Kent Shiraishi Photo Blog

北海道美瑛町の大自然や身近な写真を、
海外へ配信するArtistの呟き。

私有地につき立入禁止!

2014年09月06日 | 写真家のマナー違反について
私有地につき立入禁止!
畑でなくても私有地に入れば不法侵入です。




今年の美瑛町の丘は
「私有地につき立入禁止」
の看板が至る所に目立つと思います。

今までは
「畑に入らないで下さい!」
この文面の看板が多かったのですが、
そうすると収穫後の畑なら、
作物が無いから入っても良いだろうなどと、
勝手に解釈する者もおりました。

また畑でない他人の私有地内にある道に、
何も考えずに車を停めて、
農作業車の通行を妨げている者も少なくありませんでした。

僕は観光協会関連の宿部会で、
「畑に入るな!ではなく、
私有地だから入ってはいけない」。
そう書くべきだと進言しました。

今年になって書かれた看板は
殆ど全てが上記の文面です。

ですから次の写真をご覧下さい。



この畑の横の道は、
昨年までは自由に出入りしていました。
しかし今年からはご覧の様に、
「私有地につき立入禁止」です。
それだけ農家さんが、
今まで観光客から被害を受けていたという事です。

なぜ畑でない道まで侵入禁止なのか?
もちろん私有地だからですが、
この道も含めて殆どの道は、
これまで地主さんの好意で、
そこからの撮影が許されていました。
しかし多くの観光客が道から畑に入り、
靴底に着いた菌を畑に持ち込み、
また中には道の途中に車を停めて、
農作業の邪魔までする方もおり、
農家の皆さんを困らせていました。
その結果もはや我慢の限界を超えたと言う事です。
・・・・・・
数日前の朝、
僕はこの近くで撮影していました。
すると奥の方から声が聞こえてきました。

ちょうどその時、
「観光パトロール隊」の車とすれ違いました。

その後で奥から3人の男が歩いてこちらに向かって来ました。
車を直ぐ近くの町道脇に停めていたようです。

一人の男が歩きながら怒っていました。
「…あいつのせいで昨年まで入れた所がダメになったんだ…。
パトロール隊とか作らせたのもあいつだろ!
腹立つぜほんとに!!」

どうやらパトロール隊に注意を受けたようで、
そんな文句を言いながら歩いて来ましたが、
近くでトウモロコシを収穫している農家の皆さんを見つけた様で、
「おい、良い被写体があるぞ!」
そう叫んで横の道に入りました。

そこには「私有地につき立入禁止」の看板が立っています。

しょうもない野郎だな!
しかたない注意するか。
そう思って声をかけようとした瞬間、
3人の中で一番後ろを歩いていた、
中学生位の若い男が、
「おとうさん!」
「そこは立入禁止だよ!!」
そう叫びました。
すると、
「バカやろう!お前までパトロール見たいなこと言うな!!」
「お前はケントじゃねぇーだろー」
そう言ってどんどん進んで行きました。

ケント?俺の事か?
すると「あいつのせいで・・・」と言ってた文句も俺の事か?
このやろう、とんでもない男だな。
よし、「俺がケントだ、何か文句あるのか!」
そう言ってやる。ついでに間抜面も写真にとって公開してやる。

そう思って後を追って行こうとしたら、
さっき父親に注意した息子が、
一人で「立入禁止」の看板の前に立っていました。

僕はそこまで行き、
「君はそこに書いてある字が読めたようだね。」
そういうと彼は驚いてこちらを見ました。
「君の父親は字が読めないようだな。」
続けてそう言うと、
「ごめんなさい。」
彼は正面から僕の顔を見て謝った。
「君が謝る必要はないよ。君は立派だ、自分の父親にさえ注意したんだから。」
すると彼は、
「お父さんも普段は常識ある人なんです。
ただカメラを持つと人が変わるんです。」
下を向いて小さな声で話した。

実際彼の言う通り、
カメラを持つと人が変わる者は結構いる。

例えば僕の宿に泊まった者で、
普通に感じの良い男だったのが、
次の日の朝、カメラを持つと、
別人のようになったケースもある。

その男は風景を撮影中、間近で農作業している農婦に、
いきなりカメラを向け撮影したのです。

「勝手に私を撮らないで下さい!」
彼女に当然そう言われました。
すると舌打ちして、
「写して減るもんじゃないだろうが…」
そんな事を言ったのです。

もしここが農地じゃなく都会のストリートで、
被写体が農婦じゃなくOLでも、
彼は同じ事を言ったでしょうか?

多分ここが農地で、
被写体が農婦だったからそう言ったと僕は思います。

農家の皆さんが怒るのは当然なのです。
・・・・・・・・・
ちょうど100m位先の急斜面で、
農家の皆さんがトウモロコシを収穫しているのが見えました。

そして彼の首にはキャノンの一眼レフが下がっていました。

僕は彼に向って頭を斜めに振って、
「あの風景を撮りたくないの?」
そう訊きました。
「撮りたいですが…。」
「レンズは今ついてるワイドだけかい?」
「いえ、200mmの望遠も持っています。」

「よしそれなら撮ろうじゃないか。
まず許可をとろう。」
僕は両手を大きく左右に振りました。
農家さんの一人が僕に気がつきました。
僕は頭上高くカメラを持ちあげ、
その手を下さずに深く一礼しました。
それからゆっくりカメラを構えて一枚シャッターを切りました。
そしてもう一度彼らの方を見ました。

「大丈夫だ。あの人達から許可が下りた。
撮らせて頂こう。」

僕はそう言いながら、カメラを素早く設定した。
そしてレンズを左肩に載せる得意のポーズで3枚続けてシャッターを切った。

そして彼の方を見ると、
三脚をセットしていた。

「そのレンズは手振れ防止付だろう?」
「ハイ、そうです。」

「若いのに、こんな明るい中で三脚使ってどうするんだ!
手持ちで撮れ、手持ちで。」
彼はそう言われてビビっているようでした。

僕はもう一度左肩にレンズを載せて見せ、
「こうやって構えろ!」
そう言うと、彼は直ぐに実行しました。
少しばかり僕の手でレンズの位置を調整してやりました。

「このままシャッターを切ってみろ。」
彼は一枚切りました。
「続けて3枚切るんだ。息を止める様にして。」
彼は言われたとおりにしました。

直ぐに再生して画像チェック。
もう一度僕の言う通りにISO、絞り、SSを変えさせて撮影。
そして画像チェック。

「よし撮れたぞ!」
「この画像を後でクロップ(トリミング)するんだ。
迫力が出るように。」
彼の方を向いて、
「上手く撮れたじゃないか、
多分間違いなくお父さんより良く撮れてるはずだ。」
そう言うと、彼は始めて笑顔になった。

僕も笑顔になって、
「今の撮影感覚を大切にすれよ!」
そう言ってから、車に向かって歩き出すと、
「ケントさん、あ、いえケント先生、ありがとうございました!」
背中に向かってそう言われた。

振り返って、
「いつから気がついてたんだ?」
そう訊くと、
「最初から分かっていました。
Facebookの写真で見て顔を知っていました。」
「君がFacebookしてるの?」
「いえ、おとうさんがしてます。
実はお父さんはケントさんのファンなんです…。」

おっとびっくりした。
「悪口言ってたじゃん!さっき!!」
そう言うと、
「そうなんですが、本当は違うんです。
毎日見てますから、ブログも読んでますし…。」

「カメラを持つとそんな事まで変わるのか?」
そう言うと彼は困った様な顔をした。

「そうか、了解したよ。」
「それじゃこれ君に渡しとくよ。」
そういって僕は彼に自分の名刺を渡した。
彼はもちろんとても喜んだ。
「お父さんにも会って下さい。
きっと喜びますから。」

「今日は会わない。」
「もし会ったら説教することになる。
君と二人でいるこの雰囲気を壊したくないんだ!
分かるだろ?」
彼は賢く、黙ってうなずいた。

「後でお父さんにその名刺を見せなよ。
彼が僕の悪口言ったから現れたと言うんだ。」
(#^.^#)
「今日の事をブログに書く、
だから読むように伝えて。」

僕が笑顔でそう話すと彼はすかさず言った。
「ケント先生、厳しい事書いて下さい!
お願いします!!」

僕は思わず笑った。
「君は立派だ!」
「また会おう!!」

彼のお父さんへ、
子供は父親の背中を見て育ちます。
反面教師としてあなたはこの時存在しました。

次はあなたがこの文章を読んで、
息子さんから学ぶべきです。

あなたの息子は立派だ!
(#^.^#)

トウモロコシの収穫中 - 北海道美瑛町

ケント白石

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