言葉のおと

ことの樹よりはらはらと舞い落ちる、沢山の葉たち。

‐上海での暮らしと自分の精神世界を綴ります‐

越劇をはじめる。

2011-10-24 22:46:17 | 越劇
毎週月曜日は越劇のレッスンです。
京劇は、有名ですが、越劇って、あまりメジャーではないですよね。

上海の若者や、40、50代の中年層も、越劇を好んで聞いたり、歌う人はとても少ないです。
私が少し前住んでいた家の隣には、80歳くらいの上海人のおじいさんが住んでいたのですが、毎朝部屋から越劇の音が
聞こえ、何とも言えない風情を感じたものです。

昔は、今のようなエンターテイメントではなかったから、あちこちで、越劇のメロディーが聴こえてきたんだろうな。

私が中国で始めて越劇というものを知ったのは、5年前。
病院のベッドの上でした。
心筋炎という病気にかかり、2週間ほど、ローカルの病院に入院しました。1日中点滴をするのですが、その点滴が痛いのなんのって…薬が身体に回るにつれ、体中がビリビリと痛くなるんです。
部屋には小さなテレビが一つ。
京劇や越劇が1日中延々と流れているような番組をつけっ放しにしながら、目を瞑っていた事を思い出します。
チャンネルを替える気力もなく、また痛みで眠る事も出来ず、朝から晩まで。

それが数年後、自分がこうやって越劇をうたっているということは、あの時は、想像も出来なかったよ!

現在、練習は週に2回。
そのうち月曜日は、先生からの指導で、金曜が、ひたすら演奏に合わせて練習。
3週間で1曲をマスターします。

私は唯一の日本人で、後から入った為、みんなに比べると、声の出し方も音のとり方もまだまだ。
暇さえあれば曲を聞き、どこに行くにも楽譜持参(笑)

何とか、クラスのペースについていっています。学生時代に歌をやっていて良かった…と心から思います。

声を出す事は楽しい、歌うこと、演じる事、主人公に感情移入をする事は、とても気持ちが良い!

越劇を始めてから、視界がどんどん開けています。


11月11日に、上海の白玉蘭劇場で、越劇の公演があります。先生が出ます。(先生は現役)このブログを何人の方が見てくれているのかわかりませんが、もし上海に住んでいる方で、少しでも越劇や中国文化に興味がある方は、是非、覗きにいってみてください★

京劇は色んな所で見れますが、普段越劇を見る機会はなかなかないと思います。

未知の世界へ‐人魚

2011-10-22 19:07:10 | パステルアート‐私の作品
人魚シリーズ、描いています。
前回は2匹の人魚が光の中で戯れている絵。

平和で恐れも不安もない世界をイメージしました。青の世界。

仲間を離れて、水面の世界に好奇心を抱いた時、それは終わりの始まりでもあり、少し不穏な空気が漂うものの、
その衝動は止められない。
お母さんの子宮の中から外へ出るように、まるで未知の宇宙へと泳いでいくように、彼女はどんどん上っていく。

      


未知の世界。
私が最近始めた未知だったものといえば、越劇です。
見るほうではなくて…自分が歌うほう(笑)
週に1回、越劇のレッスンに出ています。生徒の年齢は様々ですが50~90歳。先生は、現役の役者さんです。

越劇のことについては、また別の日に記事にしたいと思いますが、今は暇さえあればアイフォンで越劇の曲を聞いて必死に
覚え、歌うようにしています。

越劇って、物語そのものだから、歌っていると、その場面がありありと脳裏に浮かぶ。
微妙な心の動き、悲しみ、せつなさ、色んな気持ちの表現の仕方が素晴らしく、現代にはない良さが沢山詰まっている。

上海人の年配の方との交流も楽しく、文革時代から二胡を演奏している李おじさんの話を聞いたり、胡おじいさんがわざわざ休みの日に私を訪ねてきてくれて、一緒に楽譜の読み方をチェックしたりと、とても貴重な時間を過ごしてる。
1年前の自分にとっては考えられなかったです。。。

交流や音楽、心の動きを観察するにつれて、自分の表現力に少しずつ色がつき、秋と共に深まっていくような気がするのは嬉しいことです。








見てみぬふりをする人達

2011-10-21 15:44:09 | コラム‐上海
最近の中国のニュースで、車に引かれた女児を無視する通行人たちの映像が話題になっています。
確か日本でもニュースになりましたよね…。

今の中国は、人を信じない、信じて助けた自分が加害者にされる、面倒な事には巻き込まれたくないという心理が蔓延しています。
以前、転んだ老人を好意で助けた青年が、逆に「あんたが押したんだ!」と犯人扱いされ、結局多額の治療代や賠償金を払わされた事件は、中国人の心の中にしっかりと植えつけられているようです。
実際に、私の身の回りでも、お金欲しさに騙す人が沢山いるし。
わざと車や自転車の前に飛び出して、事故に見せかけたり、貧しいふりをして同情を引き、利を得ようとしたり。

兎に角、金金金…最近物価が高くなり、生活が苦しい人もふえ、ますますどんな手段を使っても金儲けをしようとする人、心無い人、罪悪感を感じない人、そして見て見ぬふりをする人が大勢います。

きっとそれは中国に限った事ではないよね。

今日、カルフールに買い物に言った際、突然、エスカレーターが停止。
その際、エスカレーターの途中でカートがレールの上に挟まり、前にも後ろにも進めなくなった黒人男性がいました。
大柄の彼でもカートはびくともせず、途方に暮れているようで、その横を何人もの人が追い越していく。

助けようともせず、全く無視です。
彼は、困ったように、あたりを見回し、カートを押したり、近くのエスカレーターのスイッチを押したりして途方に暮れていました。

見かねた私は「彼、カートが挟まっているんだけど!」と近くの業務員に状況を話すと、その業務員は、外国人を見るなり、その場をそそくさと逃げていったのです!カルフールには、暇な従業員がこれでもかといるのに、誰もその問題を処理しようとしない…。

うわー!!ひどい…とその対応にぞっとする私。急に、女児が交通事故に会い、無視する通行人のニュースを思い出してしまいました。
結局、黒人男性は、自力でカートを押し、降りていきましたが、私は、何となく、ショックでした。


昔の古きよき中国は、見ることが出来ない。
あったとしても、もう消えかかっています。人を信じず、金を信じる人びと。責任転嫁されたり、煩わしさをさけ、見てみぬふりをする人。
この社会はどんどん変化していっているのを感じます。
それは、誰のせいにも出来ないけれど。

自分の身は自分で守らなければと、思った今日の出来事でした。
そして、とてもがっかりしました。

人魚達

2011-10-20 17:41:56 | パステルアート‐私の作品
イルカを描くのもいいけど、それより人魚が好きなのは、私達に少し似ているからなのかしら。

王子様に恋した人魚は、魔女に頼んで、その美しい声と身体を引き換えに、彼の側にいる事を選んだ。
そして水の泡になる。

          

私も日常生活の中で、そんな事があったかなぁ。
誰かの為に、一心不乱になって、自分の全てを与えて、返ってこないと嘆いて、自分を傷つけて。

はっと目を覚ますと、自分は誰?と言う問いかけしか出てこなかった。
周りのみんなが羨ましく思えて、自分も真似してみても同じようにならなくて。


私はそんな人魚達を愛おしく思う。
美しく光溢れた海の中、イルカと遊んで波と戯れて、平和しかしらなかった彼女達。
全てを捧げた人魚達。


「持っていないもの」を切望するあまり、「すでに持っているもの」の価値を見失わないように。
人魚達からのメッセージです。




私が大切にしている場所‐まっくらもり

2011-10-19 13:30:49 | パステルアート‐私の作品
光の中で みえないものが
やみの中に うかんでみえる
まっくら森の やみの中では
きのうは あした
まっくら クライ クライ

        


昔から大好きな歌
まっくら森の歌。あぁ、こんな場所が本当にあるのだろうか、と夢見心地になった事を今でも思い出す。
みんながそうだと思っている事も、まっくら森ではすべてが逆さま。


改めて聞くと、ますます魅かれるのが分かる。

これをパステルにしてみたいと思った。