畑でなくても私有地に入れば不法侵入です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/fc/683f58e40c40f670fd9cf126878b0119.jpg)
今年の美瑛町の丘は
「私有地につき立入禁止」
の看板が至る所に目立つと思います。
今までは
「畑に入らないで下さい!」
この文面の看板が多かったのですが、
そうすると収穫後の畑なら、
作物が無いから入っても良いだろうなどと、
勝手に解釈する者もおりました。
また畑でない他人の私有地内にある道に、
何も考えずに車を停めて、
農作業車の通行を妨げている者も少なくありませんでした。
僕は観光協会関連の宿部会で、
「畑に入るな!ではなく、
私有地だから入ってはいけない」。
そう書くべきだと進言しました。
今年になって書かれた看板は
殆ど全てが上記の文面です。
ですから次の写真をご覧下さい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/36/f3155b017c8e72ab0bfc0c314a4dcb08.jpg)
この畑の横の道は、
昨年までは自由に出入りしていました。
しかし今年からはご覧の様に、
「私有地につき立入禁止」です。
それだけ農家さんが、
今まで観光客から被害を受けていたという事です。
なぜ畑でない道まで侵入禁止なのか?
もちろん私有地だからですが、
この道も含めて殆どの道は、
これまで地主さんの好意で、
そこからの撮影が許されていました。
しかし多くの観光客が道から畑に入り、
靴底に着いた菌を畑に持ち込み、
また中には道の途中に車を停めて、
農作業の邪魔までする方もおり、
農家の皆さんを困らせていました。
その結果もはや我慢の限界を超えたと言う事です。
・・・・・・
数日前の朝、
僕はこの近くで撮影していました。
すると奥の方から声が聞こえてきました。
ちょうどその時、
「観光パトロール隊」の車とすれ違いました。
その後で奥から3人の男が歩いてこちらに向かって来ました。
車を直ぐ近くの町道脇に停めていたようです。
一人の男が歩きながら怒っていました。
「…あいつのせいで昨年まで入れた所がダメになったんだ…。
パトロール隊とか作らせたのもあいつだろ!
腹立つぜほんとに!!」
どうやらパトロール隊に注意を受けたようで、
そんな文句を言いながら歩いて来ましたが、
近くでトウモロコシを収穫している農家の皆さんを見つけた様で、
「おい、良い被写体があるぞ!」
そう叫んで横の道に入りました。
そこには「私有地につき立入禁止」の看板が立っています。
しょうもない野郎だな!
しかたない注意するか。
そう思って声をかけようとした瞬間、
3人の中で一番後ろを歩いていた、
中学生位の若い男が、
「おとうさん!」
「そこは立入禁止だよ!!」
そう叫びました。
すると、
「バカやろう!お前までパトロール見たいなこと言うな!!」
「お前はケントじゃねぇーだろー」
そう言ってどんどん進んで行きました。
ケント?俺の事か?
すると「あいつのせいで・・・」と言ってた文句も俺の事か?
このやろう、とんでもない男だな。
よし、「俺がケントだ、何か文句あるのか!」
そう言ってやる。ついでに間抜面も写真にとって公開してやる。
そう思って後を追って行こうとしたら、
さっき父親に注意した息子が、
一人で「立入禁止」の看板の前に立っていました。
僕はそこまで行き、
「君はそこに書いてある字が読めたようだね。」
そういうと彼は驚いてこちらを見ました。
「君の父親は字が読めないようだな。」
続けてそう言うと、
「ごめんなさい。」
彼は正面から僕の顔を見て謝った。
「君が謝る必要はないよ。君は立派だ、自分の父親にさえ注意したんだから。」
すると彼は、
「お父さんも普段は常識ある人なんです。
ただカメラを持つと人が変わるんです。」
下を向いて小さな声で話した。
実際彼の言う通り、
カメラを持つと人が変わる者は結構いる。
例えば僕の宿に泊まった者で、
普通に感じの良い男だったのが、
次の日の朝、カメラを持つと、
別人のようになったケースもある。
その男は風景を撮影中、間近で農作業している農婦に、
いきなりカメラを向け撮影したのです。
「勝手に私を撮らないで下さい!」
彼女に当然そう言われました。
すると舌打ちして、
「写して減るもんじゃないだろうが…」
そんな事を言ったのです。
もしここが農地じゃなく都会のストリートで、
被写体が農婦じゃなくOLでも、
彼は同じ事を言ったでしょうか?
多分ここが農地で、
被写体が農婦だったからそう言ったと僕は思います。
農家の皆さんが怒るのは当然なのです。
・・・・・・・・・
ちょうど100m位先の急斜面で、
農家の皆さんがトウモロコシを収穫しているのが見えました。
そして彼の首にはキャノンの一眼レフが下がっていました。
僕は彼に向って頭を斜めに振って、
「あの風景を撮りたくないの?」
そう訊きました。
「撮りたいですが…。」
「レンズは今ついてるワイドだけかい?」
「いえ、200mmの望遠も持っています。」
「よしそれなら撮ろうじゃないか。
まず許可をとろう。」
僕は両手を大きく左右に振りました。
農家さんの一人が僕に気がつきました。
僕は頭上高くカメラを持ちあげ、
その手を下さずに深く一礼しました。
それからゆっくりカメラを構えて一枚シャッターを切りました。
そしてもう一度彼らの方を見ました。
「大丈夫だ。あの人達から許可が下りた。
撮らせて頂こう。」
僕はそう言いながら、カメラを素早く設定した。
そしてレンズを左肩に載せる得意のポーズで3枚続けてシャッターを切った。
そして彼の方を見ると、
三脚をセットしていた。
「そのレンズは手振れ防止付だろう?」
「ハイ、そうです。」
「若いのに、こんな明るい中で三脚使ってどうするんだ!
手持ちで撮れ、手持ちで。」
彼はそう言われてビビっているようでした。
僕はもう一度左肩にレンズを載せて見せ、
「こうやって構えろ!」
そう言うと、彼は直ぐに実行しました。
少しばかり僕の手でレンズの位置を調整してやりました。
「このままシャッターを切ってみろ。」
彼は一枚切りました。
「続けて3枚切るんだ。息を止める様にして。」
彼は言われたとおりにしました。
直ぐに再生して画像チェック。
もう一度僕の言う通りにISO、絞り、SSを変えさせて撮影。
そして画像チェック。
「よし撮れたぞ!」
「この画像を後でクロップ(トリミング)するんだ。
迫力が出るように。」
彼の方を向いて、
「上手く撮れたじゃないか、
多分間違いなくお父さんより良く撮れてるはずだ。」
そう言うと、彼は始めて笑顔になった。
僕も笑顔になって、
「今の撮影感覚を大切にすれよ!」
そう言ってから、車に向かって歩き出すと、
「ケントさん、あ、いえケント先生、ありがとうございました!」
背中に向かってそう言われた。
振り返って、
「いつから気がついてたんだ?」
そう訊くと、
「最初から分かっていました。
Facebookの写真で見て顔を知っていました。」
「君がFacebookしてるの?」
「いえ、おとうさんがしてます。
実はお父さんはケントさんのファンなんです…。」
おっとびっくりした。
「悪口言ってたじゃん!さっき!!」
そう言うと、
「そうなんですが、本当は違うんです。
毎日見てますから、ブログも読んでますし…。」
「カメラを持つとそんな事まで変わるのか?」
そう言うと彼は困った様な顔をした。
「そうか、了解したよ。」
「それじゃこれ君に渡しとくよ。」
そういって僕は彼に自分の名刺を渡した。
彼はもちろんとても喜んだ。
「お父さんにも会って下さい。
きっと喜びますから。」
「今日は会わない。」
「もし会ったら説教することになる。
君と二人でいるこの雰囲気を壊したくないんだ!
分かるだろ?」
彼は賢く、黙ってうなずいた。
「後でお父さんにその名刺を見せなよ。
彼が僕の悪口言ったから現れたと言うんだ。」
(#^.^#)
「今日の事をブログに書く、
だから読むように伝えて。」
僕が笑顔でそう話すと彼はすかさず言った。
「ケント先生、厳しい事書いて下さい!
お願いします!!」
僕は思わず笑った。
「君は立派だ!」
「また会おう!!」
彼のお父さんへ、
子供は父親の背中を見て育ちます。
反面教師としてあなたはこの時存在しました。
次はあなたがこの文章を読んで、
息子さんから学ぶべきです。
あなたの息子は立派だ!
(#^.^#)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/80/39bf34542cf05338428c03ba6987441b.jpg)
トウモロコシの収穫中 - 北海道美瑛町
ケント白石
北海道を世界に売り込む侍写真家
Professional & SAMURAI Photographer Kent Shiraishi
ケント白石 写真家の宿
★ケント白石 写真家のCafe
Open Time : 13時~17時 不定休 写真術講座開講中(要予約)
★Facebookページ
「Kent Shiraishi Photography」
「Google+」
ブログ村「写真講座」ランキングに参加しております。
今回の内容がお役に立ちましたら一票投票お願いします。出来るだけ多くの方に読んで頂ければと思います。
下記「写真講座」ボタンクリックで一日一回だけ投票できます。
![にほんブログ村 写真ブログ 写真講座・教室へ](http://photo.blogmura.com/p_english_school/img/p_english_school125_41_z_koala.gif)