僕の大好きな町、神保町。数多くある書店の中で、だいたいいつも訪れる書店は決まっているのだが、主に古書漫画やサブカル本、絵本やアート本などの書店に立ち寄ることが多い。そんな中、最近特にお気に入りなのが『南洋堂書店』という、建築関連書籍を専門に扱う小さな本屋さん。現在、数少ない建築関連書籍の専門店として国内外に知られるお店だ。新刊、古書、洋書を幅広く扱い、国内雑誌のバックナンバーも充実している。
昭和初期創業というから、かなり歴史のある書店らしいが、店構えはいたってモダンな外観で、さすが建築関連書籍だけあって、店内のデザインもかなり斬新である。調べたところ、どうやら建物は1980年竣工、2007年に1・2階が改装されたらしく、設計は菊地宏氏という著名な設計士が手掛けている模様。3階は土曜日限定の古書専門フロアが設けてられている。
先日、安藤忠雄の本が欲しいと思い、南洋堂書店を訪れたが、ちょうどこちらの『安藤忠雄 仕事をつくる』という本が店頭で売られており、購入した。この本は以前に出版された私の履歴書の改訂新版として今年再出版されたもので、中には安藤忠雄の直筆イラストとサイン付きの本となっている。安藤忠雄の本は、比較的直筆イラストとサインが付いているものが多いが、偉大なる建築家の直筆となれば、今後間違いなく価値が増すことは間違いないので、手に入られるうちにゲットしておいた方が良いだろう。この本は、まさに安藤忠雄の履歴書として、これまでの生い立ちや半世紀に渡り手掛けてきた多くの作品が取り上げられており、どの作品もその設計の美しさから一つ一つがアートであると同時に、社会とどのように向き合い、チャレンジしてきたかを振り返ることが出来るという意味で、とても刺激的である。もちろん実物が観れると最高なのだが、本で写真を観ているだけでも毎回感動してしまう。
僕は美術と同時に、昔から建築に対しても興味があり、自宅のコンセプトデザインを手掛けたことから、安藤忠雄や隈研吾の手掛ける作品を観るといつも興奮してしまう。日本が誇る偉大な建築家たちの本に触れるには、『南洋堂書店』は最高の本屋であり、きっとインスピレーションが得られる筈である。
『南洋堂書店』で安藤忠雄の本を購入した後は、いつも訪れる『ランチョン』でランチ。お店の2階席窓から見える神保町の中心部を眺めながら、大満足日替わりランチを食べるのが、毎回僕のささやかな神保町の楽しみ方である。