「原始の叫び」
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Sleepy John Estes
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いやぁ~、このひとの闇もそーとー深い...
スリーピー・ジョン・エスティスの音源としては、再発見後、1962年に録音された『The Legend of Sleepy John Estes』が有名で、’70年代、来日しての憂歌団とのコンサート・ツアーなんかもあり、日本でも、そこそこ売れたみたいですが、本当のエスティスを体験したいなら、'29年からの数年間に録音された音源にかぎります。
生活苦でしゃがれる前の(再発見当時、エスティスが住んでいたのは、Brownsvilleの町はずれの貧民窟。そのなかで一番貧しかったのが、彼のうちだったというからすごい。その当時の暮らしっぷりは、自虐曲『Rats in My Kitchen』に詳しい。)、憂いを帯びたヴィブラートがかかったハイトーン・ヴォイスを聴くことができます。
それにも増して興味深いのが、マンドリン単音トレモロ奏法で、メロディーを紡ぎだすヤンク・レイチェルと、ピアノのジャブ・ジョーンズ、ジャグ&ハープ・プレイヤーのヘイミー・ニクソンが織りなすリズム構成。 単調ながらグイグイくるビートが、一曲、一曲と進むごとに、静かに、やがて激しく聴き手を揺さぶり、奥底に眠る蒼黒い獣を黄泉返らせます。
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