裸の王様

日常をダラッと垂れ流しております。
時折、マニアックな妄想も垂れ流していますのでご注意下さい。

傷 (お題:小ネタ 微エロSX)

2007年09月04日 20時43分16秒 | REBORN(SS)
深夜3時、俺の隣で寝ているXANXUSが、微かな呻き声を上げた。
気になって覗き込むと、額に汗を浮かべ少し苦しげな表情を浮かべて眠っていた。
俺は右手の項で額の汗を拭ってやりながら、左頬に走る引き攣った凍傷の痕を見つめた。

8年もの長い眠りからXANXUSが開放されたのは、つい数ヶ月前のことだ。
全身の凍傷を癒すため、すぐさまボンゴレの特殊医療機関で集中治療を受ける事となった。
皮膚移植手術が繰り返され、やっと退院してヴァリアー本部へ帰ってきたのが先々週の出来事だった。
すぐさま彼は留守にしていた間のヴァリアーの状況を報告させ把握し、8年という月日で変わったメンバー達をあっという間にその手中に掌握した。
ある種のカリスマ性を持つXANXUSだが、真にボスの座に返り咲くまでに3日とかからなかったのは、誰にも予想できないことだったかもしれない。

退院したてで、ここ2週間ろくに休みもせず仕事に徹していたXANXUSが、どういう風の吹き回しか、一緒に酒を飲みたいと言ってきたのが昨日の夜。
酔った勢いも手伝って、8年ぶりにXANXUSを抱いたのはつい数時間前のこと。
アルコールで上がった体温が、普段は見えにくくしている傷すら全身に浮かび上がらせて、壮絶な有様の肢体を俺に見せ付けるXANXUS。
8年前、剣となり盾となってお前を守ると約束していたのに守りきれなかった。
青臭い約束を果たせずに未だその想いだけを引きずっている俺は、そこいらの少女達よりロマンチストなのかもしれない。
自嘲と自責の念と腕の中にやっと取り戻した大切なものと、いろんな想いが綯い交ぜになってあふれ出してくる。
ただひたすらに掻き抱いて、浮かびあがる傷の上にそっと刻印を刻んだ。
傷痕が疼くのか、XANXUSはそれを嫌がったけれど、俺は全ての傷跡に刻印を刻んだ。
一つ一つ愛おしむように口付け、啄ばむ。
その行為にXANXUSは何か儀式めいたものを感じたのか、最初こそ文句を言ったけれど、その後は成すがままに任せてくれた。

「何故、待っていた?」

俺の長い髪を引っ張って、XANXUSが一言だけ俺に問うた。

「俺の心は8年前お前と一緒に氷付けになっちまったんだ。
俺は、俺の心と半身が帰ってくるのを待ってただけだぜぇ。
俺はお前に一生付いて行くって誓ってるんだからなぁ。
眠ってたお前が目を覚ますまで、待つのは当然だろぉ?」

そう答えてやると、XANXUSは何も言わなかった。
そうして眠りに付いたのが2時間ほど前だ。

そっと傷跡に触れば、それが熱を持っているのがわかった。
俺は熱を持たない左手でその傷をそっと撫でてやった。
そんひんやりとした感覚が気持ちよかったのか、XANXUSの苦しげな表情が少しだけ和らいだ。
朝までもう数時間、俺は夜が明けるまでそうしてXANXUSの熱を冷ましながら寝顔を眺めてた。





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