---今日病院に行く予定でしたが、急に会議が入って行けなくなりました。
ごめんなさい。インスssiはどうしますか? ソヨン----
インスssiのアドレスを出すのに時間は掛からなかった。
指がもう覚えていた。
今はちょうど昼休み時間で、校庭は生徒たちで賑わう声が少し開けた窓から入ってくる。
~~♪♪~~
ソヨンの携帯にインスからとわかるメール着信音が鳴った。
---僕も今日は仕事で抜けれないんです。この間、言ってたでしょう。キムがとんでもない失敗をやらかしたって。その穴埋めです。ソヨンssiにはそんな事ないのかな? インス----
“私にだって色々失敗はあるのに・・・”そう思いながら、携帯の画面の文字を追いかけながら微笑んでたみたい。
家庭科のへギョン先生が「何、笑ってんの?面白いメールでも来たの?」と声を掛けてきた。
さばさばした先生で、私より6歳上の面倒見がいい素敵な女性だった。
今回の事故の件でも、学校の冷たい風当たりから守ってくれた優しい先輩だった。
他の人たちは妻の私は被害者だと同情する声を上げていた。
---被害者?
・・それってどういうことなのかしら。
私は“浮気をされた妻”という事が?
愛に加害者や被害者があるの?
あの人の裏切りを許せるわけじゃないけど、愛の前では皆、平等だと思う。
人を愛するということは誰も悪くはないわ・・・だから、傷つくのよ・・・。
もしキョンホssiが本気だったら・・・それは・・・仕方のないことかもしれない・・・。
私はヘギョン先輩に「いいえ、別に、ちょっと思い出し笑いよ。」と濁して、職員室を後にした。
どこか一人になれる所へ・・ -----私は屋上へ向かう階段へと足を向けた。
キョンホssiの事はただ事故を起こしたとしか学校側に言ってなくても、
どこからか漏れるもので、面白おかしく言う人は必ずいる。
----・・不倫しているのよ・・----
その言葉に後ろめたさを感じていた。
・・・キョンホssiに?・・ ・・ 私に?・・・
私は別になにもしたわけじゃない。
それでも後ろめたさを感じていた。
起こるかもどうかもわからないのに・・・
屋上から見た空は薄空色をしていた。
校庭には小さく見える生徒たちが法則を持たない動きをしている。
“なんだか嬉しそうよ”先ほどのへギョン先輩の声が頭の中で重複していた。
あの時、インスssiの指が触れた時、恐かった。
指先から私の気持ちが見透かされそうで恐かったの。
手を握られた時は心臓を掴まれたみたいだった。
不安だったものが、形になった瞬間。
・・・・確信してしまったの、自分の気持ちに・・・・
あの時、インスssi は熱い目をして私を見ていた。
あの人も同じ事を感じているの?
私と同じ気持ちなの?・・・
ソヨンは携帯を開いてインスssiのメールを読んでみる。
そして画面を指でなぞってみた。
・・・不思議ね。ただの機械の文字なのに、あなたからだということがこんなに嬉しいなんて・・・
・・・メールをするようになってから、あなたの姿が鮮明に色づいて浮かんでくるの・・・
・・・唯一、インスssiを感じれるわ・・・
それでも、キョンホssiを嫌いになったわけじゃない。
早く良くなって欲しいし、元気なキョンホssiに戻ればと心から願っているわ。
そうよ、私たちは夫婦だもの・・・だから・・・。
だから?・・・
そこから続く言葉がどうしても見つけられない。
ソヨンは、自分とキョンホの間に埋めれない、深い溝があることをとうとう見つけてしまった。
まだ肌寒い風が通り抜けていく。
キョンホssi、ごめんなさい・・
・・・心だけは・・・嘘がつけない
・・・あの人を追いかけている私がいるの
二人の男性を同時に愛するなんて、私には出来ないし、映画やドラマの中だけだと思っていたのに。
--- 理屈じゃない。どうしようもない ---
そういうことがあるのね・・・・
・・・インスssi・・・あなたに会いたい・・・
でも、この思いはあなたに伝えられない・・・・
・・・私にはキョンホssi が・・・・そして・・あなたにも・・・・
切なさがソヨンを襲い、胸を詰まらせた。
~~♪♪~~
インスからのメール着信が鳴った。
画面を見たソヨンは、震える手で声が漏れないように口を押さえると、涙が堰を切ったように流れ出し、呑み込んでいた想いが溢れだしていた。
・・・私・・・どうしたらいいの?・・・
もう・・止まらない・・・
しゃがみ込んで泣き崩れるソヨンの手に“・・・会いたい・・・”と送られてきたメール画面の表示が揺れていた。
---------------------------------------
9だけ、抜けてたし・・ごめんなさい
