COCCOLITH EARTH WATCH REPORT

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国の安全を安全保障の専門家達だけに委ねるのは危険

2014-05-31 23:18:55 | Weblog

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 人間は技術革新を推進する才能に恵まれた生物であると同時に、得られた技術を使ってみたい願望の制御ができにくい生物である。トルーマン大統領は人類が初めて手にした原子爆弾の威力を試したい気もあって広島、長崎への投下を命じた。最近では3Dプリンターを使って人を殺傷できる銃器が作られたことが話題になった。軍備を増強するほど、それを使わないことに欲求不満が募る人々もでてくるのである。しかし軍事力行使は勝者敗者を生んでも、人々に幸せをもたらしてはくれない。ベトナム戦争で多量に散布された枯葉剤のため、未だに大勢の人々が苦しんでいる。アフガニスタンやイラクでは国内の混迷が未だに収まらず、帰還アメリカ兵の多数がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいる。日本は太平洋戦争で多大な惨禍を味わったが、軍国政治の崩壊と、時代を先取りした平和憲法を得た。その根幹をなす9条は下記のような条文である。

1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


 しかしながら、9条は武力攻撃を受けた場合への対処として個別的自衛権は認められるという解釈のもとで、自衛隊が設立され、軍備も徐々に増強され、軍事費も膨張した。ストックホルム平和研究所によれば、2013年の世界の軍事費は17470億ドルで、その内訳は多い順にアメリカ 37%、中国 11%、ロシア 5.0%、Saudi Arabia 3.8%、フランス 3.5%、イギリス 3.3%、ドイツと日本 2.8%である。平和憲法を擁する日本の軍事費は約4兆9千万円)に上っているのである。今、安倍首相は私的諮問機関である安保法制懇が提出した答申をもとに、従来は禁じられていた集団的自衛権行使を容認できるように、閣議決定による憲法解釈の変更を目指している。あろうことか、首相は与党が圧倒的多数を占めている今のうちに、自己の描く国家像を実現させるため、戦後に築かれてきた民主平和国家像を転覆させる施策を矢継ぎ早に繰り出しているのである。日本を取り巻く世界状況が変わったから、従来のような個別的自衛権のみでは不十分で、集団的自衛権や武器輸出制限の緩和が必要だとの論議である。日中間の尖閣諸島問題が紛糾するほど、北朝鮮の軍事的脅威が高まるほど、集団的自衛権容認派や軍事産業振興派には好都合なのである。安全保障問題の専門家を自認する人の多くは、自衛隊が軍事力を行使できないと世界平和に貢献できないと考えているらしいが、将来の国家像をこういう人々の論議に任せておくのは大きな間違いである。自衛隊は武力行使のない災害復旧活動で活躍している。アフガニスタンのタリバン政権崩壊後、伊勢崎賢治氏らの尽力により軍閥の武装解除が実行された。また、中村 哲さん達のペシャワール会が、現地人達を動員した手造りの潅漑施設構築で農業再興を進めているように、多くの日本のNGOが軍事行動と無関係に、発展途上国で人道支援活動に取り組んでいる。近年漸減傾向にあるのが問題であるが、政府開発援助(ODA)による開発途上国支援も行われている。時代に先駆けた憲法9条を要する日本は、ソフトパワーによる世界平和構築にリーダーシップを発揮すべき立場にある。対テロ戦争に明け暮れるアメリカも、軍事力のみでテロを撲滅させるのは困難で、テロに走る過激派の温床となる貧困の撲滅の必要性を認識し始めている。

 神奈川県の一主婦が始めた、平和憲法を護っている日本国民をノーベル平和賞候補に推薦しようという推薦署名活動が実を結び、4月上旬にノルウェーのノーベル委員会から推薦受理の通知が届いた。あまたの候補の一つと認定された段階なので受賞までは遠い道程であるが、“「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会”では、今年ならずとも将来の受賞を目指して、ホームページや郵送(252-0001 神奈川県座間市相模が丘1-36-34 座間市郵便局留め)による署名を集めている。残念なことに、署名集めを騙ってメールアドレスなど個人情報をだまし取ろうという偽サイトが立ち上がっているそうなので、ご注意願いたい。


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