青空のCafétime

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イタリア公園の夏

2020-06-03 06:28:27 | Diary


汐留のイタリア公園に行ってみたいと言ったのはわたしの方だった。 暑い日が続く八月のある日のことだ。

行きたかった理由は、イタリア公園という名前が洒落ていたのと、東京湾に面した浜離宮庭園横のその周辺は今まで行ったことがなかったからである。 ネットで調べたらイタリアのある都市から港区に寄贈されたとあった。 あちらのデザイナーの手によるイタリア様式の整形庭園で、各所に置かれた石像や壺などもわざわざイタリアから運んできたとのこと。 しかしそんな公園を作ることになった由来はよくわからない。

JR新橋でゆりかもめに乗り換えて一つめの汐留駅で降りる。 首都高沿いに歩いたらすぐに公園に着いてしまうので、一旦JRの線路をくぐり、西からぐるっと円を描くようなデートコースにしょうと、事前に二人で何となく決めていた。

コースメニュー全体としては、途中にあるイタリア街をぶらぶら散策し、イタリア公園を散歩して浜離宮庭園に入り、水上バスに乗って浅草まで行くというプランであり、これも何となくすんなりきまった。

この何となくというのが良い。

もともと気が長い方ではないわたしは、 何もしないでのんびりしたいと思っても、やるべきことや次のことを考えてしまう。 しかしそんな自分に疲れてしまい、 一度自分と自分の周りをリセットして、あまり考えずにのんびりしたくなった。 その人ともそんな感じで、出会いと言えるようなイベントもなく、何となく自然に、何となく一緒に過ごす時間がわたしの日常に織り込まれた。

お互いに頻繁に連絡することもなく、次にいつ会えるかなんて考える必要もなく、相手の気持ちを思い巡らせる必要もなく、だいたいつきあっているかどうかすら曖昧で、でもそんな曖昧な距離感を許せて、許してくれる人。

イタリア公園デートは最高に暑い日で最高に楽しかった。 期待したイタリア公園は庭園以外は何もないところで、真夏に日陰のない公園を散歩する人などわたしたち以外は誰もいない。 ただ、ブーケのような白い花を満開に咲かせたサルスベリが綺麗で強く印象に残った。

初体験の水上バスでは、わたしはほぼデッキの上に立ち、帽子が飛ばないように手でしっかり抑え、塩っぱい風に吹かれながら景色を眺めていた。でも彼は暑すぎると笑って冷房の効いた船内とデッキを行き来していた。

その最高に暑くて最高に楽しかったのんびりデートの翌日、熱中症で寝込んだことを、蛇足であるが付け加えておく。

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