通勤のために毎日いつも同じ時間の電車に乗れば同じ人たちに会うわけで、そのつもりがなくても何となく顔を覚える。それはわたしの方ばかりじゃなくて、相手もきっと同じだろう。会うと言ってもおはようとか挨拶を交わすこともないのだが、駅のホームのいつもの場所に立った時に、いつもいるはずの人がいないと、何となく気づく。
二十歳ぐらいの女の子だった。いつも黒っぽい地味な服を着て、かわいい顔立ちなんだからもっと明るいファッションにすればいいのにと、毎朝心の中で余計なお世話を焼いていた。わたしとは反対側のホームで一人、電車が来るまでスマホを見ている。
その女の子をいつの間にか見かけなくなった。見なくなったのは確か緊急事態宣言が発表された頃だったと思う。解除されたら戻ってくるかなと思ったのに、今現在もいつもの場所に現れない。
どうしたんだろう。わたしなんかが心配しても仕方ないと思いつつ、毎朝、彼女の不在を感じるのである。
二十歳ぐらいの女の子だった。いつも黒っぽい地味な服を着て、かわいい顔立ちなんだからもっと明るいファッションにすればいいのにと、毎朝心の中で余計なお世話を焼いていた。わたしとは反対側のホームで一人、電車が来るまでスマホを見ている。
その女の子をいつの間にか見かけなくなった。見なくなったのは確か緊急事態宣言が発表された頃だったと思う。解除されたら戻ってくるかなと思ったのに、今現在もいつもの場所に現れない。
どうしたんだろう。わたしなんかが心配しても仕方ないと思いつつ、毎朝、彼女の不在を感じるのである。