羽織を解いていて
びっくりすることがあります。
前見頃を裁断せず 衿を作っているもの
後ろ身頃から引き返して総裏にしたもの。
70年前のこの羽織は
とりたてて長くはなかったのですが
ワンピースとワイドパンツができました。
着尺地を染めて
まるまる縫いこんだのでしょう。
70年前
まだ衣料切符が必要だったころで
贅沢なつくりといえるかもしれません。
嫁を迎える羽織と聞きました。
埼玉なのか 福井なのか
あるいは
日本橋界隈呉服商のセールストークなのか
寡聞にしてほかにしりませんが。
大柄な花の丸
はなやかな曙色
ほとんど袖を通されていませんが
年月の波はかぶっています。
コロナでこもりきりの日々に
春をまつ色があってもいいか。
そんな気持ちで手をつけました。
ひととのつながりは
ものにだって 反映します。
いや ものだからこそ・・・・
ねぼけたピンクと評された染めは
裏は 艶やかなままでした。
匁が軽いからと 安もの扱いされましたが
糸が細く 織が繊細です。
聞いていたことと 手でたしかめたこと
すこしずつ
評価は 上書きされていき
最後のとめのあと
ふっと 棄てられ感が消えました。
自信を、なくしていたんだね。きみは。
旅行できるようになったら
いっしょにいこうか。
追記:次回から伸び止めテープをわすれないようにしよう。
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