僕が尊敬して止まないウルトラセブンは、1967年に誕生して昨年で生誕55周年を迎えた。引き続き今年も55周年記念のイベントや記念出版などが目白押しだが、ちょうどラッキーなことに、今回お城ツアーで訪れていた名古屋のPARCOにて、『ULTRASEVEN = 6+1 宇宙人セブンが見た多様性の未来』展が開催されていることを知って、立ち寄ることに。この展示会はいずれ東京でも開催されるらしいが、まだ日程が決まっていない模様だ。
展示会では1967年当時の制作時の様子や、ウルトラセブン、そして今見てもその斬新なデザイン性が秀逸なウルトラ警備隊、そして作品に登場した怪獣や宇宙人たちを新しい形で紹介。人間と等身大のセブン、エレキング、メトロン星人、キングジョーなどもあって思わず大興奮!
また、ウルトラセブントドメの武器であるアイスラッガーを、武器としてではなく、平和のシンボルとして新たな解釈で展示するコーナーを設けており、岩井俊二などのアーティスト・クリエーターたちによるアイスラッガーデザインなども『共生』、『未来』、『空想』などをテーマに展示されていたのが面白かった。
僕は子供の頃から、ウルトラセブンの魅力に憑りつかれている。地球の侵略を狙う高い知能の宇宙星人たちと、一人黙々と戦う姿はとても男らしく、カッコいい。そしてその戦いも、単に圧倒的な勝利を目的にしておらず、敵との対話を重視していたのも印象的であった。今改めて当時のウルトラセブンのエピソードを観てみると、完全に“子供むけのヒーロー番組”という枠を超越して、如何に内容が大人向きであったかに驚いてしまう。当時の社会問題や地球の尊さ、人間の愚かさなどに気が付かせられるエピソードも多く、ウルトラセブン自身も宇宙人でありながら誰よりも地球人を愛し、宇宙人としての自分のアイデンティティと、地球を狙う他の宇宙人と対峙する中での葛藤とも戦いながら、ただひたすら戦い続けた。。。使命を背負って戦い続けたセブンは、どこか哀愁が漂うヒーローでもあった。そして、強敵な相手と戦ってピンチに陥っても、決して他のウルトラ兄弟が助けに来ることもなく(その後のウルトラマンたち(帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンA、ウルトラマンタロウなど)と違って)、そんな孤独の中でひたすら地球を守っていた姿に胸を打たれたものだ。僕も当時子供心にも、そんなカッコいいウルトラセブンの姿に”理想の男”像を見て、“自分もこうありたい“という思いを、無意識に重ねていたのかもしれない。
僕にとってそんな特別な存在のウルトラセブンだが、55年前に制作された作品にも関わらず、セブンが人と異星人の挾間に立ち、お互いを理解しようとしたヒーロー、『ウルトラセブン』としての多様性にスポットを当てていた今回の展示会はとても興味深かった。まさにこの“多様性”や“対話”こそが、混沌とした今の時代に求められることであり、今回改めてウルトラセブンで描いた物語の意義と先進性がクローズアップされたことは実に感慨深いものがあった。
『55年前、未来があった・・・』とのキャッチコピーが展示会で用いられているが、まさに55年を経て今もなお、ウルトラセブンが我々に教えてくれているように思う。記念にクリアファイルとTシャツを買ったことは言うまでもない・・・。