川口雄大の「よいしょ」

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<ある男・百花>第23回【今週のよいしょ】この日本映画がすごい!『ある男』『百花』編

2023-01-06 | 日記
皆さま
 
 
おはようございます!!

 

さて今週も始まりました、お忙しい皆様の代わりに、

今抑えておきたい映画・音楽・小説などを、

自腹でみて、勝手に紹介するコーナー『今週のよいしょをお送りさせていただきます。

※コミュニケーションの一環でお送りさせていただきます。

 

 


今週のよいしょ『ある男』『百花』編でございます!

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【メジャー映画会社作品では、この2本がすごい!】

自社作品だから「よいしょ」するということはないんですが、
今回紹介させていただくのは、この2作品をみて本当に驚いたからです。
脚本、撮影、演出含め、世界に通用するような2作品になっていると感じました。
(偉そうですねすみません!)年間300本くらい映画を見ているのですが、
今年の20本には選びたい!と思うくらい今回ご紹介する「ある男」「百花」ははちゃめちゃに面白かったです!!
 
 

【松竹作品/ある男】

 

<あらすじ>

弁護士の城戸(妻夫木)は、かつての依頼者である里枝(安藤)から、里枝の亡くなった夫「大祐」(窪田)の身元調査という奇妙な相談を受ける。

里枝は離婚を経て、子供を連れて故郷に戻り、やがて出会う「大祐」と 再婚。そして新たに生まれた子供と 4 人で幸せな家庭を築いていたが、ある日「大祐」
が不慮の事故で命を落として しまう。悲しみに暮れる中、長年疎遠になっていた大祐の兄・恭一が法要に訪れ、
遺影を見ると「これ、大祐じゃない です」と衝撃の事実を告げる。愛したはずの夫「大祐」は、名前もわからないまったくの別人だったのだ…。
「ある男」の正体を追い“真実”に近づくにつれて、いつしか城戸の中に別人として生きた男への複雑な思いが生まれていく―――。

 

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<石川監督とは>

1977年生まれ、愛知県出身。ポーランド国立映画大学で演出を学ばれたそうです。

私は日本アカデミー賞優秀作品賞を取った2019年『蜜蜂と遠雷』が大好きで、

人間の内面を説明セリフではなく、映像で表現することに長けた監督だと思います。

 

 

 

<分人主義とは>

原作の平野啓一郎作品には、「分人主義」という考え方が通底音として流れています。

 

 

「個人」は、分割することの出来ない1人の人間であり、

その中心には、たった一つの「本当の自分」が存在し、さまざまな仮面(ペルソナ)を使い分けて、社会生活を営むものと考えられています。

これに対し、「分人」は、対人関係ごと、環境ごとに分化した、異なる人格のことです。

中心に一つだけ「本当の自分」を認めるのではなく、それら複数の人格すべてを「本当の自分」だと捉えます。この考え方を「分人主義」と呼びます。

 

「分人主義」オフシャルサイト   プロデュースby平野啓一郎
https://dividualism.k-hirano.com/

 

 

私とはだれか?私を規定するものは何なのか? 

私の性格はどのように形作られるのか?本当の私とは何なのか?

誰しもそう考えることがあるかと思います。

 

インターネット以降、そしてコロナ禍で加速度的に、

人々が人々をカテゴライズし、『あの人はこうだ』と決めつけることが増えてきたのではないでしょうか。

 

 

「あの人はオリンピック賛成/反対」「あの人は右/左寄り」「あの人は、、、。」

 

 

このようなレッテル貼りが、コロナ禍の息苦しい世の中を作り上げました。

一人の人間にはいろんな側面があり、環境や会う人、その日の天気によって性格は頻繁に入れ替わっていきます。

無理に一つの箱に入れる必要はなく、「大きく多面的にアイデンティティーを捉えること」の重要性をこの映画から感じました。

 

ポストコロナ禍の映画として、ぜひ皆様におすすめしたい1本です!

単純にミステリー作品としても、めっちゃ面白かったです!!!

 

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【東宝作品/百花】 

 

<あらすじ>

女手1つで育ててくれた母・百合子との間にある溝を埋められないまま過ごす葛西泉。

そんなある日、母の認知症が判明する。徐々に記憶を失っていく中で、

母は半分の花火が見たいと不可解な言葉を口にする、、、。

 

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<川村元気さん、ごめんなさい!>

本作の監督・川村元気さんを初めて意識したのは、16年の「君の名は」のプロデューサーをされている時だと思います。

それから、「世界から猫が消えたなら」「億男」の原作を挟み、活躍されていきました。

誤解を恐れずに言うなら、「すごく有能な商業映画のひとなんだな。でも自分は川村元気の世界にはノットフォミー(お呼ばれじゃない)だな」と感じていました。

 

しかし、本作を見て私の考えがすべて間違っていることが分かりました。

冒頭から針に糸を通すような長回し撮影、はっとさせられる画と画を繋ぐ編集、、。

本作「百花」はゴリゴリのアート映画でした。

それを東宝というメジャースタジオで当てようとしている、、、素直に川村元気凄いなと。

 

本作を見ていて思い出したのは、2020年アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ

このうち主演男優賞(アンソニー・ホプキンス)と脚色賞を受賞した「ファーザー」です。

普段は、ネガティブな側面が強い「忘却/忘れる」という行為の、ネガティブだけじゃない側面を美しく肯定的に描いており、

普段、忘れっぽい自分自身もこの映画で少し救われました。

(いつもご迷惑おかけしている方々、申し訳ございません!泣)

 

 

ちなみに、東宝映画の上映時間はどれも1時間56分~2時間4分(劇場を回転させ易い理由だと思いますが)という鉄の掟があるのですが、

「百花」は1時間44分でした。どんだけ力を持っているんだ川村元気、、、。(笑)

 

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そんな感じでした。

また来週宜しくお願い致します!!

 



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