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気合いを入れたい朝にはヴァン・ヘイレンを!

僕はヴァン・ヘイレンが大好きで、特にエディーのギターが大好きだった。エディーが2年前にこの世を去ってしまい、天才ギタリストを失ったロック界の喪失感たるや計り知れないものがあった。そして、僕も相変わらずヴァン・ヘイレンのアルバムを良く聴きながら追悼を続けている。

僕の好きなヴァン・ヘイレンのアルバムは過去のブログでも何度か取り上げており、特に『1984』、『5150』、『OU812』は大好きであったが、実は最近ハマっているのが1991年にリリースされたアルバム、『For Unlawful Carnal Knowledge』(通称: FUCK)アルバムだ。ヴァン・ヘイレン流の言葉遊びがアルバムタイトルに込められているこのアルバムだが、実はリリースされた当時は、CDを購入したものの、それほど熱心に聴いていなかった。しかし、改めて聴きこんでみると如何に傑作アルバムかを思い知らされた。

デビッド・リー・ロスをボーカルに据えた第一期のオリジナルヴァン・ヘイレンとして、一つの頂点は1984年にリリースされたアルバム『1984』だろう。これはあのヴァン・ヘイレン最高のヒット曲『Jump』、他にも『Panama』、『Hot for Teacher』などのヒット曲が収録され、オープニングのインスト曲を入れても全9曲という潔いアルバムながら、その全ての曲のクオリティが恐ろしく高い。そしてキーボードも弾けるギタリスト(多くのギタリストはピアノが弾けるらしい)エディーが、バンドに初めてシンセを持ちこみ、ハードロックだけではなく、一般のポップスファンをも取り込むことに成功したアルバムである。

その後デビッド・リー・ロスがヴァン・ヘイレンを脱退し、新たに2人目のボーカル、サミー・ヘイガーを迎え入れる。賛否どうなるか心配されたが、1986年に『5150』がリリースされると大ヒット。デビットよりもむしろ出せるボーカル音域が広いサミーによって、ヴァン・ヘイレンの曲も広がりを持って進化したのだ。『Jump』で使ったシンセの音色は、『5150』でも2曲に起用し、引き続きハードロックながらもポップなアルバムとなった。ここからが、所謂“ヴァン・ヘイガー”時代の幕開けである。続いて1988年にリリースされた『OU812』もクオリティの高いアルバムを世に送りだし、ヴァン・ヘイガー時代も盤石であった。

僕は1987年までアメリカで高校に行っていたが、帰国して暫くはアメリカ時代ほどタイムリーに洋楽を聴かなくなってしまった時期があった。そのせいか、日本の大学生であった1991年にリリースされたアルバム『F.U.C.K』はあまり熱心に聴いていなかったのかもしれない。しかし、このアルバムはサミーのボーカルが最高潮に素晴らしく、アルバム全体としてシンセを封印し、エディーのギターの音色をより前面に押し出し、ハードロック調のアルバムに原点回帰した作品であった。ハードロックやエディーのギターテクを堪能したい人にはうってつけのアルバムである。

収録されているのは下記11曲。どの曲も完成度が高く外れ曲の無い素晴らしい内容だ。

1) Poundcake

2 ) Judgement Day

3) Spanked

4) Runaround

5) Pleasure Dome

6) In and Out

7) Man on a Mission

8) The Dream is Over

9) Right Now

10) 316

11) Top of the World

オープニングでいきなりドリルを使ってギターをピッキングしている、スケール感のあるハードロックナンバー『Poundcake』でアルバムは華々しく幕を開ける。そして何ともカッコいいギターリフが如何にもエディーらしい『Judgement Day』。この曲のギターサウンドは聴いていて最高に気持ちいい!

そこから3曲目の『Spanked』では少しまたテンポを落とし、重みを持たせたハードロック。4曲目の『Runaround』はまたヴァン・ヘイレンらしい軽快なロックナンバーで、ギターのリフも心地良く、サビは一転して明るいポップな曲調。5曲目の『Pleasure Dome』はちょっと異色なロックナンバー。バラードかという感じのギターで始まったかと思ったら、いきなり激しいドラムとギターが鳴り響く展開になり、その後も早いギタープレイが楽しめる。

『In and Out』は、このアルバムの中でも一番好きな曲だろう。ギターが美しくカッコいい。ギターのサビとしてアルバムの中でナンバーワンは7曲目の『Man On a Mission』。最高にカッコいいシングルクオリティ曲に仕上がっている。エディーのギターとサミーのボーカルが見事に機能した名曲だ。8曲目もレベルの高い曲。スタートの切ないギターリフが何ともカッコいいし、ある意味王道のロックという雰囲気だが、サビはヴァン・ヘイレンらしい見事なコーラスワークが耳に心地良い。

9曲目の『Right Now』は、アルバムで唯一ピアノをフィーチャーした曲。シンセこそ使っていないものの、曲調は過去の『Dreams』、『When It’s Love』にも近く、アルバムの中では一番バラードと言える曲だが、それでもハードロックを意識した骨太な音になっている。

10曲目の『316』はアルバムで唯一のインスト曲。短くて静かなアコースティックギターの曲だ。316とは、息子のウルフガング・ヴァン・ヘイレンの誕生日。当時産まれたばかりの息子への愛を歌った曲だ。そしてラストを飾る11曲目の『Top of the World』はアルバムの中では一番ポップ性が高い曲で明るく締めくくられる。

こうして11曲を振り返ると、アルバム全体としてはかなり“ハードロック”なテイストで、サミーもハードロックらしくシャウトしながら、ボーカルの音域をフルに発揮。エディーもギターテクを惜しげもなく披露しており、ヴァン・ヘイガー時代の頂点、ヴァン・ヘイレンの歴史でも2回目の頂点がこのアルバムにあったと言えよう (サミーは次のアルバム『Balance』を最後にヴァン・ヘイレンを脱退してしまう)。

このアルバムは、ヴァン・ヘイレンに唯一グラミー賞をもたらしたアルバムで、その意味でも音楽評論家からも評価が高いアルバムなのである。そして、ヴァン・ヘイレンのハードロックを存分に楽しむには、このアルバムは最適であることを改めて痛感した。僕は気合いを入れたい朝は必ず電車の中で聴いているが、ヴァン・ヘイレンの数ある名アルバムたちの中でも、この『F.U.C.K』が一番のおススメアルバムとなった。

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