その飛び抜けた才能のせいか?
デビュー当時から、土門拳・木村伊兵衛・名取洋之助ら大御所から、痛烈な批判を受ける。しかし天才はそんな事を気にせず、海外へ飛んだ!...そして生み出された数々の傑作写真。その作品が詰まった写真集が今、55年経ち復刊される!!
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奈良原一高(Narahara Ikko)氏、2020年1月19日心不全のため東京都世田谷区の介護施設で死去しました。享年88歳。
日本人写真家で数少ない、僕が影響を受けた大きな存在、天才写真家の一人。
本来なら、その実力を考えれば、
もっとマスコミは、彼の死を大きく取り上げるべきだった写真家だと思いますが…ネットや一部の新聞以外、殆ど取り上げられることは無かったようです。
奈良原氏が写真家として世に知られたのは1956年5月。24歳で開催した初の個展「人間の土地」からのようです。
僕が知ったのは高校生の時でした。
当時、父親が買って読んでいた写真雑誌を開くと、必ずと言ってよいほど「土門拳」氏の作品が並んでいました。正直に言いますと、世間の評価がどうであれ、専門家がどう言おうと、僕は彼の作品が当時から好きじゃなかったです…爆笑。
ところが…ある日同じ雑誌の中で「奈良原一高」氏の作品を観た時は、ハットして目が釘付けになり、胸騒ぎというか、心が大きく惹かれるのを感じました。それまで見ていた木村伊兵衛氏や名取洋之助氏とも全く違う、斬新な作品。
具体的に言うなら、その当時全盛だった「ジャーナリズム」的な作品からは全く感じられない、絵心豊かな映像的なインパクトに溢れた作品だったのです。
初めて見た、下記写真のインパクトの大きさは忘れません!
僕が生まれる以前に、フィルムで撮られている作品です。
しかし上記で書いた3人、
土門拳
木村伊兵衛
名取洋之助
彼ら3名は、故人となられた今も、名前がついた写真賞まで存在しておりますが…
その彼らによる、デビュー当時の奈良原氏への評価は酷かった!
奈良原氏が新人写真家の頃、既に写真界の重鎮だった「木村伊兵衛、土門拳、名取洋之助」から、彼は批判されていました。その当時は彼等に認められなければ、写真界で生きていくのが難しい時代でした。
まさに当時、大物写真家がこぞって批判している文章が残っていました。
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『…奈良原氏の作品に対しては批判の方が大勢であった。写真界の重鎮・木村伊兵衛と土門拳の対談では、木村は「なにか弱いんじゃないですか。おまけに非常に神経質ですよ。」と苦言を呈した。
さらに土門は「ノイローゼが若い人のもっているユニークなものかもしれないけれど、少し借り物くさいんです…どうも、日本、という感じがしないね。写真が無国籍ですよ…生活から遊離した抽象化はやりきれないな…人間を無視してる感じだな、はじめから。人間疎外…ほんとは人間疎外に対する抗議のカメラアイを向けなきゃいけないですよ、疎外しっぱなしじゃダメです。」と言い放つ。
名取洋之助は、「非常にアート的」で「お芸術的にレイアウトしてある」といった調子だった。
リアリズム写真を提唱してきた土門と、写真はメッセージを伝達する素材であり、個々の写真を組み合わせストーリーとして構成する編集者の意図を視覚化するのが写真家の役割という名取。
木村伊兵衛・土門挙らの巨匠が審査員である写真雑誌の月例懸貴に応募して頭角を現していく、という当時の多くの写真家が辿る道筋とは、そもそも奈良原は全く違う世界にいた。そしていかなる賛辞にも批判にも動じない姿勢を、奈良原はすでに身につけていた。』
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この最後の一文、
『そしていかなる賛辞にも批判にも動じない姿勢を、奈良原はすでに身につけていた。』
Kentはビビッと感じましたね~痺れた、この一文に!…爆笑。
それにしても、土門拳氏の言葉、
『…どうも、日本、という感じがしないね。写真が無国籍ですよ…生活から遊離した抽象化はやりきれないな…人間を無視してる感じだな…』
小説でもそうですが、村上春樹氏が世界で売れるのは、無国籍小説である事も重要な要素だと思うんです。つまり当時から、奈良原氏の作品はその無国籍さが素敵で、他の同時代の写真家に無いセンスだった訳です。
誰もが大御所に好かれたくて認められたくて、同じような作品撮ってる時に、全く新しい才能を持った写真家の登場、それこそ天才なんですけどね。そういう新しい感覚・才能・センスを見出せるのが本物のArtistでしょう…
自分に無い感性(センス)を認められないなんて...土門さんて、性格相当悪かったんじゃないの? 大したことない大物だ!
上の文章読んだ時、本当にそう思いましたよ...笑。
でも今思えば、嫉妬なんじゃないでしょうか?
例えば、名取洋之助氏の言葉、
「非常にアート的」で「お芸術的にレイアウトしてある」
これなんか、わざわざ芸術に「お」をつけて、馬鹿にしている感じがありありですが…「アート的」であることは認めている。つまり名取氏ご自身は、ご自分の作品は「Art」と思っていなかったのかも? 実際僕は今見ても、家の壁に名取氏の作品を飾りたいとは思いません。しかし奈良原氏の作品は飾りたい!
普通スポーツの一流選手が、今年入ってきたルーキーに対して助言はしても、彼らを潰すような発言はしないでしょう。もしそうするなら、それはその者がよほど性格が悪いか? 既にルーキーに対して嫉妬心を持っているか? そんな感じじゃないですか…。まあいずれにせよ、作品はともかく、人間的には小物に思えますよね…笑。
評論家達に反論されるのを恐れずに書くなら、
結局上記御三家の発言力・影響力が当時は強過ぎて、またそれを真似する様な弟子達が多く、フランスで同時代に活動して、今も世界的に人気がある『Robert Doisneau ロベール・ドアノー』の様な、「演出・ユーモア」を作品に取り入れたジャンルが日本では生まれ辛く、育たなかった。僕はそれを残念に思います。
写真愛好家なら誰でも知ってる「市役所前のキス」。
ロベール・ドアノー1950年の作品。
この写真が演出である事は周知の事実。しかし価値は下がらない。それどころか今でも売れています。
この作品の「ユーモア」も素晴らしい。写真の男性の目線は、壁に飾られたヌード画へ!
僕の部屋に飾られています。ロベール・ドアノー1948年の作品。
いずれにせよ、当時その様な酷評をされようと気にせず、奈良原氏は海外に渡る。そして抜群のArtセンス、またそれまでの日本人に無い世界的な感性を磨き、次々と素晴らしい作品を発表したのです。そして言うまでも無く、彼のモノクロプリントは大変素晴らしいです。ただ残念ながら、今売っている写真集の殆どは、価格を下げるためでしょうが、質の低い印刷が多い様ですが…。また彼の傑作写真は多々あります。天才に多い素敵なモチーフが色々ありますので…。
最後にほんの数年前の話ですが、
New Yorkのチェルシー地区でギャラリー経営されてるオーナー、6組の夫婦が、僕の宿に泊まりに来て、バーベキューしながら語りました。
話の中で、昔のフィルム時代の日本人写真家で、ビジネス出来そうなのは誰だと思います? そう尋ねたら、
多数があげた名前は「奈良原氏」です。
ビジネスにおいて審美眼のある人達は、観る視点が違いますよね!
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こんな感じで、「ケントの科学的写真術講座」でも講義しています…笑。
さて、今回新装版で復刊される。
約3年間におよぶ欧州滞在中に撮影した写真集『ヨーロッパ・静止した時間 WHERE TIME HAS STOPPED』は、奈良原氏の最高傑作とまで言われています。
もし興味あります方は、この機会に、
ちゃんとした素晴らしい写真集で、ぜひ一度ご覧ください。
もう二度と手に入らないかもです!
Kentもしっかり2冊注文しました~
(#^.^#)
『奈良原一高写真集 復刊』
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ここからは、Kentの宣伝広告です!
ケント講座は、初中級者向けに、これまで5年間以上講義をして来ました。
その膨大な講義テキスト・動画は、受講生なら誰でもいつでもご覧頂く事が出来て、皆さんの自由な時間にしっかり学べます。
また2020年からは、8Kコンテンツに使用する「絵心」ある作品作りを、集中的に講義しています。
ここでケント講座の一般無料公開講座の一部をご覧に入れます。
『スマホで簡単に良い写真を撮る方法』(約18分間)
『8K観賞に向けた光画創作講評とKentの添削』(約30分間)
2018年3月からは、8Kモニターを使い、「現像とプリント制作の講座」を開始。ソフト「Lightroom」を使った現像をしっかり学び、モニター画像とプリントの色合わせや基礎的な印刷方法、さらには額装の仕方も学ぶ。
また同年春には講座内でフォトコンテストを開催。優れた作品35点を選出して、札幌市内のギャラリーカフェにて展示しました。参加された皆さんの楽しい雰囲気を次の動画でお伝えします。
★科学的写真術講座 受講生作品展 オープニングパーティー
(撮影:Hideyuki Nakatani)
講座では受講生が投稿した写真を動画で講評する事もしています。さらに世界に発信するための「意識」について、ブランディングを交えた講義もしています。
また僕が提供するTiffやRAWデータを受講生の皆さんが現像する課題も行っています。同じ元画像、つまり全く同じデータを、各自が創造力を持って現像し作品創作する。実はこの学習こそ、絵心を身につける最短の方法だと僕は考えております。多くの方は、この学習で、己の学習不足・努力不足を悟るはずです。投稿された多数の作品と自分の作品を比較して学ぶ事は、独学では絶対に出来ない、とても価値ある学習方法だと僕は思っています。
そして…僕の写真術講座は受講生が全国にいるので、皆さんが各地で盛んにオフ会を開いています。受講生の皆さんが自ら積極的に活動するのもこの講座の大きな特徴の一つだと思います。
2017年4月は受講生の協力によって、東京のソニーストア銀座で公開講義、および六本木のDMM本社で写真講評会を開催しました。そして11月は九州の長崎から始まり、そのまま北上しながら、全国で受講生だけの写真講評会・懇親会を開催しました。
全国で写真講評&講義
時には自ら撮影モデルに成ることも…笑
また2018年7月に、北海道室蘭市で開催された「撮りフェス」では、『ケント白石賞』まで作ってSONYの最新カメラを賞品としてプレゼントさせて頂きました。
★室蘭「撮りフェス」は最後に『ケント賞』で盛り上がって無事終了しました!
さらに2019年7月の第4回目「撮りフェス」では、DELL 8KモニターとEIZOの最新高画質モニターを同時に展示したモニター講演を開催。
日本が世界に誇る、精度が高く経年劣化に強いEIZOモニターと、世界唯一のプロが使用出来るDELL 8Kモニターを、贅沢にも2台並べて展示講習会を開きました。
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そして嬉しい事に、今現在世界中のフォトコンテストで入賞者が相次ぎ、嬉しい報告がどんどん寄せられています。
入会金はもちろん無し、一ヶ月単位で入退会が自由。いつからでも入会出来、いつでも退会出来ます。さあ「科学的写真術」を学びたい方は次へどうぞ!すでに多数の皆さんが受講されています。
『ケント白石の科学的写真術講座』
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Kent Shiraishi is a Photo Producer and SAMURAI Photographer.
When it comes to art and design, the hottest thing out of chilly Hokkaido is photographer Kent Shiraishi. Mac enthusiasts working on the Apple operating system probably already have one of his simple yet arresting photographs – “Blue Pond and First Snow” – as wallpaper on their laptop screens. The Blue Pond, which Shiraishi has captured in every season, is fed from a volcanic hot spring, so its hyper-natural turquoise color can be partially explained by the presence of minerals.
Apple WWDC 2012 - MacBook Pro with Retina Display Introduction
(Blue Pond in Biei,Hokkaido)
Kent Shiraishi's "Blue Pond & First Snow" is chosen by Apple as one of its desktop backgrounds,now.
The Blue Pond in Hokkaido Changes Colors Depending on the Weather
Professional & SAMURAI Photographer Kent Shiraishi
Kent Shiraishi Photography Workshop & Hotel
Kent.Shiraishi
Kent Shiraishi Photography
★Photo Site 500px
Kent Shiraishi