□本日落語一席。
◆入船亭扇遊「きゃいのう」(TBSチャンネル『落語研究会』)。
東京三宅坂国立劇場小劇場、令和5(2023)年7月26日(第661回「TBS落語研究会」)。
昭和の人気タレントとして名を馳せた柳家金む語楼による新作である。これまでラジオやLPレコードなどで四席の「きゃいのう」を聴いたことがある。
この落語を他の落語家が継承しているのかということをあらためて知ったしだいだが、扇遊の一席を聴いて、あれ?こんな落げだったっけ?と思って、川戸貞吉『落語大百科』を繙いてみた。
したところ、当該項目の説明でわかったが、今回扇遊の演ったものが本来の落げだったとのこと。この「きゃいのう」というのは、端役の役者に与えられた台詞で、三人の腰元が乞食を追い払う言葉として、「むさ苦しい」(一人め)、「とっとと外へ行(ゆ)き」(二人め)、「きゃいのう」(三人め)という一連のものの一つである。
それを、楽屋入りを告げられて、端役の一人が「それじゃあ早く行きゃいのう」と言って落げるというのが、自分が今まで聴いた金語楼当人の演じた落げだった。
それがもともとの落げは、「きゃいのう」と言う端役が、煙草の火玉の入った鬘をかぶってしまい、舞台上で「きゃいのう」と言わず、「熱いのう」と言って落げるというものだったらしい。それを今日扇遊の高座でも聴き知った。
もともとの落げにしても改作にしても、それほどおもしろい落げではない。噺全体の展開としてもさほど秀逸とは思えないのだが、それを後進が演じていたというのがちょっと意外な気がした。
川戸の前掲書によれば、「三遊亭円歌、入船亭扇橋、三遊亭円窓をはじめ若手二ツ目まで、いろんな人がこの噺を演っている」とある。そんなこの落語は演者に人気だったとは。また、「誰もが『熱いのう』で落としているようだ」ともあり、こんな原案どおりに演っていたようだ。
円歌とあるのは三代目の三遊亭圓歌(歌奴時代の?)だろうか。それとも二代目の円歌か。また、扇橋の名が入っているので、嗚呼、扇遊は師匠から習ったのかと。
◆入船亭扇遊「きゃいのう」(TBSチャンネル『落語研究会』)。
東京三宅坂国立劇場小劇場、令和5(2023)年7月26日(第661回「TBS落語研究会」)。
昭和の人気タレントとして名を馳せた柳家金む語楼による新作である。これまでラジオやLPレコードなどで四席の「きゃいのう」を聴いたことがある。
この落語を他の落語家が継承しているのかということをあらためて知ったしだいだが、扇遊の一席を聴いて、あれ?こんな落げだったっけ?と思って、川戸貞吉『落語大百科』を繙いてみた。
したところ、当該項目の説明でわかったが、今回扇遊の演ったものが本来の落げだったとのこと。この「きゃいのう」というのは、端役の役者に与えられた台詞で、三人の腰元が乞食を追い払う言葉として、「むさ苦しい」(一人め)、「とっとと外へ行(ゆ)き」(二人め)、「きゃいのう」(三人め)という一連のものの一つである。
それを、楽屋入りを告げられて、端役の一人が「それじゃあ早く行きゃいのう」と言って落げるというのが、自分が今まで聴いた金語楼当人の演じた落げだった。
それがもともとの落げは、「きゃいのう」と言う端役が、煙草の火玉の入った鬘をかぶってしまい、舞台上で「きゃいのう」と言わず、「熱いのう」と言って落げるというものだったらしい。それを今日扇遊の高座でも聴き知った。
もともとの落げにしても改作にしても、それほどおもしろい落げではない。噺全体の展開としてもさほど秀逸とは思えないのだが、それを後進が演じていたというのがちょっと意外な気がした。
川戸の前掲書によれば、「三遊亭円歌、入船亭扇橋、三遊亭円窓をはじめ若手二ツ目まで、いろんな人がこの噺を演っている」とある。そんなこの落語は演者に人気だったとは。また、「誰もが『熱いのう』で落としているようだ」ともあり、こんな原案どおりに演っていたようだ。
円歌とあるのは三代目の三遊亭圓歌(歌奴時代の?)だろうか。それとも二代目の円歌か。また、扇橋の名が入っているので、嗚呼、扇遊は師匠から習ったのかと。