聖母月も折り返し日を迎えました。
15日目にご紹介する聖母は、カルメル山の聖母です。
カルメル山は、イスラエル北部の地中海沿岸を南東に走る、長さ24km、最高峰524mの丘陵です。
その美しさは聖書の中でしばしば語られ、神の祝福の象徴として用いられるようになりました。(雅歌7.6、イザヤ35.2、エレミヤ50.19、列王上18.17-40、列王下2.25 参照)
十字軍の時代、キリスト教徒の隠遁者がカルメル山の洞窟で生活するようになりました。
カルメル山からはガリラヤの平原を見渡すことができます。
カルメル山は聖母マリアが生活したガリラヤの近くにあります。
カルメル山で生活を始めた人たちは、「カルメル山の幸いなおとめマリアの兄弟たち」と呼ばれ、この地上において、イエスとの交わりを最も深く生きた聖母マリアの生き方を模範とし、また、聖母のご保護のもとで生きました。
13世紀に入ると、彼らは集まって一つの修道家族を作り、エルサレムの総大司教アルベルトが与えた会則を受け入れて、カルメル会が発足しました。
カルメル会士は、やがてイスラム教徒に追われてヨーロッパに移住し、定着して広がっていきました。
1251年7月16日、英国県と州エイルズフォードのカルメル会修道院の院長であった聖シモン・ストックにスカプラリオ(肩布)を手に下聖母マリアが現れました。
そして、「これは、あなたと全てのカルメル会員の特権となるものです。これを身にまとって死ぬ人は誰でも、永遠の炎の中で苦しむことはないでしょう」と約束され、茶色のスカプラリオを与えられました。
この時以来、カルメル会員はスカプラリオを身につけるようになりました。
13世紀の末には早くも一部の信者はカルメル会士の霊性に従って、自分の生涯を聖母マリアに捧げたいとの望みを表しました。
聖母への奉献の目に見える印として、カルメル会の服装であるスカプラリオを身にける許しを得ました。
そして、スカプラリオは次第に、聖母からの優れた贈り物とみなされ、「マリアの服」つまり聖母マリアを保護者、母とする服となりました。
15世紀になってから、スカプラリオの信心には、死後できるだけ速やかに、特に土曜日に煉獄から解放される≪土曜日の特権≫が加えられました。
16世紀以降、1530年のクレメンス7世教皇の認可によって、この信心はゆるぎないものとなりました。
聖ピオ10世教皇は、初めてスカプラリオ代用のメダイを許しましたが、スカプラリオは本質的に聖母マリアの服であり、メダイはそれを思い起こす手段です。
「カルメル山の聖母」とは、スカプラリオをお与えになった聖母を呼びます。
スカプラリオの聖母の記念日は7月16日です。
聖母がファティマで牧童たちにお現われになられたときにも、第6回目の出現の際に、スカプラリオの聖母の姿を3人の牧童たちは見ました。
尚、本日5月16日は、聖母からスカプラリオを与えられた聖シモン・ストックの記念日です。
聖シモン・ストックは1247年、82歳でカルメル会の第6代総長に選出されています。
★スカプラリオのカルメル山の聖母への祈り
スカプラリオのカルメル山の聖母よ、
スカプラリオの恵みを授けられ
あなたの愛する子らに加えられた私たちに、
主イエス・キリストの奥義を悟らせてください。
ご自分をあなたにすっかり委ねたイエスに倣って、
わたしのすべてを御手に委ねます。
主イエスはあなたによて人となり全ての人を贖われた。
み母マリアよ、あなたを通してイエスがわたしを受けいれてくださるように、
今、あなたの弱い子どもであるわたしは、
母であるあなたの御手のうちに、
わたしの洗礼の約束を新たにし、
悪魔と、その虚栄と、そのわざをことごとく捨てることを誓います。
またわたしをあなたの清純なみ心に捧げ、
わたしのすべて、
わたしの体と霊魂、物質的、精神的ないっさいの持ち物、
わたしの過去、現在、未来のすべての善業をあなたに委ねます。
わたしに関するいっさいをあますところなく、
あなたの望みのままに神のご栄光のために用いてください。
今から万事につけ、あなたを敬い、あなたに従うことを望みます。
わたしの汚れない御母よ、
いつもわたしを神である、あなたの御子イエスの忠実な弟子としてください。
わたしが生きるのはもうわたしではなく、
わたしのうちにキリストが聖霊とともに生きておられると言えるほどにしてください。
アーメン。
★スカプラリオの恵みを受ける条件(カトリック信者のみ)
1.最初にスカプラリオを受ける時は、スカプラリオを授ける司祭から祝別されねばならない。
2.日夜常にスカプラリオ(または代用のメダイ)を身に付けていなければならない。
**土曜日の特典のためには次のことを守る。**
3.それぞれの身分(既婚、未婚)に応じて貞潔を守ること。
4.理想的なことは、ロザリオを唱えることであるが、 スカプラリオを授ける司祭がその代わりの祈りを決めることができる。
カルメル山の聖母の”茶色のスカプラリオ”は洗礼を受けたカトリック信者のみが着用することができます。