きものリメイクをする上で、
避けて通れない問題ながら
手を出しかねていた領域がありました。
それは胴裏。
なかでも輸出羽二重と呼ばれる
すべりのいい絹地です。
黄を通り越し茶色になった平絹なら
思い切れもしましょうが
まだ白いままのものを捨てるわけにはいきません。
どんどんたまる。
そしてたいへんに気難しい。
鋏から逃げる。
カッターにもイヤイヤする。
刃がいけないのかと思いましたが
ウールならすぱり。
技術が足りないのかもしれません。
極めつけは、
針目に響く地割れです。
これがパッカリングというものだと
知るのはずいぶん経ってからのこと。
情報はうわすべりするの。読んだだけでは。
かくして
表着と肌着の間の重ね着という構想は
7年目でようやく日の目をみたものの
完成には遠いプロトタイプ。
縫いながら、あれこれ思うのです。
こんなに苦労しているのに、
人目にはつかない一枚です。
技術をみがいたところで 販売するわけでもない。
こっそり廃棄してしまっても だれにも知られない。
けれど。
少しずつ形をととのえていくうちに
ふとほほえむ優しいライン。
まち針もうけつけず
暴れているしなやかさ。
こんなかわいいやつを、ほっておけるものか。
白絹のインナーワンピ。
途は、続きます。
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