9月6日(日) 《札幌》 18:30開場 / 19:00開演
俊カフェ〒060-0063 北海道札幌市中央区南3条西7丁目4 Kaku imagination 2F 011-211-0204 (俊カフェ)
<俊カフェとの出会い>
おとがたり2020年北海道公演、最後の訪問地は、札幌「俊カフェ」。店主、古川奈央さんの心の分身とも言えるこのカフェには、多くの詩人、朗読者や音楽家、作家たちが集まる場所です。谷川俊太郎さんの公認カフェ、俊太郎さんの詩が店内には溢れていて、入り口には俊太郎さんの等身大パネルがお出迎えしてくれます。2018年の5月に、おとがたりで初めて訪れました。この時世の到来など知らない頃です。あのときは小川未明の「港に着いた黒んぼ」を朗読。そして2部は音楽ライブとして上演、今回は半数に決めましたが、このときお店には満員のお客様がいらっしゃいました。
終演後は古川さんや地元で朗読活動をする、兎ゆうさん、紫苑さんなどどお店で語り合って、さらに活気あふれる狸小路へ食事にまで行き遅くまで打ち上げをしました。___楽しかった。今では考えられませんね。あの時間をここから眺めると、ああ、ほんとうにその瞬間、瞬間を生きているのだな、と思ったりします。
<おとがたり北海道公演2020>
日本国中をコロナが猛威を振るった2020年。6月に予定していた本公演は9月となった。
人と人とのしっかりと結ばれたつながりがあったから、またそれを求めて手を伸ばしお願いをしてご協力を頂き、この三つの公演を灯すことができました。この状況下であったからこそ、大切なことはなにかと、かえって実感することができました。
古川さん、大変な時期に快く公演を受けて下さって、ありがとうございました。
これからもよろしくお願い致します。
俊カフェにて 朗読:長浜奈津子
<啄木といふ奴>
函館・小樽・札幌。訪ねたどの地にも、石川啄木の足跡が残っています。吉田一穂に惹かれて、小樽で「白鳥古丹」をやらせて頂きましたが、機会あれば小樽でも「啄木といふ奴」を上演させて頂きたいと夢を持ちました。
(そして「白鳥古丹ーカムイコタンー」は東京で出来たらいいな)
人の中には、男性性・女性性とがある、と言われてきました。(最近は性差やその違いを言わなくなってきたましたね)この作品は再演でしたが、言えば初演は中性的、それも男性的なところに立って全体を語り、その中から時代の女性が現れるように、語ることができました。
今回は、全体がやわらかな読みになりました。お話の流れから言うと、女性性が多かった。それはそれで聞きやすかったと思いますが、もし再演にたてるならば、次は少し違った感じで表現してみたい。どんなふうに____これは、折々「啄木といふ奴」について考えて、具体的なイメージを膨らませておきたいと思っています。この夏は稽古場を借りて、夏の間は毎日おとがたりの稽古をしていました。自分一人で読みの稽古をして、最終的に直毅さんのヴァイオリンと合わせ稽古をさせて頂きます。
<ありがとうございました>
共演者、ヴァイオリニスト喜多直毅さん。齋藤 徹さんは「天才」「板橋のヴァイオリニスト」といろいろ仰っていましたね。直毅さんをご存知の方には、音楽の美しさと人柄の魅力はもう言わずもがなです。ひと口ではいえません。私はコンサートにも出かけますが、やっぱり素直に「すごいなあ」と思います。なんというか、次元が違う。…今回もいろいろピンチを救って下さった。初日から乗り打ち、早朝移動など、2つの演目を抱えての公演をやりきれたのは、やはり直毅さんが相方さんだったからです。「ありがとうございました!」心から感謝の言葉を捧げます。
さて、旅が終わって次は「おとがたり」の動画撮影、10月に動画の撮影が待っています。世田谷のカフェ・ムリウイ で永井荷風の「濹東綺譚」、成城学園前のアトリエ第Q芸術にて永井荷風「風邪ごこち」、吉田一穂作品を。ということで、まだまだ頑張ります!
ふるさとの
山に向かひて言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな
石川啄木『一握の砂』より
ヴァイオリン:喜多直毅
子供時代、神童と呼ばれ、己の才を信じながらも挫折に満ちた人生を歩んだ石川啄木。
しかしその短い一生の間に詠まれた歌の数々は才気とインスピレーションに溢れ、今尚読者に鮮烈な印象と感動を与える。
恋慕、憧れ、望郷、病、そして生きる哀しみを情感豊かに歌う一方、感傷から身を置き、ナイフのごとく社会や人間存在に鋭く切り込む短歌も豊富である。
日常の“点”の様な風景や心理、記憶、想像の世界…、これらをたった三行の三十一文字で表現し、読み手のイマジネーションに強い翼を与える彼はやはり天才と呼ぶに相応しい。
今回の朗読会ではそれぞれの短歌の意味・内容ばかりではなく、一首と一首の“間”に広がるものにも心を配りたい。
また本公演では女声によって朗読がなされるため、啄木の妻・節子や芸者小奴等、啄木を取り巻く女達の存在もうっすらと浮かび上がってくるに違いない。
まるで啄木の人生に登場した女性達が、彼の俳句を声で辿るように。これにより啄木の作品に別な角度から光をあて、新しい魅力を引き出すことが出来るのではないだろうか。
啄木作品とヴァイオリンのコラボレーションは非常に珍しいが、啄木が肌で感じた風や雨、芸者小奴の肌の温み、脳裏に浮かぶ故郷の山や川、また彼が抱いた思いまで、五感に基づいた音楽づくりを行いたい。
おとがたり
朗読 : 長浜奈津子
ヴァイオリン : 喜多直毅
漂白の歌人:石川啄木
『啄木といふ奴』
A Guy called Takuboku
『ROMA字日記』『一握の砂』より
9月3日(木)《函館》
9月6日(日)《札幌》
おとがたり
朗読 : 長浜奈津子 ヴァイオリン : 喜多直毅
北海道ツアー2020 『啄木と一穂を訪ねて』
9月3日(木) 《函館》
漂白の歌人:石川啄木『啄木といふ奴』~A Guy called Takuboku~