機帆走(motersailing)とは、帆とエンジンの両方で走ることです。帆とエンジン両方使うので、スピードが速いという面もありますが、ヨットの場合は、「揺れが穏やかになる(ローリングの軽減)」というメリットもあります。横揺れを主帆にかかる圧力が和らげてくれるのですね。
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スループリグの場合は、主帆(メインセイル)のみ揚げて、ジブは巻き取っていることが多いです。だから、主体はエンジンでの走りで、セイルは補助的なものですね。
ヨットの構造にもよりますが、あまりヒールさせた状態でエンジンを回していると冷却水を十分吸い込めず、ピーピー警告音が鳴ってしまうことがあります。
「レースが大好き」というヨットは、エンジンは小さくても良いです。小さく軽いエンジンのほうが帆走には有利です。
しかし、機帆走することが多いヨットは馬力のあるエンジンがあったほうが良いですね。
私のヨットも全長26フィートに2GMの13hpのエンジンを積んでいます。2GMだから買った。といっても過言ではないです。
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ヨットの中古マーケットにおいては、25~6フィートの場合、2GM(または、それと同程度の馬力)に人気が集まります。ひと回り小さい1GMはどうしても人気薄になるようです。さらに、船外機仕様であるとさらに人気薄のようです。(船外機は、使わないときは跳ね上げられるので、レースには最適なんですが・・・)
私の船のホームグラウンドである東京湾はどうしても風の弱い日が多い。
朝はそこそこ吹いていたのに、お昼前後にパタッと風のやむことは、頻繁にあることです。東京湾では陸風が海風に変わるタイミングが朝凪というより昼凪なんです。
だから、エンジンの性能はたいへん重要になってくるんですね。
クルージングの基本は機帆走。とはっきりおっしゃる大先輩もいます。
その大先輩は、ブームが暴れないように、左右からしっかりロープで押さえて動かないようにしてしまうのだそうです。
岡田豪三氏が機帆走について述べてました。(引用元)
「クルージングの航海計画は、海図上に目的地までの最短コースを引いて、船種にもよりますが、だいたい5kt平均で所要時間を計算します。海上で風が落ちてきて、スピードが4ktを下回ったら機帆走に切り替えます」
「強風になったらセールをすぐに降ろす人は多いですが、そんなときでもリーフしたメインセールを揚げて、少しだけ風を入れて走ったほうが船が安定して、結果的に安全です。セールをすべて降ろして機走するとローリング(横揺れ)がひどくなって危険です。機帆走であっても、メインセールがあるほうが船をコントロールしやすいんです」
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機帆走のシーマンシップというものも、ブルーウォーター派には大事なようです。