現在、”切り売り”のスピーカーケーブルが多く販売されています。
この”切り売り”のスピーカーケーブルに、バナナプラグやYラグ端子を取り付けて使用する場合も多いと思います。
前回は、バナナプラグについてご説明いたしました。
今回は、もうひとつのYラグ端子についてご説明いたします。
<アンプ側やスピーカー側のスピーカー端子について>
アンプ側やスピーカー側のスピーカー端子は、「5ウェイ・バインディングポスト」と呼ばれるものが主流になっています。
これは、裸線、Yラグ端子、バナナプラグの各種接続が可能な端子です。
この端子のポスト(支柱)は、「直径8mm」と「直径6mm」の2つのサイズがあります。
<Yラグ端子の選び方>
Yラグ端子を選択する際には、使用する機器に正しく合わせるため、各寸法や形状を確認する必要があります。
以下に詳しく説明いたします。
① Yラグ端子の内幅
Yラグ端子の内幅を、接続相手のスピーカー端子のポスト径(直径8mm、または 直径6mm)に合わせて選択します。
② Yラグ端子の外幅
スピーカー端子によっては、プラスチックのカバーで覆われており挿入できるYラグ端子の幅(外幅)が決まっているものがありますので、確認が必要です。(マニュアルに明記されていない場合があります)
また、スピーカー端子のプラスとマイナスの間隔が狭いものがあり、Yラグ端子の幅(外幅)が広いものを使用するとショートする恐れがありますので、この点も確認が必要です。
③ 適合芯線サイズ
Yラグ端子に適合するスピーカーケーブルの芯線サイズは、インターネットの商品説明などに「芯線の直径または断面積」での記載されています。
④ Yラグ端子の形状(ストレートタイプ、曲げタイプ)
Yラグ端子は、ケーブル挿入部分と端子先端部分がストレートになっているものと、角度をつけて曲げているものがあります。
アンプがラックに設置されている場合には、「曲げタイプ」のものを使わないと配線が難しい場合があります。
<市販品のYラグ端子例>
市販品のほんの一部ですが、代表的な形状のYラグ端子をご紹介いたします。
仕様は商品説明から抜粋しています。
① ORB HL-YLi-R
・定価(8個1組):¥5,940(税込)
・メーカーHP:https://www.orb.co.jp/audio/products/lug.html
・芯線接続方法:圧着方式
・端子サイズ :内幅8mm、外幅15mm
・適合ポスト径:8mm
・適合ケーブル:芯線断面積 2 ~ 5.5sq
・解説:
金メッキタイプの「HL-YLi ¥5,390」もあります。
昔からあるオーソドックスなタイプのYラグ端子です。
純銅端子に高純度メッキ処理を施してあるストレート形状の端子です。
端子自体が柔らかいため、必要に応じて簡単に曲げることができます。
② ORB HL-YSi-R
・定価(8個1組):¥5,390(税込)
・メーカーHP:https://www.orb.co.jp/audio/products/lug.html
・芯線接続方法:圧着方式
・端子サイズ :内幅6mm、外幅12mm
・適合ポスト径:6mm
・適合ケーブル:芯線断面積 2 ~ 5.5sq
・解説:
金メッキタイプの「HL-YSi ¥4,840」もあります。
昔からあるオーソドックスなタイプのYラグ端子です。
純銅端子に高純度メッキ処理を施してあるストレート形状の端子です。
端子自体が柔らかいため、必要に応じて簡単に曲げることができます。
③ FURUTECH FP-203(R)
・定価(4個1組):¥4,620(税込)
・メーカーHP:https://www.furutech.com/ja/2013/01/27/1075/
・芯線接続方法:圧着方式
・端子サイズ :内幅8.2mm、外幅12.2mm
・適合ポスト径:8mm
・適合ケーブル:芯線直径 MAX 4mm
・解説:
金メッキタイプの「FP-203(G) ¥3,960」もあります。
昔からあるオーソドックスなタイプのYラグ端子です。
純銅板材をダイレクト加工した端子で、曲げタイプとなります。
適合するスピーカーケーブルの芯線サイズが最大4mm(断面積 12.6sq)と、かなり太いケーブルを想定して設計されています。
この端子を圧着するには大型の圧着工具が必要となりますので、工具の選定にご注意ください。
④ オヤイデ電気 SPSL
・定価(4個1組):¥15,180(税込)
・メーカーHP:https://shop.oyaide.com/products/p-4186.html
・芯線接続方法:ネジ止め(ダブルネジ方式)
・端子サイズ :メーカーHPに記載なし
・適合ポスト径:8mm、6mm
・適合ケーブル:芯線直径 4mm(5.5sq)
・解説:
銅合金に「シルバー+プラチナメッキ」が施されています。
真鍮に「シルバー+厚肉24K金メッキ」を施した「SGSL ¥8,580」もあります。
幅広いスピーカー端子にフィットさせるため6mm・8mmの2段形状となっています。
この製品の大きな特徴は、ケーブル挿入径(4mm)に対し、直径5mmの高剛性ステンレス製止めねじを採用していることです。
これによりケーブル導体の撚り線部分を逃がすことなく接触面積を最大限に確保して接続することができ、幅広い芯線の太さに対応しています。
このことは、切り売りケーブルで色々な太さのものを安心して使用することができる大きなメリットです。
使用する上で注意する点は、Yラグ端子が金属製で長さがあるため、プラス側とマイナス側がショートしないようにケーブル固定部分(固定ネジがある部分)を熱収縮チューブで絶縁することです。
透明の熱収縮チューブを使用すると綺麗に仕上がります。
【SPSL 固定ネジ方式の様子】
⑤ FURUTECH FT-211(G)
・定価(4個1組):¥11,550(税込)
・メーカーHP:https://www.furutech.com/ja/2013/01/27/1062/
・芯線接続方法:ネジ止め方式
・端子サイズ :内幅7.5mm、外幅13.0mm
・適合ポスト径:メーカーHPに記載なし
・適合ケーブル:芯線直径 MAX 5.5mm
・解説:
ロジウムメッキタイプの「FT-211(R) ¥13,420」もあります。
適合ポスト径の記載がないのですが、手元にあるポスト径8mmの機器で試したところ、入ったものと、入らないものがありました。
機器側のスピーカー端子のポスト径が8mmであっても、メーカーによって若干細く設計している場合があります。
使用する場合には確認が必要です。
この製品は、肉厚のしっかりした作りで、端子のハウジング(外側)の部分が絶縁体となっています。
このため、ショートする心配がありません。
また、製品は太めの芯線(MAX 5.5mm)に適応する設計であるため、芯線を締め付けるネジと内筒に隙間があります。
細い芯線を使用すると、ネジに固定されず隙間に逃げて浮いてしまう芯線が出てきますので、芯線を半分に折り返して太くするなどの工夫が必要です。
尚、この製品には固定用のネジが短いものも同梱されており、芯線の太さに合わせて選択できるようになっています。
スピーカーケーブルに取り付ける場合に有り難みを感じる、大変親切な配慮です。
【FT-211(G) 固定ネジ方式の様子】
最後に、バナナプラグやYラグ端子を使用する際、適合するスピーカーケーブルの芯線サイズは、断面積であったり直径であったりAWGであったりと、表記がメーカーや製品によってばらばらになっています。
この換算表がネット上にありましたので、参考としてURLを掲載させていただきます。
電気に関する様々な情報を掲載している、Electrical Informationのページです。
<AWG、直径、断面積、sq換算表>
https://detail-infomation.com/awg_sq/
以上、Yラグ端子の種類と特徴についてご説明いたしました。
”切り売り”のスピーカーケーブルを、Yラグ端子を使って端末処理を行う時のご参考になれば幸いです。
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