以前もブログで少し紹介したが、今から60年も前の1958年から1959年にかけて、雑誌『少女ブック』に連載されていた『東京の青い空』という、横山光輝の傑作少女漫画がある。しかし、この作品はこれまで単行本・文庫本化が一切されておらず、まさに幻の作品となっている。しかし、この作品を唯一読むことが出来るのが、アップルBOXクリエイティブという、マニアックな(まるで同人誌のような)出版物なのだが、数々リリースされているこのアップルBOXシリーズの中でも『東京の青い空』は、特に入手困難なレア作品となっている。
僕もようやく2年前にこのアップルBOXの3冊を纏めて入手することが出来て読むことが出来たのだが、592ページもある長編なので、全3巻構成となっていて、かなり読み応えのある作品だ。
そんな本作は当時『少女ブック』の付録として出版されたものが何種類か流通しているが、その中でこちらの2冊を持っている。どちらもかなりレアで貴重な付録で、入手困難である。それなり傷みがあるが、60年も前の付録ということを考えるとかなり保存状態がキレイなものを入手することに成功したので、更に貴重だ。同じ少女ブックの付録なのに、サイズが違っていたりするのも当時の特徴だ。
1冊はイラストの表紙、もう1冊は女の子写真の表紙で、一見横山光輝の漫画だとわかりにくいが、当時はこういった時代の流行を取り入れたような付録が、少女漫画雑誌の付録にはかなり多かったらしい。
物語は少女が色々な苦難を乗り越えてバレリーナを目指す物語で、当時はバレリーナが女の子の憧れであったようで、1960年代の日本映画にもバレリーナの物語は多く登場している。時代のトレンドを色濃く取り入れているのが面白い。
それにしても、この物語は今読んでもかなり面白い。時代を超えた普遍的な面白さがあるが、ストーリーテラーとしての横山光輝の才能が見事に発揮されているからとも言える。僕の中では、数々ある横山光輝の少女漫画の中で、『おてんば天使』と並んで、『東京の青い空』は僕が最も好きな横山作品の一つだ。
この2冊含め、横山光輝のレアな付録漫画コレクションもかなり充実してきた。