Boruneo’s Gallery

絵はお休み中です
<作品には著作権があり、商業的使用は禁止とします>

大好き

2007年06月28日 01時51分58秒 | つぶやき

 

かれこれ2週間とちょっとぶり・・・・ 
4雪のUP以外しばらくここで呟いてないなぁ・・。
ネタもないからいいんだけど・・。

    
今回はナビゲートも買ってないし、眼鏡市場にも行ってない。
でもいいのさ。
それでも毎日ヨンジュニに会ってるしぃ。

           

今日、WithにUPしてる音符さんのタムトクのMVを見る。

タムトクのこと・・最初の頃より段々好きになってるなと実感させてくれる作品で楽しめました。

剣の捌きが上手いとか
汗がにじんで土のついた顔がいいとか、
馬上からタムトクの投げる剣がハチャメチャな飛び方にもかかわらず
演じてる姿が萌えとか、いやぁ、萌えた萌えた
結構壷の押さえどころがいいのよん。
いいもん見せてもらったわ~~幸せな気分っ~~

やっぱり仕事(演技)してる時のヨンジュニの顔って一番いいっ。
男してる顔に弱い!

あぁ 再確認しなくてもわかってるけど、言わせて。

ヨンジュニってば いい男よー!!

大好きーーーーー!!!

公式で笑顔もいいけど、優しさオーラ全開もいいけど
真摯に厳しく取り組む姿はやっぱり大好物っす!!じゅるじゅる~~

 

ハートはhothot。大事に抱えてこのまま布団に入ろ。
どうか夢で逢えますように~~ついでにハグもお願い~



追記 

占いパーツが出来たので、貼ってみる。
訪問者も占えます。




 


4月の雪 41

2007年06月23日 10時42分49秒 | 創作話


      41 ~参列~

やっと、僕の元へあなたは来てくれた。
あなたの場所へと僕もやっとたどり着いた。

一筋の涙が光ってあなたの頬を伝っては落ちた。
僕の瞳に映るあなたは揺らいでいる。
涙で濡れた唇をもう一度重ねあうと、あなたから切ない味が沁み込んでくる。
そっと触れている唇からお互いの気持ちを確かめようと押し付けてしまう。

「この温かさをずっと待っていた・・・。」

あの日から忘れたことは一度もない、あなたの柔らかさ。
僕を受け止めてくれたこの温かさを記憶の隅に追いやることで過ごしていた日々は遠く、
今再び鼓動が始まったことを僕は感じていた。

インスは重なった唇をソヨンからゆっくりと離した。

「愛してる・・ソヨンssi 。もう、どこにも行かないで。いいや・・ 僕がもう離さない。」

突き上げる感情があなたの細い体を締め付けていた。
このままでは・・・・押さえが利かなくなる・・

僕は力の篭もった腕を離し、あなたの瞳のなかに僕と同じ情熱が宿っているか、探していった。
あなたもそうだとどこかに自信があったんだろう。

だが、それはすぐに打ち消されてしまった。
僕への愛に泣き濡らし赤い目をしたあなたは、それでもどこかに拒絶の色が見え隠れしているのを僕は見つけてしまった。

・・・僕はあなたが欲しい・・・・だめですか?・・



私に触れるその指が・・・あなたが私を求めているのがわかる。
・・・この情熱を受け止められたら・・分かち合えたら・・今・・何も考えずあなたに溺れることが出来たら・・・。

ソヨンは眼鏡の奥で切なげな瞳をしたインスをそっと抱きしめた。

「・・・ごめんなさい。時間が欲しいの・・。」

この意味がわかりますか?
あなたに抱かれながら、あの人の・・・キョンホssiの顔が・・今夜はきっと浮かぶわ。
たとえあなたへの愛が嘘偽りのない気持ちでも、どこか心の死角にあの人が居ることを否定できない。

それが怖いの・・嫌なの・・。
愛しているのはインスssi・・あなただけ・・・。

だから・・今夜は・・待って・・・・。
私に時間を与えてください。


気持ちを探るインスにソヨンはそっと無言で答えていた。
抱きしめられたインスはその意味を知り、それ以上求めようとはしなかった。

わかっているつもりだったのに、僕は欲張りなのかな・・・。
「誤ることはないよ・・。さあ・・部屋に戻ろう。」

僕はあなたの肩を抱きながら、来た道を戻ろうと歩き出した。
しっかりと掴んだその細い肩をさすりながら、「今夜は少し寝ないと・・明日が大変ですよ。式に出ないとね・・。」と僕は言った。

・・・僕の本心は今夜の月のようにどこかに隠そう
・・・今夜だけは・・・

それから静まり返った夜の町を後にし、モーテルに戻った。
僕らはそれぞれの部屋に戻ると、あなたのかわりに波打つ情熱を抱いて眠れぬ夜を迎えた。



いつの間に寝たらしい。
重い瞼を開けて時計を見たら朝の8時過ぎだった。
夜明け近くまでは覚えているが、後の記憶がない。

すっきりしない体を起こすと、僕は熱めのシャワーを浴びた。
タオルで濡れた髪を拭きながら、壁越しにいるあなたを心で呼ぶ。

喪服に着替え終わると僕はあなたの部屋のドアを2度叩いた。
待たされることなくドアが開いて、喪服姿のあなたがいた。

「おはよう・・・少しは寝むれた?大丈夫?」

「おはようございます。ええ・・・少しは・・・。インスssiはちゃんと休めましたか?・・」

互いを思う気持ちが温かく交差していた。
どこかで朝食を食べてから昼頃にキョンホssiの葬儀に出ようと僕の提案で決まると、
早速モーテルをあとにすることにした。



朝から曇った空は昼ごろにはどんよりとした灰色になり、葬儀の参列の頃にはぽつぽつと悲しみを表すように雨が降ってきだした。
 
列の中ごろに傘を差したあなたが参列者とともに進んでいくのが見える。
キョンホssiとのお別れが近いんだね。

僕はずっと後のほうで列に加わりながら
あなたの後ろ姿を神妙な面持ちで眺めていたかしれない。
それは「一緒に並んで葬儀に参列するのはよそう」とここに着いた時、車の中で僕の方から言っていたからだ。
あなたはしばらく黙って頷くと言った。

「葬儀が終わったら・・インスssiの元へ戻ってきます」
「待ってる」

重い空色から悲しみの雨が強く振り出した。
これは母親の涙だろうか・・・息子を失った母親の涙。
幾程の悲しみが彼の母親を襲っているか・・考えると僕自身、心底辛かった。
どんな言葉でも癒すことは出来やしない・・。
泣き崩れた彼の母親は親戚に肩を抱えられ、傘の役目も果たさずに身も心もずぶ濡れになりながら家の中へと連れて行かれた。


止む事を知らない雨の中に彼女が佇んでいる。
ばらばらになった参列者が思い思いの別れの言葉を交わして消えていく中で、
彼女はずっとそこに立っていた。
傘から垂れる滴にスカートの裾を濡らしながらキョンホssiが去ったその道を・・・
あなたはずっと見つめていた。

インスはソヨンに近寄ることなく、彼女を待っていた。
人々が去っていっても、ぬかるんだ道を嫌って誰も外へ出なくなっても、
そこにインスとソヨンしかいなくても、インスは彼女の別れをただ待っていた。

僕は傘を差しながら片方の手を雨の滴で濡らす。
冷たいのか、温かいのか、よくわからない滴は、手のひらにいくつもの筋を作っては流れていった。

「君の涙がこんなにも雨を降らせているの・・」

昨夜の涙の味を思い出しながら、僕は濡れた指をそっと唇に追し当てた。


4月の雪 40

2007年06月17日 09時33分56秒 | 創作話

          40 ~岸辺~

固いベッドに横たわったインスは薄暗い天井を見詰めていた。
ビジネスホテルのような広さしかない部屋は調度品も照明の明るさもいい加減で、
それでもどこか都会を意識しているといった自己満足のような部屋だった

こんな部屋に一人で過ごしているとさらに気が重くなりそうだ。

体を起こした僕は、何か飲もうと冷蔵庫をあけて缶ビールを1本取った。
冷えたビールがいつもなら美味しく感じるのに、さすがに今夜は味気がない。
時間を持て余すばかりのインスは、ただ喉を潤すことだけに集中しようとしていた。

隣の部屋にあなたがいる。
・・・手を伸ばせば届くだろう。
だけど、今夜のあなたの心にまで届くかはわからなかった。

死んだ人間は、永遠に生き続ける。
勝てる相手じゃない。

缶ビールの滴がインスの指を濡らし、味のしない液体がインスの唇を濡らした。
そしてずっと胸の中に宿っていた溜息をひとつ、吐き出してみた。

ベッドサイドテーブルに置かれている、少しは洒落た目覚し時計から
コチ・・コチ・・と時を刻む音が大きくなってくる。

・・・・コン・・コン・・・・

遠慮がちに叩かれたその音は、彼女だとすぐにインスはわかった。
僕はビールをテーブルに置いてドアの前に立った。

・・・このドアを開けることの意味を僕だけじゃなく、あなたも知っているんですか?

薄いドアを挟んで男と女が立っている。
ドアの向こうを見詰めるインスと、ためらいがちにノックしたソヨン。
インスはドアノブに手を掛けると、ゆっくりと手前に引いた。

「ソヨンssi・・・」

現れた姿は、目を赤くしてあなたがさっきと同じ格好で立っていた。

「・・あの・・休んでいるところを・・・ごめんなさい。」
「いいえ・・・起きていました。」

・・・・・・・

「あの・・」
「あの・・」
二人の声が重なった。

「ソヨンssiからどうぞ。」
「・・・よかったら・・・少し話がしたくて・・・」
「もちろん、いいですよ。」

よかったら僕の部屋で・・・と体を少し開いたが、あなたはゆっくり首を横に振った。

このモーテルにはロビーと呼べるほどのものがない。
じゃあ・・外に行きましょうと、僕は椅子に掛けてあった上着を取って
部屋のドアを閉めた。

腕時計を見たら夜中の1時を差していた。
ソウルと違ってネオンがほとんどないこの田舎町だ。
こんな時間に散歩する人間なんか、この町にはきっといないだろう。
僕たちだけが、よそ者だ。

「真夜中に喪服着た人間が散歩している姿なんて、奇妙に見えるでしょうね。」

僕がそんな事を言うと、あなたの赤い目元が緩んだ。。

静かで平和なこの夜に、町中の人は夢の中を彷徨ってるんだろうか。
先ほどまで輝いていた星たちはどこかに隠れてしまって、かわりに古めかしい街灯が主役を張っている。
二人の足音が和音になって夜に響かせていくと、僕を心地よくさせていき、
この静けさをありがたくさえ思えた。
僕たちは会話してるね。
隣にいるあなたは、うつむき加減に微笑んでいるようだ。
インスの視線に気付いたソヨンは、答えるかのように口元をさらに緩めて白い歯をみせた。

そして、あなたが少しずつ話し始めていった。

「本・・贈ってくれてありがとう。読みました。すごい賞を頂いたんですね。おめでとうございます。」

「よかった。ちゃんとソヨンssiの所に届いていたんですね。」

随分、昔の出来事のようだ。
懐かしくもあったが、辛い思い出でもあったな・・。
本には載っていない受賞時の様子を話すと、あなたは楽しそうに聞いていた。

・・・こんなふうに話せる時間を持てる時が来るなんて・・・
少し前では思えなかったよ。

二人で笑いあったりして、それでもどこか核心を避けていたことはお互いわかっていたが、
「ソヨンssiの家にあれから行った」と話すと、途端にあなたの表情が翳りを見せ、重い口を開くように話し始めた。

最初はあなたへ贖罪の気持ちでキョンホssiの方から家を出て行ったこと。
僕が本を送る少し前からキョンホssiからの電話に悩まされたこと。
やはりあなたを忘れることが出来ない彼から復縁を迫られたこと。
それが出来ずにあなたがあの家を離れたこと。

「僕が込めたメッセージはあなたに届いていたんですね・・・。」

だから、引っ越したともあなたは言った。

キョンホssiはあなたの学校や、同僚にまで連絡してあなたを探していた。
彼のそのときの様子がどこか常軌を逸脱していているようだと感じたあなたは、僕と彼を会わせたくなかった・・と。

ようやく静かに暮らし始めたある日、再びキョンホssiから電話があり、
それが事故の数日前だという。

「一度は愛した人です。あんな姿を見たくなかった・・・。可哀想な気もしました。
私は残酷なことをしているんじゃないかって・・。
・・・・でも、どうしてもキョンホssiを受け入れられなかった。・・・」

それは僕を愛しているからだと・・?

最後の電話で何を言ったのか・・・よくは思いだせないあなたは、そのせいで彼が死んだかもしれないと自責の念を抱いていた。

まるで行き場のない彼の恋情が追いかけてくるようだった。
彼の死はあなたを永遠に捕まえてしまったんだろうか・・。
忘れることなんてこれからずっと出来ない・・。

わかっている。だが・・だからこそ!

「・・ソヨンssi・・同情のような気持ちで彼の愛に応えてもいつかは偽物だと気付くでしょう。そのときは優しさも、その温かさも刃を持って突き刺さしてしまうかもしれない。愛は時に残酷です。あなたはそれをしなかっただけだ。
・・誰も悪くはありません。だからあなたは傷ついているんです・・・。」

あなたの手を握った。
僕の手の中にある現実と真実はゆるぎなく、確かなのだと僕に教えて欲しい。

「キョンホssiを忘れる必要はありません。
だけど、僕たちはこれから生きていかなくてはいけない。
未来を・・僕たちの未来を彼に預けないでください・・・・・。」

立ち止まって、僕の言葉を聞いていたあなたが切なげな顔をした。
僕の眼鏡の奥が熱くなってくる。
小さく頷いたあなたが僕の手を強く握り返して、愛していると言った。

「ソヨンssi・・聞こえません・・・」

・・・そんな顔をしないでくれ・・・もう一度、その声で僕の心に届けてほしい。

朝が来ない夜はない。

「インスssi、あなたを愛しています。 心からずっと・・愛してました。」

見えない夜明けに向かって信じることしか出来なかったあの日。
輝く星も月もない夜から、僕たちの未来が始まった。

オールを失くした船は波間に残され、弄ばれるように照らされた月明かりだけを頼りに航路を重ねてきた。
恋しさもこの愛しさも明日の光となるよう・・道を見失わないように・・僕らは手探りで突き進んできた。

数多くの言葉では伝えられない気持ちが、僕たちにはあった。
一言で伝わる想いが、ここにはある。

僕たちの鼓動はもう誰にも止められない。

朧月夜のような街灯の明かりは、この夜の岸辺へと導くかのように優しく注がれていた。
ようやくたどり着いた今、切なさを喜びに変えて、僕たちの唇が触れあった。


4月の雪 39

2007年06月12日 23時47分18秒 | 創作話


  39 ~夜露~

夜露が君の黒髪を湿らせている。
なだめるようにそっと触れると、しっとりと手に馴染んでは
君の香りが立ちあがってくる。
どこか遠慮がちに預けた君の重みが、二人の会えなかった時間の長さを
語っているようだった。

僕の腕の中は温かい? 
あなたにとって居心地はどうだろうか・・・

泣き声が小さくなって僕の胸から君が離れようとするけど、
泣いていない時でもここにいればいい。
ここが君の居場所だと僕は言いたいよ。

「ごめんなさい・・。服を濡らしたわ・・。」と君が睫毛を濡らしたまま伏せ目がちに言う。
「少しは落ち着いた?」

覗き込むようにしてみた君の顔。
ゆっくりと僕を捕らえた瞳がまだ潤んでいる。

見つめ合う瞳が熱を帯びていく予感がした。
今までに感じたことがないほどの濃い時間が僕たちを支配下に置こうとしている。
どうすることも出来ないまま、放り出されてしまった僕たちはどうすればいい?
そんな事をきっと君も考えているのかな。
ずっと俯いたままだね。

夏が目前の夜の匂い。
どこかから聞こえてくる蛙の鳴き声。
澄んだ夜空に輝きを増した数々の星たち。

ずっとこうしていたい・・・
あなたの肩に触れているこの手の囁きをあなたは聞いている?
無駄に過ぎ行く時間の前に立ちはだかる僕たちが愚かだと気付く前に
あなたと・・・。

だが、参列者たちがぞろぞろと帰宅する前にこの場所から
僕たちは出て行くべきだろう。
好奇の目も辛らつな言葉の数々も、彼女にはもう充分過ぎる。

あなたの手を引くと、僕は来た道を戻り始めた。
車はキョンホssiの実家の向こう側に停めてあった。
彼の家の前を通り過ぎなくてはいけない君は少し体を固くした。

「『新しい男を連れてきて。』とでも、ここの人たちは言うかな?
ソヨンssi、気にしないで・・というのは無理かもしれないけど
僕だけを信じて欲しいんです。出来ますか?・・・」

歩く速度を緩めずに僕は横にいるあなたに言った。
その意味が、覚悟がわかったのか・・
不安の色を見せないように勤めながら笑顔をみせてくれた。


家の反対側に彼女を歩かせながら、僕たちが歩いていく。
死んだ男の元妻と見知らぬ男が二人、肩を並べて歩いていく。
噂には格好の餌食だろう。
街灯の少ない夜道は、喪服の二人をカモフラージュしてくれるだろうか?

何気にこちらに顔を向けた人がいたが、僕を見ているらしく、
彼女に気付くことはない様子だった。
インスは、大丈夫だよと安心させたくてソヨンに笑顔を送った。

ようやく停めてある僕の車までたどり着く。
電車で来たという君を「ちゃんと自宅まで送るよ。」と言って
助手席のドアを開けた。
ここからソウルまで約5時間・・・あなたとずっと一緒だ。
遠い道のりが愛しく感じられた。

「・・駅で降ろしてください。今夜は近くのホテルを取るつもりしていますから。」

ソウルへ向かう真夜中のドライブを楽しみにしていた僕は、
あなたの言葉の意味がすぐにわからなかった。

「明日、式に出ようと思っています。」

生涯を共に・・と一度は誓った人との別れだから、ここでの冷たい視線も
辛らつな言葉も受け止めることが出来た、とあなたは言った。
その姿を見るには痛々しすぎるほどだったけど、それがあなたのけじめなんだね。
自分と向き合っている貴方を支える役目を僕に与えてくれませんか。


インスはわかったと言うとソヨンを車に乗せ、侘しいほどの街灯しかない一本道を
赤いテールランプが光りながら走り去っていった。




最寄りの駅の近くにはいくつかのモーテルがあった。
どこでもいいから降ろしてくれたらいいと言うあなたを乗せたまま、
僕は駐車場のあるモーテルを探していた。

ようやく見つけた一軒に僕は彼女と一緒に降り、
モーテルのフロントで2名の宿泊を申し込む。
一人で泊まるつもりをしていたあなたが驚いて僕を見つめ返した。

「ソヨンssiを一人には出来ません。だから僕も一緒に泊まります。
大丈夫・・部屋は2つ取りますから。」
本当は一つでいいと言いたかったけど、今夜彼の地でそんな事は出来ないことぐらいはわかっている。

No.256とNo.257のキーを持って薄暗い廊下を歩く僕たちに会話はなかった。
狭くて暗い廊下の雰囲気の重さが僕たちをも重くさせていたからだ。

そして互いの部屋へ入ろうとしたとき・・・このままでいいのか?・・と自分に問いかける。
僕はあなたを見た。あなたも、僕を見ていた。

「・・・眠れますか?・・・」

「・・・わかりません。・・でも、今夜は一人で色々考えてみたいんです。」

あなたは確かに「一人で・・」と言った。
僕は軽く頷きながら、何かあったらいつでも呼んで欲しいと伝えて
あなたが部屋に入るのを見届けた。

ベッドに小さなテーブルセット、TVにこれも小さな冷蔵庫があるだけの部屋。
差してうろうろするほどの広さでもないこの部屋はあなたと同じ作りなんだろうか?

インスは黒い上着を脱ぐと部屋の窓際にセットされた椅子の背に掛け、
ベッドに腰を下ろすとそのまま後ろへと倒れこんだ。
今日一日の出来事が走馬灯のようにインスの頭を掠めていく。

キョンホが呼び寄せたようにスジンに会って、ソヨンに会って、
今こうしている自分がいる。
不思議な気がしてならない。

あの事故から始まって僕たちが出逢った。
キョンホssiとスジンの恋、伴侶への怒りと葛藤、僕らの罪といえるもの
すべてが渦のように飲み込まれていって、今再び、あなたの側に僕はいる。
だけど壁を隔てたその向こう側で、今あなたは彼のことを思い出しているんだろうか・・・。
疲れがインスの体を占領し、胸の内に溜め息が宿った。



やっぱり彼だ

2007年06月10日 09時35分05秒 | つぶやき
ヨンジュニのドラマ「大王四神記」について、色々心配される中
公式ではコメントがでましたね。

私は特に心配してないです。

いつもどおりヨンジュニらしい考え方だと思うし、
むしろ以前よりもこの作品に対して注いでるものが凄いと思う。

このままでも(放映は)イケるだろうけど、
それでは韓流という流れだけになってしまいがちになるのか・・
彼の考え方は・・やっぱりらしい・・気がする。

いつかは監督をやってみたい、という人だからか、
あるいは自分の背負ってるものの意味を考えるからか。
どっちにしても、俳優という視点だけではない何かがヨンジュニにはいつもあるように思う。


自分の栄華のためではなく、同じ志を共に持てる仲間たちとある高みに一緒に望むべく、
今までも 今日も これからも頑張ろうとするヨンジュニ。

そう、これは彼の仕事なんだ。
34歳の男として、ヨンジュニは誇りを持ってこの作品に心血を注いでる。
仕事に情熱を捧げてる。
これほど魅力的な姿がどこにあるだろうか・・。



いろんな問題があっても、素晴らしいものは必ず人の心に残る・・と信じています。

4月の雪 38

2007年06月04日 10時37分40秒 | 創作話
            38 ~通夜~


             ~脳内BJM~
        『April Snow-O.S.T』より~回想~



スジンが書いた場所には、ソウルから5時間ほど走らせたところにある海南が書いてある。
のどかな田舎町だ。
彼の、キョンホssiの実家が書いてあった。

僕はスジンと別れた後、そのまま急用が出来たからとオフィスに届け出ると、自宅へ戻ってめったに着ることのない喪服に袖を通した。
それから車をj走らせ、キョンホssiの実家に着いたときには、もう夜になっていた。

キョンホssiの実家は田舎によくあるタイプの家で、あたりは畑や野原が多く残っている。
車での参列者も多かったが、少し離れた場所に駐車をすると僕は歩いて彼の家へ向かった。
近所の人たちだろうか、どこかのどかな様子の人たちが老若男女出入りをしている。
その中でソウルから来たと思われるような違う空気をまとった人を何人か見かけることができた。
きっと彼の仕事仲間だろう・・。
そこにスジンも居るのかもしれない、と僕は思った。

悲しみの参列に加わり、僕は遺族の人たちに頭を下げた。
・・・何と言えばいいのか・・・・言えることなんか何もない。
キョンホssiと僕の妻と、あなたと僕。
複雑に絡み合った感情だけが僕を縛り付けていく。

僕を仕事関係者だと思ったんだろうか?何も知らない様子で母親らしい人が僕に挨拶をしてきた
「・・息子が生前、お世話になりました。」
「・・いいえ」
それだけをいうのが精一杯の僕だ・・・。

そして親族の姿の中に彼女の姿がないことを確かめると、僕は参列から外れ後ろの人に場所を譲った。
少し離れた場所にスジンが立っていた。

「インス・・早かったのね。」
「ああ。君は今から?」
「もう済ませたわ。」

ため息混じりに言葉が出る。

「彼ね・・はっきりとは言えないらしいんだけど、覚悟の自殺じゃないかって・・。酒量の割にスピードが出ていて、スリップ跡がなかったらしいの。現場検証で警察はそう判断したらしいわ・・。」

あの日カフェで、スジンからキョンホssiが死んだということ、そして、それは自殺かもしれないと聞いたときは衝撃を受けた。
彼と僕はほとんど言葉を交わしていない。
それでもある種の繋がりを感じていたのはきっと同じ女性を愛したという事実があったからだろうか。
なぜ!?・・ どうして?・・ そう思ったのも束の間、僕はキョンホssiに触れた気がした。
彼はずっとソヨンssiをあれからも愛していた? 諦めていなかったのか?

きっと・・そうなんだろう。
詳しい理由も何も分からないのに、核心たるものを僕はあの時、確かに感じていた。

「もう帰るわ。ここは居心地が悪くって・・。私は招かれざる客だもの。」
そう言って友人と帰っていくスジンをその場で見送ったが、僕にとってもここは長く居られる場所じゃなかった。
仕方なくなったインスは家の門をくぐって出ようとしたとき、入ろうとするソヨンに出会った。

「ソヨンssi」
「・・・インスssi・・・どう・・して」

そこだけが世界の中心のように互いのすべてが照らされ、その瞳に驚きと理解と懐かしさと愛しさを映しだしていった。
今、目の前に心を捧げた人がいる。
ソヨンは驚愕を隠せなかった。

「さあ・・キョンホssiに最後のお別れをしてきてください。」
僕が彼女の背中をそっと押すと、あからさまに僕のことを見られないあなたは背中で僕を感じているようだった。
僕もあなたを感じています・・


あなたが親族の人に挨拶をしているのが見える。
少し前までは君の家族とも言えた人たちだ。
すると、僕のところまで胸が痛くなる言葉が耳に届いてきた。

「何で別れたの! 息子が何をしたっていうの! 何で・・・・何であの子が死ななきゃいけなかったの!!」

何も知らない彼の母親の声だった。
周りに居た参列者もみんな黙ってしまって、恐ろしいほどの沈黙と耐えがたい苦痛がそこら中に広がっていっては僕の胸に激しい痛みを走らせた。
彼女はその細い体で親族の罵倒を一身に受け止めながらようやく立っている。

・・・もう、止めてくれ!彼が死んだのは彼女のせいじゃない!!・・・
咽喉が一気に込み上げて熱くなるのを感じながら、僕は拳に怒りを溜め込むしかない自分を呪った。

ソヨンは最後の別れを済ますと見つめるインスの前を視線も合わさずに素通りし、キョンホの実家から離れようと足早に去っていった。
インスはソヨンの気持ちが痛いほどわかっていた。
・・・一人で耐えようとする姿が痛々しすぎるよ。

去っていく彼女のあとをインスは見守りながら、夜の田舎道を2人は歩き続けていった。

所々にでこぼこが残る田舎道を歩くソヨンの乾いた足音に混じって、歩数の違うしっかりとした足音が近づくこともなく重なっている。
・・・君は僕を感じている。そう・・確かめているんだ。
キョンホの家が小さくなったころ、ようやくソヨンの足取りが止まった。

僕はとうとう、たまらなくなった。
「ソヨンssi・・・。」
細い肩が震えている。

歩み寄ったインスがソヨンの肩に両手を掛けると、まるで合図のように深呼吸をしたソヨンの体を後ろからそっと抱きしめた。
インスは久し振りに触れた彼女の温かみや香りが現実のものであることに喜びを感じていた。
「ソヨンssi・・・」

・・・耳元で響く懐かしいあなたの声・・・私の名を呼ぶ声にどれほど・・聞きたかったか・・・。
でも、なぜここにあなたがいるの?
なぜあなたと会うのはこんな時なの?
嬉しさも悲しさもごちゃごちゃで・・・今は自分がわからない・・。

ソヨンの涙がインスの黒い袖を濡らしていく。

あなたを抱きしめる力が増したとき、さらに細い肩が大きく揺れ始めた。
あなたを僕の方に向き直させる。

・・・言葉が無いって・・・こういうんだよ。
あんなに云いたい事があったはずなのに、君を見たらもうどうでもよくなったみたいだ・・。

「私のせいだわ・・・」
「君のせいじゃないよ」

君の頬を拭っても止まらない雫。
「泣くといいよ。君の悲しみは僕も一緒だから・・」
インスはソヨンを大きく包み込むように抱きしめると、ソヨンは耐えていたものをその厚い胸に吐露するように泣き出した。
暗い田舎道の真ん中で、ソヨンの悲しみをインスは飲み込んでいった。
その泣き声は焦がれる胸に吸い込まれていって、この上ない安堵感をソヨンに与えていきながら。

ソヨンssi・・・わかるだろうか。
こんな時でさえ、僕は恋をしている。

やっと、言えるよ。

「会いたかった・・・」

僕は君の黒髪に、あの朝残した額に、もう一度唇を押し当てた。