霧島連山、昨年1月に、52年ぶりに爆発した新燃岳の影響で、
現在、その周辺の山々は一部入山規制がかけられている。
そんな中、その霧島連山のひとつである、韓国岳で男性が遭難した恐れ。
捜索依頼の一報が、5日入った。

そして、捜索開始から3日目となった昨日…
その捜索に、私たちとピリカも加わった。
アクアも出動準備をしていたが…出発直前で、アクアは断念。
4日からの冷え込みで、韓国岳は真白い雪に覆われていた。
捜索前日に、山や道路状況などの情報を集め、雪山に備えて準備をしていた。
打ち合わせと準備を済ませ、いよいよ入山、捜索開始。

ピリカは、やる気満々だ。
雪山と言えど、しばらく進めると、さすがに暑くなってくる。
着ていたモノを、一枚一枚脱いでリュックに詰める。
ピリカは、鼻を使い普段の練習通りに右に左にピリカのスタイルで作業を進めていた。
そのピリカの動きや反応の、ひとつひとつを見逃してはならない。
犬の動き、そして進む方向を決めて進める。

≪しまったぁ(>0<) ≫
防水用の手袋を、どこかで落としてしまったのだ。
その手袋を探しに戻るも、そこは林道ではない為に、同じような景色の中。
自分の軌跡は記憶だけしかなかった。GPSは、途中で分かれたおいどんさんが持っていた。
結局、見つからなかった。
そこからは、右手は軍手だけ。
雪に覆われた木々をよけ、岩を握って上っていると、次第に軍手が冷たくなっていく。
うっ!!手が痛い。
ポケットに入れていたカイロで手を温める。
私の、そんな姿をピリカが見ていた。
でも、ピリカも止まると、肉球が冷たいのか?片足をあげていた。
その姿をみていたら、手が冷たい!!なんて言ってられないなっ!っと思った。

カイロをポケットにしまい、さらに進めることに。
ふと目の前に、巨大な崖が…。
2次災害など起こさない為にも、絶対にムリはしない。
そう言い聞かせながらも、安全を確認しながら行けるとこまで上ってみた。
そして、しばらく進めて…
ふと後ろを振り返ったその時、自分の上ってきた高さと景色にゾッとした。

もうコレ以上は無理と判断。
しかし、今きたルートを降りることより…
右前方に見える尾根に渡ったほうが早いと判断し、その方向に進むことに。
しかし、覆い茂る木々に進路を閉ざされなかなか前に進まない。
ピリカが、ケモノ道を見つけ進めてくれたので、その後を私たちはついていく。
そして、今度は沢に降りた。
実は、その沢でチョッとしたハプニングがあった。(~_~;)
雪に覆われた沢は、滑りやすい。
慎重に、ひとつひとつ確認しながら降りていく。
ようやく開けた景色に出ることができた。
しかし、そこは1合目。
振り出しに戻ってしまたのだ。
一瞬、気持ちが負けそうになる。
しかし、そこで弱音など吐いていられない。
そこから再度、上を目指し上る事に。

進めていると、途中で【一度、下山】との指示。
正直、ホッとした。
待機場所に戻るも、仲間の救助犬からも他機関からも、確証の持てる情報は入っていないようだった。
状況報告をし、昼食をとりながら、次なる打ち合わせ。
しかしながら、一度、腰をおろした体は…なかなか立ち上がれない。
気合いをいれ直し、捜索場所を変えて捜索を開始した。
そこは林道もない、いきなりのブッシュ。
積もった雪についてる足跡は、鹿の足跡だけ。
ブッシュをかき分け、木にはじかれ
体をかがめたり、倒木をまたがったりしながら…進めた。
しかしながら、夕刻となり下山。

述べ千人を超す捜索隊の力も及ばず、
結局、遭難者の手がかりをつかむことが出来なかった。
ピリカも頑張った。
最後にボールのご褒美に、ピリカは大満足!!
帰り道の、車窓からの見えた夕焼け染まる空と、沈む太陽に
自然の偉大さを、あらためて痛感させられたピリカの仕事初めだった。
長文、読んで頂いてありがとうございました。