のシャノンと店長の写真も。
そしてブルース・リーが生前良く食べていたのが、こちらのオイスターソース牛肉炒め。僕も当時のブルース・リーに思いを馳せながら同じメニューを注文。そして何故か食べていると自然に涙が出てきてしまった。こんなことは初めてである。彼が食べていた料理を噛み締めながら、同じものを食べられる喜びに浸っていたのは確かだが、まさか涙までが出るとは、とても不思議な感覚であった。
更にチャイナタウンではもう一つ行きたい場所があった。それがこちらWing Luke Museum。シアトルにおける中国人の歴史などに関する資料を展示した小さなミュージアム。その一角にブルース・リーに関する常設展示があることは前から聞いていたが、まだ行ったことが無かったので、今回は訪問をとても楽しみにしていた。
ミュージアムの入り口にはブルース・リーの大きな飛び蹴りパネルなどもあって、最初から気分が盛り上がる。
当時シアトル大学/哲学科で学んでいたブルース・リーは読書好きとしても有名だったが、彼の有名な名言の一つである『Be Water、My Friend』というタイトルの展示で、彼が影響を受けた本や、貴重な直筆の資料などを展示。映画よりも、彼の武道と哲学である截拳道の教えやモットーにフォーカスした内容。また2階にはBruce Lee: The Seattle Storyと題して、ブルース・リーがシアトルで過ごした日々を貴重な写真などで紹介するミニコーナーが設けられていた(ここは撮影禁止)。
全体的に規模は小さな展示ではあるが、常設展示としてはとても貴重なミュージアムであった。
最強のパワースポットであるお墓、ゆかりのレストラン、そしてミュージアム・・・。ブルース・リーがここシアトルに生きた証をしっかりと確認しながら巡り、久しぶりに聖地シアトルから、また大きなパワーとエネルギーを貰い、充電することが出来た今回のシアトル旅であった。