会社に行くのが憂鬱な朝は

様々な仕事を経験して得てきたことや日々のことなど。

自分の「ねだん」

2020-05-23 06:09:00 | 働く

39歳で司法書士試験に合格して就職活動を始めたとき

ある事務所の面接でいきなりこう聞かれました。

「で、いくら欲しいですか?」


正直慌てた(^^;)

「え?いくらって……、私まだ経験ないですし……。」

しどろもどろで答える私に、その事務所の所長はにっこり笑ってこう言いました。

「自分の値段は自分で決めなさいよ」


自分の値段ってったって、普通こういうのって事務所が決めるんじゃないの!?

何言ってんのこの人!?

当時の私はあたふたするばかりで、すっかりパニックに陥ってしまっていました。


あの頃の私は、面接に行ったら「ウチはこれこれの条件です」と呈示されて、

相手から選んで「いただいて」就業するもんだ、と思っていました。

(当時、求職者は司法書士会に履歴書を出しておき、それを見て興味のある事務所が

連絡してくるというシステムでした)

だから所長の「自分の値段は自分で決めなさいよ」という言葉が、とてもショックだったのです。


そんなこといきなり言われても、いくらって言えばいいのかわからないよ………


結局その事務所には行かずじまいでしたが、

今ならあのとき所長が言ったことがよくわかります。

当時の私は試験に合格したものの、初めての世界でただただ不安ばかりなのと

今までしんどい思いをして資格をとりこれからラクできると思っていたのに、

仕事をするにあたって、それ以上に何やらまだまだ大変な苦労があるらしいと

よくない噂ばかりを耳にしてすっかり怖気づいてしまっていました。

だから自分の値段を自分で決めるなんてことは到底できなかったのです。


ただ「司法書士」の肩書きだけが欲しかった私には、これから士業として責任を持って

仕事をしていこうなんて意気込みはサラサラありませんでした(反省!)。

「受け身」体勢で自信や責任感を持てなかった私は、自分の値段を決めることができず

相手に決めてもらうことをよしとしていたのです。


こう書くと、よく問題にされるのが「自己肯定感の低さ」ですが

自分の値段を決めることと自己肯定感が低いことに、実はそう関係はありません。

私はかつて自己肯定感がとても低く、何につけても

「自分のいうことなどどうせ聞いてもらえない」と諦めるばかりでしたが

47歳で上京してすぐ文無しになりそうになり、ある決意から宝飾販売員として

仕事を始めたとき、未経験者「時給1000円」を呈示されて

「これでは生活していけないので最低でもこれだけの金額をください。」

と社長に直談判し、時給UPを実現しました。

お尻に火がつきそうになったら「自己肯定感が低い」などと言っている

バヤイではないのです。


自分の値段を決める、とは自営で仕事をしている場合だけの問題と捉えられがちですが

自分の時間や労働力をいくらで売るか?というのは自分が生きていく力に直接繋がります。

会社に勤めている人であっても、このことは意識しておいたにこしたことはありません。


自分の値段を決めようとすると

自分に何ができるのか?何ができないのか?を客観的に判断することになります。

その結果、もらっている報酬(給料)が安ければ

会社と交渉したりアピールすることもあるかもしれないし

認めてくれなければ、或いは転職するかもしれない。


自分で何も考えず、自分の値段をただ他人に委ねることは

「受け身」で仕事をすることだと思うのです。


他者評価のみに依る仕事をしていると、会社やクライアントの都合に振り回されるばかりで

疲弊し、すり減っていきます。

モチベーションは上がりません。

目先の仕事をただこなすだけで精一杯、スキルアップを考える余裕もなく

トラブルが起きたときには責任を負わず、原因を外に求めてしまうでしょう。


それも悪くはないのかもしれませんが、自分が商品価値としていくらなのか見極めて

心に留めておくというだけでも随分違うものです。


さて、あなたの値段はいくらですか?







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