我が家の車はマツダデミオ(初代後期型)。23年前に主人が新車で購入しました。夫の好きな深緑色で、『デミくん』と呼んでいました。
結婚して私も乗るようになりました。CMで見て知っていたので、流行りの車に乗れるんだとウキウキしました。乗り始めた頃は、街でもよくデミオを見かけたものです。
色違いのデミオを見かけるとまるでデミくんの親戚のような気がして、なんだかとても嬉しかったです。赤はおしゃれなデミ子姉さん。黒は渋いデミ蔵おじさん。鮮やかなブルーは留学生のデミ―。シルバーを見かけた時にはちょっとびっくりして、『サイボーグデミオ』と呼んでいました。けれど、だんだん形が変わっていって、デミオと言われてもピンと来なくなってしまいましたが。
結婚生活がまるまるかぶっているので、本当にたくさんの思い出がつまっていて。あと4,5年は乗るつもりでいました。ところが・・
この3月に車検の見積もりに出したところ、ABSが故障していることがわかり、もう製造中止で部品が見つかりませんでした。廃車しかないということになって、それでもなかなか諦めきれず・・・・でも、修理ができない以上、車検も通りません。諦めざるを得ない状況になってしまい、夫と話して廃車にすることにしました。
頭では理解しても、どこか諦めきれない自分がいました。悶々としていると、夫がポツリと「私が初めて買った新車なんだよね・・」としょんぼりしていました。
これが別れなんだ。もう手放さなければ。
23年間、事故もなく、私達を守ってくれたデミくんを見送ることにしました。
結婚生活がまるまるかぶっているので、本当にいろんな思い出があります。お買い物や病院、送り迎えと、乗らない日の方が少ないでしょう。家族旅行も、このデミくんとフェリーに乗って行きました。
もう、家族の一員です。
中でも忘れられない思い出があります。それは数年前、ある山奥の神社に行った時のことです。
ネットで白い龍神様をお祀りした神社を知って、そこに行きました。GW初日でした。ナビである程度近くまでは行ったのですが、なかなか見つかりません。行ったりきたり、山道を何往復もして諦めかけた頃に、ようやく見つかりました。
私は足を痛めていて、両手で杖をついて階段を上がっていきました。手袋を外してお参りして駐車場に戻った時に、手袋が片方ありませんでした。もう一度上がって探しましたが、ありませんでした。ゴミになってすみません、とお参りして帰りました。途中ドライブインに寄って、また遠路を帰っていきました。家に帰って二階に上がると、二階の廊下の真ん中に失くしたはずの手袋の片方が落ちていました。・・・ん!?
そしてその日から主人は謎の高熱と下痢が続きました。そんな不思議なお出かけでした。
それからどこにも出かけられないまま、とうとうGWはあと一日となりました。せめて子供の陸上用のシューズだけは買いに連れて行こうと思い、郊外のスポーツ店に行く途中、車からなんだか変な音がするのです。2件目のガソリンスタンドでようやく見てもらえることになりました。
診断はなんと、熱でエンジンが歪んでいる、ということでした。
あの山道だ!!!でも、デミくんはちゃんと無事に私達を連れて帰ってくれました。その上、修理工場までちゃんと自分で行ってくれたのです。
幸い、そのガソリンスタンドは自動車工場の系列だったので、中古のエンジンを探して修理してくれました。その時7万キロだったのが、5万5千キロのエンジンに乗せ換えたので、「70歳が55歳に若返った!」と喜んでおりました。
その他、ライトの黄ばみを磨いたり、ボデイーにはコーティングをしたり、まるでアンチエイジングみたいですよね!そうしてピカピカにして乗っていましたので、まだまだずっと乗れると思っていたのです。
あの時にはエンジンも見つかった。きっと今度も大丈夫!
でも、今回はどうしても部品がみつからなかった・・・
もう限界だったのかもしれません。大人気のあの船のように、もう諦めなければならない時期なのだと・・(あのシーンが本当に大好きで、あの船とデミくんがだぶってしまい、号泣してしまいます。すみません、わかる方だけ。)
廃車する日が決まってからは何だかバタバタしていました。コストコへ買い出しに行ったり、コインランドリーで毛布を洗濯乾燥したり、粗大ごみを捨てたり、家族でランチに出かけたり。
何百回と送り迎えした最寄り駅まで、最後のお見送りした日は、ロータリーを回って帰るデミくんの後姿を夫が見送っているのがバックミラーで見えました。
そして最後の週末は主人と一緒に道の駅までドライブして、洗車して、中を片付けました。最後の夜は子供も主人も私もそれぞれに車内で過ごしてみたり。
令和5年3月27日、とうとう今朝、お迎えの方が来てくださって、旅立って行きました。
最後は本当にあっけなくて。ナンバーを外されて、トラックの下段に乗せられて・・・じっとおとなしく、ぐっと耐えている様にも見えて、凛々しかったです。我が家の自慢の愛車です!
グッバイ!デミくん!
ありがとう!デミくん!