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バカリズム脚本の傑作ドラマ、『ホットスポット』!

今クールで観ているドラマの中で、『ホットスポット』が特に面白い。僕は芸人としてのバカリズムに加え、脚本家としてのバカリズムもかなり好きで、あの何とも言えないマニアックながら共感出来る視点で制作されるドラマにいつもすっかりハマってしまう。これまでも『素敵な選TAXI』、『架空OL日記』、『ノンレムの窓』、『侵入者たちの晩餐』、『ブラッシュアップライフ』など、毎回バカリズムの脚本ドラマはチェックしてきたので、今回も放送前から楽しみにしていた。しかも、今回のドラマのキャッチコピーは、“地元系エイリアンヒューマンコメディ”なのだから、面白くないわけがないのだ(笑)。

既に4回の放送を終えたが、やっぱり面白い。山梨県、富士山の麓にある架空の小さな町にある“レイクホテル浅ノ湖“やその周辺を舞台に起こる超ド・ローカルな物語なのだが、この静かな田舎町に実は宇宙人が住みついており、主人公たちと関わっていくという設定。何ともヘンテコな物語なのだが、この宇宙人があまりにも普通の、いや普通以上に”普通なおじさん“で、宇宙から来た感が全くないのに大爆笑。バカリズム流の宇宙人に対する潜入感を完全にぶっ壊した設定がそもそも秀逸で面白い。東京03の角田晃広を宇宙人のおじさん役に持ってくるあたりもさすがバカリズムである。

宇宙人と言っても、見た目はただのおじさんで地味にホテルで働く中年男性なのだが、生まれも育ちも地球で、しかもこの地元町で生きてきたので、故郷を知らない。普通の人間以上に人間味があるのだ。しかし、そこは宇宙人。特殊能力もあり、コインを指で簡単に曲げたり、凄い速度で走ったり、ジャンプしたり、車などの重いものを少し持ち上げられるなど、ちょっとしたスーパーマンの出来損ないくらいの能力を発揮するのだ。しかし特殊能力を使うと著しく体力を消耗するのだが、温泉に入ると回復する。富士の温泉に何か宇宙人の体力回復に効く作用があるというのもウケる(笑)。温泉入ると生き返るんだよね~というセリフがまさに普通の温泉好きのおっさんなのだ。

そして、演技派のバイプレイヤーとして多くのドラマに出ている市川実日子を今回主役に据えたのも、なかなか見事な配役である。売れっ子の主演級女優を主役に持ってくることなく、実力派の市川実日子を持ってくるあたり、凄くリアリティーも出て面白い作品に仕上がっていると思う。

他にもバカリズム脚本作品の常連とも言える坂井真紀、夏帆が市川実日子と同じ、湖畔のホテルのフロントに勤める従業員仲間で、他にもホテルの支配人に田中直樹、清掃スタッフに野呂佳代なども出演。また、いつも喫茶店で集まって喋っている仲良し友人グループには、鈴木杏、平岩紙、木南晴夏が扮している。謎のホテル客として小日向文世なども長期滞在しており、なかなか芸達者で面白いメンバーがラインアップされている。決して登場人物は多くないので、どこか閉じられた空間に展開される舞台演劇を見ているようでもある点が面白い。これからも毎回新たなキャラクターがホテルの客などで登場すると思われるが、今後登場するキャラも楽しみである。

毎回、大事件が起きるわけではない。意外とどうでもいい、些細な出来事だったりするが、そこがまたバカリズム脚本の面白いところ。物語が実は色々と繋がっていて、最終的には宇宙人の特殊能力を使って物事を解決していこうとする様子が毎回コミカルに描かれているのだが、翌週へと繋がっていく伏線などもしっかり張り巡らされているので、緻密な脚本となっている点も見逃せないし、面白さの緩急があることで視聴者を飽きさせない。

ドラマのほのぼのとした展開の見どころは、コミカルで“あるある“感満載な掛け合いの会話劇だ。これがいかにもバカリズムらしくて何とも素晴らしい。更にほのぼの感を上手くアシストしているのが”fox capture planが手掛ける劇伴音楽。これまでのバカリ作品も音楽を担当してきたのでもはや常連だ。このほのぼのした音楽がまたいい感じでドラマにハマっているのだ。

今回の冬ドラマの中では、間違いなく『ホットスポット』がダントツに面白いが、バカリズム脚本ドラマはいつも期待を裏切らない。これから後半戦の展開も楽しみにしたい。

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