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金沢の和菓子屋“高月庵”を舞台に繰り広げられる物語だが、15年前、高月庵の若旦那が何者かに殺害されるところから始まる。若旦那の息子であった高月椿の証言により、警察は住み込みで働いていた女性和菓子職人、大倉百合子を殺人容疑で逮捕した。百合子には娘の七桜(なお)がいて、椿とは幼馴染のように仲が良かったが、本名の七桜ではなく、桜(さくら)と呼ぶようになっていた。しかし、若旦那の殺害により、七桜も高月庵を去ることになる。
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それから15年後、2人は思いもよらない形で再会。七桜は、なぜ母が若旦那殺害の容疑者になってしまったのか、殺害事件の真相を探るべく、花岡七桜と名前を変え、高月庵、そして今や跡継ぎ候補となった椿に近寄り、正体を隠した上で結婚することになるが、母の仇として憎んでいた筈の椿を愛する気持ちが芽生え、心が葛藤していく。そして、七桜が潜入した高月庵には、椿は本当の血縁関係にない為に跡継ぎには出来ないと言い張る大旦那と、椿を何とか跡継ぎに据えて、七桜とは別れさせたい母で高月庵の女将、高月今日子から、様々な形で嫌がらせを受けることになる。
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椿を演じるのは、横浜流星。和装がとても良く似合い、何ともカッコ良い。
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そして七桜役には浜辺美波。とてもキュートな中にも母の真実を突き止めたいという強い信念の持ち主を上手く演じている。この2人の共演はとても新鮮で良い組み合わせでは無いかと思う。浜辺美波はかなり前から可愛いとは思っていたが、このドラマの彼女は可愛らしさもあり、そして時折色気も見せて、和装姿も相まって、浜辺美波の魅力が満載のドラマとなっている。
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そしてこのドラマを更に面白くしているのは、七桜をとことん邪魔する女将の今日子。観月ありさが演じているのだが、今までの主役クラスの役柄とは違い、何ともいやらしい、意地悪なサブキャラクターをインパクトたっぷりに演じており、主役を食ってしまいそうな圧涛Iな存在感でドラマを盛り上げる。そして大旦那役には佐野史郎。あの“冬彦さん”ですっかり浮「役がお約束となったが、今回もひと癖ある大旦那を見事に演じているのは、さすが佐野史郎である。
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他にも陰で七桜を助ける多喜川薫役を山崎育三郎、七桜の母、百合子を中村ゆり、高月庵の見習い職人役に高杉真宙、殺害される若旦那を鈴木伸之が演じており、なかなか味のある役者陣が揃った。中村ゆりも実はかなり好きな女優さんなのだが、今回も幸薄そうな役柄が何ともハマり役で気に入っている。
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また、個人的にもう一つこのドラマのお楽しみャCントがあるのだが、金沢の和菓子屋を舞台にしているところ。東京や横浜ロケをしているドラマが多い中で、和の美しい金沢城下町の町並みなども登場し、また何とも件p的な和菓子が毎回フィーチャーされているので、見ているだけでも楽しいし、とても新鮮に感じた。
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この独特な魅力を持つ、昼ドラのような異色ドラマ『私たちはどうかしている』は、新たな風を連ドラに持ちこんだような気もしている。半沢直樹と並んで、毎回リアルタイムで楽しみに見ているが、コロナ禍にはもってこいの濃厚ドラマと言えるだろう。