洞
2018-07-27 | 日記
丹尾 敏 展 鉄
2018.7.23(月)〜8.10(金)日祭日休み
14時〜24時(8/10最終日搬出の為23時にはギャラリー搬出はじめます)
GalleryBar Kajima
東京都中央区銀座7-2-20
03-3574-8720
gbkajima.jimdo.com
今回長田弘さんの詩よりテーマを得ました。
「洞のある木」
洞のある木を、いまは見なくなった。大きな老木の幹に開いた穴が、洞だ。ひとの身体がそのなかにすっぽり入るほどに大きな木の穴。
子どものころ、山裾の古い神社の森に入り込んで、大きな洞のある木を見つけて、一人でなんどもその洞の木の許に行った。老木の洞はどこか別の世界への秘密の入り口のようだった。
森はいつも生き生きとしていて湿った匂いがしたが、洞のなかは遠い時間の乾いた匂いがした。そこにいると、とても親しい何者かにそのままじっと抱かれているような感覚を覚えた。
木の洞のなかの、静まり帰った時の痕跡が、じぶんの胸の洞のなかに、音のしない音のように残っている。
木の洞の裂け目には、ときどき小石が積まれていた。
人は小石にくるしみを託し、くるしみを木に預ける。
洞のある木は人のくるしみを預かる木なのだと、わたしは信じている。いまも。