11/3(金)、ついに待望のゴジラ最新作『ゴジラ-1.0』を初日に鑑賞した。僕は昔からゴジラ映画が結構好きで、特に昭和ゴジラシリーズの初期のものは大好きで良く観ていた。アメリカでもゴジラ映画は度々テレビで再放送していたこともあり、幼少の頃や、ハイスクール時代にもアメリカで英語吹き替え版を観ていたことも懐かしい思い出だが、日本映画のゴジラがこんなにもアメリカでも認知されていることに当時感動したのを良く覚えている。
日本のゴジラシリーズも今回で記念すべき30本目。1954年の11月3日に『ゴジラ』第一作が公開されてからちょうど来年で70年となる。この70年もの間、実に様々なゴジラが登場し、日本や世界を破壊してきた。そしてゴジラ自体の造形も色々と変化して行ったが、昭和ゴジラシリーズはスーパーヒーロー全盛期となって、ゴジラですら日本の味方として、他の凶悪怪獣と対決するヒーローと化してしまい、本来ゴジラが持っていた社会テーマが失われてしまった時代もあった。そして平和ゴジラシリーズは妙にハイテクなども進化してしまい、個人的にはあまり好きにはなれなかったが、前作『シン・ゴジラ』からまた初心に帰ったゴジラのテーマ設定に軌道修正されてきたように思う。その意味では、今回の『ゴジラ-1.0』もその路線を踏襲していると思う。
『シン・ゴジラ』が現代の日本を舞台にしていたのに対して、『ゴジラ-1.0』は太平洋戦争末期から戦後の日本を舞台にしている点でもユニークだ。戦争映画的な要素も多分に残っており、また最新科学兵器や自衛隊などもまだない中で、民間チームで知恵を絞り、如何にゴジラを倒すかをテーマにしている点では良く考えらえれている。
そして何よりも、日本の特撮技術の進化にも目を見張るものがあった!それもそのはず。特撮(VFX)の第一人者である山崎貴が監督・脚本・VFXを手掛けており、気合が入った作品となっている。過去のミニチュアセットを破壊するゴジラではない。それでいて、変にCGバレバレでチープな特撮でもなく、かなりリアリティーのある特撮だ。スケール感は少し違うかもしれないが、ハリウッドの特撮映画にも引けを取らないレベルまで到達しているように感じた。特撮ファンとしては、ちょっと感慨深いものがある。この最新の特撮レベルを確認するだけでも、この映画を観る価値はあると思う。
物語自体はゴジラ映画ではお約束の展開。巨大怪獣ゴジラが海から出現。そして、やがて上陸して街を破壊するが、人類が知恵を絞ってゴジラを倒す方法を考え、最後は撃退するという、これだけ言うと身も蓋もないが、基本的な物語展開は時代的並みに不変だ(笑)。しかし前述の通り、今回はかなりアナログで手作り感満載な作戦が海で繰り広げられ、なかなか良く考えられていた。また主人公の神木隆之介演じる敷島浩一は、特攻隊だったにも関わらず、飛行機の故障を装って戦場から逃げてしまい、そのことをいつまでも負い目に感じながら悩み、仲間の命を奪ったゴジラに復讐を誓う。そして、敷島と運命的な出会いをするのが浜辺美波演じる大石典子。孤児の女の子を引き取り、敷島と生活を共にすることになる。この2人は朝ドラ『らんまん』で夫婦役を演じていたので、時代背景といい、何だか朝ドラの延長線上でゴジラを演じているかのような錯覚があって面白い。そしてなんと言っても、浜辺美波はやっぱり可愛い。むしろちょっと悲壮感を出すゴジラのようなパニック映画には可愛すぎるかもしれないと思えるくらい可愛い(笑)。
他共演陣は、佐々木蔵之介、吉岡秀隆、安藤サクラ、山田裕貴、青木崇高など多彩な俳優陣が脇を固める。
ハリウッド版ゴジラを含め、これまで多くのゴジラ映画を観てきたが、今回の『ゴジラ-1.0』はなかなか良く出来た作品であったし、設定が初心に帰りつつも斬新な切り口だった。物語は正直もう少し深みのある展開だと尚更良かったが、迫力のあるリアルなゴジラ、そして見事な特撮のレベルを大スクリーンで体感するにはとても良い作品であった。またブルーレイが出たら買ってじっくり鑑賞したいと思う。