増田カイロプラクティック【読書三昧】

増田カイロプラクティックセンターのスタッフ全員による読書三昧。
ダントツで院長増田裕DCの読書量が多いです…。

サラダ記念日

2008-03-09 15:03:45 | 増田裕 DC
サラダ記念日 (河出文庫―BUNGEI Collection)
俵 万智
河出書房新社

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丸谷才一氏が「猫だって夢を見る」の「七月六日のこと」の中で俵万智の短歌を誉めていたので、何年か前に手にしていた。今回再読する。

好きな歌は表題作にもなった次の歌である。
○「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

これには丸谷氏の解説が必要だろう。
まず、この「記念日」の当意即妙な使い方に感心する。何でも記念日にしてしまう社会の風習を手玉にとって、恋人達の快楽のために利用した。サラダは痩せたい女性の願望を表しているし、みずみずしさを一瞬の内に表している。

もうひとつは「七月六日」のことである。
文月や六日も常の夜には似ず
芭蕉の句に上記の句がある。文月の旧暦7月は6日から色っぽいというのは日本の常識であった。この文学的伝統に動かされて、若い男女を7月6日に会わせてしまった。ここは丸谷氏の解説を読んでほしい。

このほか気に入った歌は次の通り。
○「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの

○たった一つのことが言えずに昼下がり野球ゲームに興じる二人

○我という三百六十五面体ぶんぶん分裂して飛んでゆけ

○食卓のビールぐらりと傾いてああそういえば東シナ海

○モーニングコールのあとのフランスパン一段飛ばしに昇れ階段
  
○万智(まち)ちゃんを先生と呼ぶ子らがいて神奈川県立橋本高校

○母と焼くパンのにおいの香ばしき真夏真昼の記憶閉ざさん

○たて波とよこ波交差するところアンプの上に立つ缶ビール
 (ジャズコンサート・IMAの後に詠める歌)
○子どもらが十円の夢買いに来る駄菓子屋さんのラムネのみどり

○注文はいつも二つのアメリカン 相思相殺かもしれないね




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