□本日落語三席。
◆古今亭雛菊「元犬」(BSフジサタデープレミアム第四回『Zabu-1グランプリ2023』※Bブロック)。
渋谷DR.JEEKAHN'S、令和5(2023)年1月13日収録(2月4日OA)。
◆柳家吉緑「紺屋高尾」(BSフジサタデープレミアム第四回『Zabu-1グランプリ2023』※Bブロック)。
渋谷DR.JEEKAHN'S、令和5(2023)年1月13日収録(2月4日OA)。
◆三代目林家菊丸「吉野狐」(ABCラジオ『上方落語をきく会』)。
大阪日本橋国立文楽劇場、令和5(2023)年2月19日※生放送(第121回「上方落語をきく会」昼の部)。
この落語は初めて聞いた(たぶん)。「猫の忠信」「天神山」と同趣向の噺だ。ただ、落げがうどん屋の符牒を使ったもので、ここは、仕込みがいるが、とてもおもしろい。
そもそもこの噺は二代目林家菊丸の作らしい。二代目菊丸は生没年の不確かな人だが、明治時代前期に活躍した落語である由。この人の作には、他に「堀川」「不動坊」などが伝わっている。
この噺のなかに出てくる、時計屋の若旦那が花街で遊興が過ぎて使った金が3,000円という。さて、どれくらいのものだろう。参考になりそうなものはないかと、朝日新聞社刊『値段の風俗史』(続続)を繙いてみると、明治22年の国会議員の年俸が800円とあった。
明治33年にダイヤモンド一カラット200円。3,000円は十五カラット分だ。現代では?と思って調べてみると、今はなかなか一カラットだからいくらかみたいには価格決定ができなさそうだ。要は質によるらしい。ただ、安くても20万くらいのようだとすると、十五カラットは300万か。花街での放蕩三昧としては、そんなところかなという気もする。
なお、三代目菊丸は、令和4年度(第77回)文化庁芸術祭 大衆芸能部門(関西参加公演の部)大賞と、しきりに喧伝されていた。受賞対象(エントリー)は「第八回三代目林家菊丸独演会」に対してのもので、ここで演じられたのは「癪の合薬」「二番煎じ」「井戸の茶碗」であって、この「吉野狐」は含まれていない由。この作品で受賞されてもよかったのにと思ったが。
受賞理由には「女性を描くことに定評のある林家菊丸が『癪の合薬』『二番煎じ』『井戸の茶碗』という“侍の噺”三席で新境地を開拓。特に『井戸の茶碗』では、清貧な暮らしぶりの浪人、若き武士、正直者の屑屋を巧みに演じ分け、爽やかで温もりのある笑いを届けた。また、浪人の娘の心情をさりげなく織り込むなど、現代感覚にマッチした演出も光る」とのことである。
◆古今亭雛菊「元犬」(BSフジサタデープレミアム第四回『Zabu-1グランプリ2023』※Bブロック)。
渋谷DR.JEEKAHN'S、令和5(2023)年1月13日収録(2月4日OA)。
◆柳家吉緑「紺屋高尾」(BSフジサタデープレミアム第四回『Zabu-1グランプリ2023』※Bブロック)。
渋谷DR.JEEKAHN'S、令和5(2023)年1月13日収録(2月4日OA)。
◆三代目林家菊丸「吉野狐」(ABCラジオ『上方落語をきく会』)。
大阪日本橋国立文楽劇場、令和5(2023)年2月19日※生放送(第121回「上方落語をきく会」昼の部)。
この落語は初めて聞いた(たぶん)。「猫の忠信」「天神山」と同趣向の噺だ。ただ、落げがうどん屋の符牒を使ったもので、ここは、仕込みがいるが、とてもおもしろい。
そもそもこの噺は二代目林家菊丸の作らしい。二代目菊丸は生没年の不確かな人だが、明治時代前期に活躍した落語である由。この人の作には、他に「堀川」「不動坊」などが伝わっている。
この噺のなかに出てくる、時計屋の若旦那が花街で遊興が過ぎて使った金が3,000円という。さて、どれくらいのものだろう。参考になりそうなものはないかと、朝日新聞社刊『値段の風俗史』(続続)を繙いてみると、明治22年の国会議員の年俸が800円とあった。
明治33年にダイヤモンド一カラット200円。3,000円は十五カラット分だ。現代では?と思って調べてみると、今はなかなか一カラットだからいくらかみたいには価格決定ができなさそうだ。要は質によるらしい。ただ、安くても20万くらいのようだとすると、十五カラットは300万か。花街での放蕩三昧としては、そんなところかなという気もする。
なお、三代目菊丸は、令和4年度(第77回)文化庁芸術祭 大衆芸能部門(関西参加公演の部)大賞と、しきりに喧伝されていた。受賞対象(エントリー)は「第八回三代目林家菊丸独演会」に対してのもので、ここで演じられたのは「癪の合薬」「二番煎じ」「井戸の茶碗」であって、この「吉野狐」は含まれていない由。この作品で受賞されてもよかったのにと思ったが。
受賞理由には「女性を描くことに定評のある林家菊丸が『癪の合薬』『二番煎じ』『井戸の茶碗』という“侍の噺”三席で新境地を開拓。特に『井戸の茶碗』では、清貧な暮らしぶりの浪人、若き武士、正直者の屑屋を巧みに演じ分け、爽やかで温もりのある笑いを届けた。また、浪人の娘の心情をさりげなく織り込むなど、現代感覚にマッチした演出も光る」とのことである。