言葉のおと

ことの樹よりはらはらと舞い落ちる、沢山の葉たち。

‐上海での暮らしと自分の精神世界を綴ります‐

夜明けの道‐いつか見た色

2011-10-09 12:34:06 | パステルアート‐私の作品
朝早く起きたので、絵を描いてみた。
絵を描く時はいつも、仕事の合間とか、休憩時間とか、喧騒とざわめきの中でやっている。

朝なら、自分の気持ちに少しは向き合えるかなと思い、ベランダに出た。
やっぱり朝は肌寒く、空気が何となく澄んでいるような感じがする。

夜は汗や疲れでドロドロ…
朝はまっさらな気分。
8時になると、叔母さんが買い物から戻ってきて、またおしゃべりが始まるので、一刻も早く、描き始めなければならないと
思った。

ふと、高校生の時に、友人と始めて外泊した事を思い出した。
唐桑半島、大島へ行ったのだが、山育ちの私は、海を見れる事が嬉しくて、朝も夜も海邊へ出かけた。
やっぱりその日の早朝も早起きして、海へ向う。
磯の香りと、猟師さんが海岸で海胆を網から揚げているのを見て、心が躍る。
波の音と、海鳥の声、遠く漁船の音しか聞こえない、朝の海岸は、あまりにも絵になっていて、このまま時が止まってしまえば
いいのに、と思った。

そんな記憶を思い出すと同時に、私の心の中は、朝もやの薄いペールブルー、グリーン、グレイに包まれる。

どれも今、この瞬間大好きな色で、最も私を癒す色だと感じた。

描いているうちに、画用紙から光溢れた空と道が見えてきた。どれも淡くてはかなくて、消えてしまいそうに頼りない。




強い星や光の輝きを心では望んでみるが、現れたのは、夜明けの星だった。

うーん、思ったようなものが描けず、また私の心が、自分をジャッジし始める。
上手いとか下手とか、そういう外の基準で判断している私。

自分の感じている事、エゴや矛盾、色んなものが、目の前に現れてくるのを感じた。
いつものパターン…。
絵に、点数をつける必要はないのに。

じゃあ、この道を歩んでみたいか?とふと自分に問いかけた時、さっきとは裏腹に心がすっとするのを感じる。

私が大好きな、いつかの海の色、思い出、朝靄の風景、全てを感じながら選んだ色。
この絵の中にはいりたい衝動。

今朝、早起きしてこの絵を描いて良かった。
昨日よりも少し、自分のことが分かった気がするし、ちょっと、いいかも…と思う事ができたから。