ケーブル日和【オーディオケーブルの超マニアックなお話】

オーディオケーブルに関する超マニアックなお話を中心に、大好きでたまらないオーディオへの思いなどを書いていきます。

ケーブルのエージングを効率よく行う方法

2023年08月18日 | ケーブル使いこなしノウハウ

新しいケーブルをオーディオ機器に接続し、最初の音出しをする時にはいつも期待と不安が入り混じります。

最初の音出しというのは、オーディオの醍醐味の一つではないかと私は思っています。

良ければ天国、期待はずれだと気持ちも沈んでしまいます。

良ければエージングで更に音質が良くなることに期待を膨らませますし、期待を下回った場合はエージングできっと良くなると願ってしまいます。

いずれにしても、早くエージングを完了させて良い音で音楽を聴きたいというのが、本音ではないでしょうか。

今回は、エージングを効率よく行う方法について、私が行なっている方法をご紹介いたします。

 

<エージング音源>

エージング音源は、もちろん普段聴いている音楽でも良いのですが、専用の音源の方が時間が短くて済みます。

また、専用の音源は、高い音から低い音まで満遍なくエージングを行うことができます。

 

私が使った経験があるもので、現在販売されているエージング用CDを3つご紹介します。

価格は購入先により変わります。

 

【エージング用CD】

(1) XLO Reference Recordings Test & Burn-In CD :4,390円(税込)

 バーイン・トーン(エージング用音源)の他に、消磁用音源やチャネル確認、正相と逆相の音源などのテスト用トラックと、音楽トラックが収録されています。

 持っているとシステム全体のチェックに役立ちます。

 

(2) PAD バーンインCD LUMINIST SYSTEM ENHANCER:26,000円(税込)

 ちょっとお高いですが、有名なケーブルメーカーであるPAD社の製品です。

 「最新のコンピュータアルゴリズムによりオーディオ機器をすみずみまでバーインします。」と紹介されいます。

 これも効果の高いCDですが、PADのケーブルの音になると言われる人もいらっしゃいます。

 

(3) aet Sound Voicing Optimizer Pro 2G:12,540円(税込)

 ケーブルメーカーである「株式会社エーイーティー」の製品です。

「音の根幹を成す基音をパルス波に変換する最新のシンセサイザー技術を用い設計しております。周波数レンジの拡張に加えて、ダイナミックレンジ上での巧妙な強調成分をプラスする事により音楽帯域の拡張と音響パワーアップを両立します。」と紹介されています。

 この音源はエージング時間が早く、帯域全体が満遍なくエージングされる感じがします。

 XLOもPADも良かったのですが、現在はこのCDが常用音源になっています。

 

実際の写真を載せます。

XLOのCDは、本当はカラーのジャケットなのですが、長年使っているうちに紛失してしまいました。

 

ちなみに、右下の「ANNA NETREBKO VERDI」のCDはエージング音源ではありませんが、エージングの最終段階の仕上げ用として24時間ほど連続でかけています。

このCDを使う理由を少しご紹介いたします。

オーディオフェアに行った時、まだあまり使っていないと思われるスピーカーが鳴っていて、最初はなんとなく音が重く抜けが悪い印象でした。

その際、この「ANNA NETREBKO VERDI」が試聴のために再生されたのですが、聴いているうちにどんどんスピーカーの音がほぐれていき、1曲終了したあとは最初の状態からするとかなり音の抜けがよくなって驚きました。

「ANNA NETREBKO」の声のエネルギーが凄まじく、これがスピーカーのエージングを加速させたように思いました。

以来、お気に入りのCDとなって、最終の仕上げ用に使っています。

 

<エージング方法>

通常は、CDプレーヤーとアンプをエージングを行うケーブルで繋ぎ、CDプレーヤーでエージング音源を連続で再生します。

しかし、リモコン操作ができるアンプの場合には、リレーや電子回路によって入力を切り替えているため、アンプの電源を切ってしまうと、CDプレーヤーの入力回路が切れてしまうものがあります。

こうなると、ケーブルの先に負荷(アンプ入力側にある抵抗)がつながっていない状態となり、電流が流れないためエージングができなくなります。

かといって、アンプの電源を入れっぱなしにするのは発熱もありますし、節電の意味でも行いたくありません。

そこで、私はエージング用の抵抗を内蔵したRCAプラグとXLRプラグを作り、これをエージングを行うケーブルに接続してアンプの代わりとしています。

【エージング時の接続方法例】

CDプレーヤー   エージング対象ケーブル  エージング用抵抗内蔵プラグ

 

この「エージング用抵抗内蔵プラグの作り方」を下記に示します。

尚、負荷抵抗を5.1kΩ(1/4W)としていますが、これは接続する出力機器の仕様(負荷インピーダンス)を確認した上で、安全な範囲で低めの値にしています。値が低い方がエージングの進みが早いためです。

出力機器の仕様(負荷インピーダンス)が不明な場合には、安全のため負荷抵抗は倍の「10kΩ」としてください。

実際の写真は次の通りです。

 

<エージング中の音の変化>

エージングにより音は良くなるのですが、エージングの時間経過と音質の向上は比例しません。

少し詳しくお話しします。

ケーブル製作を行なっている関係で、今まで非常に多くのケーブルをエージングし試聴してきました。

 

そこで経験的に分かったのは、エージング前の最初の音は、基本的な音質レベルが表れているということです。

そして、エージングを始めると一度音質が大きく低下します。

更に、エージングの最初の頃は音質の変化が特に大きく、帯域バランスも乱れます。

低域が強く出て曇った感じの音になったり、高域がキンキンと強くなったり、不安定な状態になります。

しかし、ある程度エージングが進むと音がまとまり始め、安心して音楽を聴けるようになります。

その後、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら音質が向上していきます。

 

エージングが進んでいくと、エージング前の最初の音質レベルを超えて更に良くなっていきます。

そして、音質の変化は徐々に少なくなっていき、最終的には変化しなくなります。

これがエージングの完了です。

 

この音の変化を、グラフしたものが次の図です。

数字的な根拠はありません。あくまでも私の経験的イメージですので、ご了承ください。

開始時点の音質レベルや、音質変化の幅(度合い)、エージングの完了時間などはケーブルによって異なります。

また、ケーブルによってエージングによる音質変化があまり出ないものと、よく出るもの(聴いていて変化がよく分かる)ものがあります。

エージングによる音質変化は、微小信号の通りが良くなる(微小信号が損失せず伝送される)ことだと考えています。(私のブログ「エージングについて「ChatGPT」に聞いてみた」も覗いてみてください)

エージングによる音の変化がよく出るケーブルは、経験上、微小信号が損失せず伝送されるケーブルだと思っています。

 

最後に、おまけがあります。

実際にエージングを行なっていて音の変化もほとんどなくなった頃、突然ポンと音の抜けが良くなる場合があります。

窓ガラス越しに外の景色を眺めていた状態から、窓を開け放って直接景色を見るような変化です。

この最後の音の変化は、私だけではなく、ケーブル工房TSUKASAのお客様も何人も経験していらっしゃいます。

私はこれを、エージング完了の合図だと思っています。

 

今回は、ケーブルのエージングを効率よく行う方法について、ご説明いたしました。

お役に立てましたら幸いです。

 



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