川口雄大の「よいしょ」

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<バビロン>第27回【今週のよいしょ】そもそもハリウッドってなに!?デイミアン・チャゼル「バビロン」編

2023-03-07 | 日記
皆さま
 
おはようございます!!
川口です。

 

さて今週も始まりました、お忙しい皆様の代わりに、

今抑えておきたい映画・音楽・小説などを、

自腹でみて、勝手に紹介するコーナー『今週のよいしょをお送りさせていただきます。

※コミュニケーションの一環でお送りさせていただきます。

 

 

3月に控えているアカデミー賞強化月間と言ことで、

今月はアカデミー賞作品賞にノミネートされている作品を中心にお送りいたします。
今週のよいしょブラッド・ピット主演×『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督初タッグ作品『バビロン』でございます!

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   ※松竹映画じゃなくて、すみません!
 
 
<あらすじ>
1920年代のハリウッドは、すべての夢が叶う場所。
サイレント映画の大スター、ジャック(ブラッド・ピット)は毎晩開かれる映画業界の豪華なパーティの主役だ。
会場では大スターを夢見る、新人女優ネリー(マーゴット・ロビー)と、
映画製作を夢見る青年マニー(ディエゴ・カルバ)が、運命的な出会いを果たし、心を通わせる。
恐れ知らずで奔放なネリーは、特別な輝きで周囲を魅了し、スターへの道を駆け上がっていく。
マニーもまた、ジャックの助手として映画界での一歩を踏み出す。
しかし時は、サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の時代。
映画界の革命は、大きな波となり、それぞれの運命を巻き込んでいく。果たして3人の夢が迎える結末は…?
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<そもそもハリウッドってなに!?エジソンから逃れたユートピア?>
皆様ご存知ですが、
ハリウッドはアメリカ合衆国カリフォルニア州のロサンゼルス市にある地区です。
ハリウッドが映画産業で盛り上がるのは1920年代、
その直前の1910年代には、まだ水道が引かれておらず、
誰も住んでいない何もない様な荒野でした。
 
ではなぜそんな荒野に映画人が拠点に構えたのでしょうか、、、?
それはニューヨークにいる「発明王」エジソンから逃げてきたのです。
 
1890年にエジソンが映画の元となるキネトスコープを発明し、
そこから映画の歴史がスタートします。
そのため、映画を発明したエジソンが映画の特許をすべて持っていました。
エジソンはとても意地悪な人だったらしく(笑)、
すぐに訴訟を起こし、映画の権利を独り占めしようとしました。
それに反発した映画人たちが、
エジソンに訴えられないように ニューヨークから一番遠い、
西海岸にあるハリウッドに映制作の拠点を作りました。
 
また、当時はフィルム感度の問題から屋外のような明るい場所でしか撮影できず、
天候の移り変わりの早いニューヨークよりも、
地中海性気候のまばゆい太陽が輝くカリフォルニアの方が相性が良く、
映画産業のユートピアになりました。
 
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<無声映画からトーキー映画へ>
本作の重要なテーマの一つは映画業界の「時代の移り変わり」と「栄枯盛衰」です。

主人公のひとりブラットピット演じるジャックはサイレント映画の大スターでした。
しかし、1927年『ジャズ・シンガー』という映画によって全てが変わりました。
それは、トーキー映画の登場です。今まで無音だった映画に、初めて音がつきました。
 
テレビなど、まだない時代ですので、
「歌って踊る」ということは舞台やステージ以外では見れなかったわけです。
まして、プロの歌手の顔が画面に大きく出て歌う瞬間は、
観客のみんな、初めて見たので、それはそれはトーキー映画に熱狂します。
 
しかし、ジャックは声にコンプレックスをもっており、
黙っていればカッコイイのに、声をつけた演技ができませんでした。
ジャックはトーキー映画には馴染むことが出来ず、表舞台を去ります、、、。
そんなジャックを演じるブラット・ピットの哀愁漂う演技が素晴らしいです。
ブラットピットって改めて、良い役者だなあと再確認いたしました。
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<ブラピ=藤原道長!?>
サイレント映画からトーキー映画への時代の変節は、
色々なものを思い起こさせます。
それは、「映画館から配信」にシフトであったり、
それは、「テレビからYouTube」であったり、
それは、「レコードからCDへ、そしてストリーミングサービス」とも見ることができます。
 
そういえば、ビデオが一般化されたことにより、
ラジオスターが淘汰されていくことを歌った
バグルスの1979年の曲「ラジオスターの悲劇」というものもありましたね。
 
本作を観ながら、私は小学校の授業で習った、
平安時代の貴族、藤原道長(966~1027)を思い出しました。
「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」
世界の全てを手に入れたと歌った藤原氏でさえ、最後は滅びてしまいます。
 
どんな時代にも大なり小なり栄枯盛衰があり、
人々は時代の変化に適用しながら生きてきました。
そんな「ハリウッドの残酷さ」を描きながらも、
映画という美しい一瞬を切るとるメディアに魅了された人々を、
悲しく、可笑しく、そして美しく描き、
本作を通し、チャゼルは「映画史」にリスペクトを捧げました。
 
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それでは、

また来週も宜しくお願い致します!!!

 


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